表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません  作者: 廻り
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/102

84 ノアの結界1

(可愛い精霊がため息をつくなんて……。今のは幻聴かしら)


 ライラの記憶とはあまりに違う精霊の態度に混乱していると、一人の精霊がライラの顔の前に立ちはだかった。


「みんな! らいらさまのゆめをこわすと、のあさまににぎりつぶされるぞ! おれたちはかわいいせいれいなんだ!」

「そうだった! かわいいせいれいらしく、のあさまをはこぼう!」

「おおー!」


 幻聴ばかり聞こえてくるが、これはきっと一年も異空間にいたせいだろう。

 とにかく精霊達は、ノアを運んでくれるようだ。

 精霊達がノアに張り付くと、ノアの身体は空中に浮かび上がった。





 精霊達のおかげで、無事に神殿へとたどり着けたライラ。

 ここからは何とかして自分で運ぼうと思っていると、精霊達はそのまま神殿内へと入り込んでしまった。


「皆様……、神殿へ入れますの?」

「のあさまのけっかいが、きえてしまったみたい」

「そんな……」


 ここの結界が消えてしまったのならば、もしかして聖域の結界も消えているのかもしれない。そして最悪の場合、国を守る結界も……。

 オリヴェルにこのことを知らせたいけれど、ライラには離宮まで行く手段がないし、ノアの傍を離れるわけにもいかない。

 どうしたら良いだろうかと考えている間にも、ライラ達は神殿内の儀式場へたどり着いた。


 精霊達は、魔法陣の上に敷いてある絨毯の上へとノアを寝かせてくれた。

 これで本格的にノアを回復させることができる。少し安心をしたライラは、精霊達にぺこりと頭を下げた。


「皆様、ありがとうございます! 大変助かりましたわ」

「いいってことよ! おいらたちは、らいらさまのみかただぜ!」

「ほかにしてほしいことがあれば、なんでもいってね!」


 いつもはノアが追い払ってしまうので交流する機会がなかったけれど、精霊達はライラにも優しいようだ。


「あの……、教えていただきたいことがありますの。ノア様を早く回復させるにはどうしたら良いのかしら」

「らいらさまが、いのって! ぼくたちも、てつだうから!」


 やはりノアを回復させるには、祈るしかないようだ。

 ライラはうなずくと、絨毯の上へと腰を下ろしてノアの手を握りしめた。

 その周りでは、精霊達が忙しなく動き始める。神殿を出ていく者や逆に神殿へ入ってくる者、神殿へ入ってくる精霊は緑色が多いように思う。


「のあさまは、くさのせいれいだから、わたしたちがおてつだいするね」

「同種のほうが良いのですわね。よろしくお願いいたしますわ」

「らいらさまも、くさのせいれいもどき(・・・)だから、なかまだよ」


 人間のライラは精霊にはなれないけれど、どうやら草の精霊と同じ扱いのようだ。

 精霊達に仲間と思われて、ライラは嬉しくなる。


(皆様と協力して、ノア様を回復して差し上げなければ!)


 こんな状況だけれど、精霊達の明るさに救われたような気がしたライラ。一人きりでノアを回復することになっていたなら、きっと不安に耐えられなかっただろう。

 心強い仲間を得たライラは、その日からノアの回復に専念するため、ひたすら祈りを捧げた。





 一方、王宮へと運ばれたアウリスは三日後に意識を取り戻した。


 目覚めたアウリスは、ぼーっと天井の絵画を見つめていた。

 長い間眠っていたような気がして、記憶が曖昧。公爵邸にいたはずなのに、なぜ王宮の自室にいるのだろう。

 確か大切な用事があり異空間へと入ったけれど、異空間での出来事がまるで思い出せない。

 こんな経験は生まれて初めてだ。


 まるで記憶を奪い取られたような感覚に襲われ、アウリスは漠然とした不安に襲われ始める。

 その時、かちゃりと静かに扉を開ける音がした。


「あ、アウリス。目覚めていたんだね」

「オリヴェル」


 見知った顔が現れて、アウリスは少しだけ安心をした。

 王族に対して礼のひとつも取らない彼は、物心ついた時にはすでに隣にいた親友。

 王家の親戚筋に当たるマキラ公爵家の次男で、今は離宮で精霊神様に仕えている。


 しかしアウリスは、ここでも違和感を覚えた。

 オリヴェルとはある日を境にして親友ではなくなってしまったけれど、その理由が思い出せない。

 仲違いをしたはずなのに、彼は公爵邸に住みこんでいた。

 理由は精霊神様をお世話するためだったけれど、なぜ精霊神様は頻繁に公爵邸を訪れていたのか。


 思い出せるようで思い出せない。

 自分にとって最も大切なことを忘れているようで、恐怖すら感じられる。


「三日ほど眠っていたんだけど、調子はどう?」

「それが、おかしいんだ。記憶が所々、抜け落ちている……」


 ベッドの横にある椅子にオリヴェルが腰を下ろすの見たアウリスは、話をするために上半身を起こした。

 オリヴェルに視線を向けると、彼は曖昧に微笑む。


「いろいろあってね。少し確認したいんだけど、自分の家族構成については覚えている?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

gf76jcqof7u814ab9i3wsa06n_8ux_tv_166_st7a.jpg

◆作者ページ◆

~短編~

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】私を断罪予定の王太子が離婚に応じてくれないので、悪女役らしく追い込もうとしたのに、夫の反応がおかしい(約13万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