20話 海水浴と旅館
和み同好会は現在、バスに揺られ海沿いの道を走っていた。
「もうすぐだね!」
「生の海かー……」
「日焼け止め塗らないとダメでスヨ?」
「えー……めんど。ひゃぽ!」
唐突な頬っぺたサンド、息の触れ合う近距離はキス寸前。
「綺麗な白肌が土留め色になるのは絶対にダメデス」
「はなひぇ」
「そうだよ! 怜の持ち味でしょ!」
「うるひぇー」
ペシペシと足掻くも無意味、なされるがまま日焼け止めを塗られまくり。滑らかな素肌を堪能するニヤケ顔は抑えきれない。
「美影さんは既に焼けてますね。やんちゃしたんですか?」
「はぁ? 違ぇよ。おばあちゃん家の畑仕事手伝っ……」
「おやおや。よくあるギャップですね」
「う、うっせ!」
照れ隠しに脇腹やらを揉む攻撃、引き締まった腹回りに少々嫉妬。
自身も引きを取らないプロポーションだが、ライバルには負けられないと更に揉む。
素晴らし尊いバス内の花園、乗客も紅潮し見届けている。
「紫音、怜……いいのを頼む……全力で撮影する」
「うっす! よろしくっす! ジーザスパイセン!」
「今回の売り上げは期待できそうです」
「ぐへへ……」
同人誌即売会の写真集ネタでもある今回、ウハウハな未来予知に涎が止まらない。
「み、水着姿を目に焼付けますぜ……でゅ、でゅへへ……」
「美影さん、とても顔が気持ち悪いです。えい」
「にゃ!? こにょやろう!」
モチモチスベスベ頬っぺたを掴み合い、どこでもイチャイチャを見せる後輩達だった。そうこうしてる内に黒浜海水浴場に停車。
「んー……! 海の香りデス!」
「人もいっぱい……迷子にならないようにね!」
「子供扱いすんな」
「んうぁ」
頬っぺたをイジり小さな反抗、そもそも女性陣全員が目立つ存在、迷子になる方が難しい。
足早に水着へ着替える女性陣、自ずと視線は奈南の方へ。
「ふぅ……何か視線が気になるような……」
「相変わらずどえらいな。それ」
「ひゃ!? くすぐったいよ!」
「ふむふむ……どのコスも似合うな」
触診で採寸できる特技を持つ怜、最高の逸材はどの部位も素晴らしいと匠の面立ち。
「しゅ、しゅごいっす……一生もんだ……」
「み、美影ちゃん!? は、鼻血出てるよ!?」
「美影さんは行き過ぎた変態ですから無理ないです」
「紫音ちゃんも鼻血が!?」
裸の女神による介抱、後輩達は昇天。茹蛸のように全身真っ赤。
「何やってんだアイツにゃ!?」
「小ぶりは感度がいいデス~フニフニ~」
「や、やめろ! 尻と胸を揉むな! にゅ!?」
発情期の犬に近い息遣い、興奮の全てを物語る。女神達の戯れにモブ女子達は涙を流し傍観。
砂浜には大勢の人、水着の女神達は人々の視線を奪う。
「準備できたな……」
「あ、ジーザス先輩! 先に着替え終わってたんですね!」
「あぁ……素晴らしい……記念に1枚」
集合写真だけで大金をむしり取れるクオリティ-。
「にしてもよ……奈南、絶対サイズ無理してんだろ」
「ぐ……」
軽くはみ出るボリューム、ぎちぎちと今にも切れそうな紐。体は開放を求めている、体は常に正直だった。
「ほら。撮影用のもんで良かったら着直すか?」
「こ、こんなに面積が……み、見えちゃうよ!」
「そん時は手ブラのサービスだろ」
「えぇー!?」
着替えれば間違いなく痴女、高速で首を横に振り拒む。
「皆……俺について来てくれ」
ジーザスに続き人気のない岩場を超えた先、そこには人っ子一人いない白い砂浜。
「おぉー! まるでプライベートビーチっすね!」
「数時間限定だが貸し切りにして貰えた……」
「流石兄さんです。配慮に感服致します」
「ここなら撮影し放題だ! うひょー!」
「皆で遊ぶデース!」
「あ、待ってよ!」
水掛けや海水浴を楽しむ水着の女神達。スイカ割り、ビーチバレー、メジャーな遊びを満喫する姿をキッチリ撮影。
時間帯はすっかり昼時、海の家で昼食を摂る事に。
「どうして海の家で食う焼きそばは美味いんだ……」
「シーフードカレーもいけるよ!」
「タコライス辛!? 紫音! 水くれ!」
「自分で頼んで下さ……あ! 僕のメロンソーダ!」
