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追放系をお題として一本「陰に残された魔導士(仮)」

「ちょっといいか?話がある。」

国王より託宣を受け、パーティーを組んで数カ月。

魔導士のアレンは勇者のロイに呼び出されていた。

ロイは王子でありながらパーティーメンバーの管理は勿論、勇者として育っただけあって剣の腕も立派なものである。

いつになく深刻な表情に見えたのでアレンは不安を感じた。二人だけになるとロイが切り出す。

「最近、調子はどうだ?」

「前の時と比べても何ら変わらないな。悪い、ここ最近上手く役に立てなくて。」

「そうか…まず結論から言う。このパーティーを出て行ってくれないか?」

そういうと、お金の入った袋を差し出した。ロイは続ける。

「アレンとしてはもしかしたら一時的な不調だと思っているのかもしれない。お前が出たところで俺たちに影響はない、とも言わない。が、お前は一度立ち止まるべきだ。無理をしてはいつか足を引っ張ってしまう。分かるか?」

アレンは黙っていた。強くなりつつある敵に焦っていたこともあるのかもしれない。

国民の期待を受けて旅立った手前、足を引っ張っては申し訳ないという気持ちに引っ張られていたこともあるのだろう。

「わかった、引き続き仲間を頼む。落ち着いて、追いつける見込みがあるならまた追いかけるとするよ。」

「あぁ、まずはここを頼ると良い。」


街の外れ、とある扉を開けて中を覗くと壁一面の本棚、その前に眼鏡をかけた老人が写本をしていた。

扉の軋む音と据え付けられたベルの音を合図に眼鏡をはずし、老人がこちらを向く。

「ふぇっふぇっふぇっ、空いている席に座るといい。或いは気になることがあれば見るなり聞くなり好きにせい。」

促されるままに座ってみる。

「…まだ何か気負っているようじゃな。どれ…」

老人は筆を置き立ち上がると本を一冊取り出し

「ついてこい。ワシが見てやろう」


言われるままついていくと広い場所に出る。

「試射場じゃ。っと、少しばかり実力を見せてもらおうかの。」

「あ、相方を頼めますか?サポート的に立ち回ってきたので…」

「あ、なら僕がしましょうか?」

そう声を掛けられ、振り返るとやや年下に見える一人の剣士がいた。胸当てにズボンという軽装な辺り、体術重視の戦い方を好むのだろうか。

「じゃあ、頼むかの。奴の名前はレイ。見てくれの通り剣士じゃ。まだヒヨッコそこそこと言ったところにはあるがな。お前さんほどじゃないにしろ多少は魔法の覚えもある。

こいつは魔導士のアレンじゃ。中々の腕をしてると見てるのじゃが実際に見てみんことにはな。頼めるか?」

「はい、よろしくお願いします。」

レイがアレンの横に並ぶ。その様子を確認すると老人が対面まで歩き

「久々に、動くかの。確かめながらで良い。来なさい」


ー=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-


とある森、テントの中で寝静まる一行の中、ロイは一人で作業に取り掛かっていた。

(驚くほどに上手く行ったな。フフ、アレンにかけた魔力制限の呪いも良い感じに解けてくれるはずだ。まぁ、国許であそこまで盛大に送り出した以上、誰もが俺を本物と信じて疑わないはず。万が一俺が目覚めたとしても残りの仲間やアレンの代わりが上手くやってくれるさ…)

念には念を、次の計画に向けて準備を着々と進めていく…

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