「仲良しシェアは最高でスネ!」
遊びに遊び尽くし夕暮れ、帰り支度を済ませ余韻に浸る。
「今年も夏満喫したな~」
「インドア派とは思えないはしゃぎっぷりでしタヨ! そんな怜も可愛いデス!」
「なぁー……抱き着くな……」
胸に埋めスリスリ頬擦り、仄かに潮の匂いが香る。仲睦まじい姿に頬緩ませる奈南、楽しかった思いもあり寂しくもあった。
「帰るのが惜しくなっちゃうなぁー……」
「そうっすね……あ! ならアタシにいい案があります!」
「?」
「知り合いがやってる旅館で近場にあるんっす! 今からでも行きましょう!」
「はぁ……何を言い出すと思えば……行動力には感服しますが、今回は流石に無理があります」
「今オッケー貰った」
「え」
スマホ画面を見せつけ、快く了承するスタンプと一言が添えられたメッセージ。満身のドヤ顔とポーズで煽る。胸囲の格差もより強調。
「ぐぬぬ……」
「はん……では、アタシについて来て下さい!」
「俺は編集があるから帰らせて貰う……楽しんでくれ」
真男の後姿を見送り、美影を先導に旅館へ。古き良き日本風情の旅館、和服美人が大玄関でお出迎え。
「わたくし美影の姉従妹にあたる女将、唐沢沙綾と申します。美影が大変お世話になっております」
「ちゃんと女将してんな沙綾姉!」
「美影。前もって連絡して貰わないと困ります」
キリッと凛々しく鋭い眼光、Sっ気たっぷりなクールビューティにおじおじ。
「こんな美し尊い方々が来るとは聞いていません。おもてなしが足りないではありませんか」
「アタシも手伝うからさ! 今回は大目に見てくれ!」
「今回だけですよ……では皆様、お部屋までご案内します」
凛々しい眼光の奥にはハート、分かりやすく紅潮もしていた。和を重んじる旅館内を眺め、客室の襖が開かれた。
「和室デス! とても広々で良い匂いもしマス! スンスンスンスン!」
「犬ロゼだな。みゃ!? 流れで嗅ぐな!」
「す、素晴らしいです……コホンコホン……では、わたくしはこれで……美影、来なさい」
「はいよ。皆さんは存分にくつろいでくだせぇ!」
お言葉に甘えてそれぞれが羽を伸ばしリラックス。
「見て下サイ! 浴衣デス! 皆で着替えまショウ!」
「もう脱いでやがる」
「私も着替えよ!」
「痴女が2人になったな」
「脱衣イベントを焼き付けないといけませんね」
「変態は1人だな」
一眼レフカメラを構え脱衣を激写する紫音、変態カメラマンはいい仕事をする。
「怜さんも一緒に着替えて下さい。ハァ……ハァ……」
「だったら興奮すんなよ」
「無理です」
「……」
浴衣姿を褒め合いイチャイチャするメロン達、浴衣片手に2人へにじり寄る。
「着替えましょウヨ~」
「絶対に似合うから、ね? ね?」
「お、おい。詰め寄るな……脱がそうとするな!? ひゃ!?」
「えへへ~……いつ見ても綺麗な体デス……にゅへへ~……」
あっという間に下着姿にされ着替えさせられる。もはや変態の巣窟も同然。
全員が浴衣に着替え終えた頃合い、和装姿の美影が現れる。
「皆さんお待たせ致しました! お食事のセッティングをさせて頂きやす!」
「小綺麗になりましたか。清楚でいいと思います」
「おいてめぇ紫音。アタシが普段だらしねぇって言いてぇのか?」
「いつも肩を露出した服装なので」
「あぁ?」
お互いに似合ってるの一言が言えない、じれじれはもはや鉄板。
「仲直りのハグはしないのでスカ?」
「それは……」
「流石に……」
「むぅ……代わりにワタシがハグキスしマス!」
「「な!?」」
感情のまま抱き倒し、頬キスの連撃。
「お食事をお持ち致しま……ぶは! な、なんて破壊力のある景色……ぐっぅ……」
興奮状態を抑える沙綾、懐石料理の数々を仲良く頂く幸せそうな姿、沙綾は涙を流し喜ぶ。
「けぷぅ……食った食った~……もう食えねぇわ」
「日本旅館……最高デス……」
「食べてすぐ横になると牛になるよ?」
ダラダラと起きようとしないロゼと怜、これはこれで可愛いとにっこり。
「天然温泉も最高っすから是非とも堪能して下せぇ!」
「温泉! ねぇねぇ皆で行こうよ!」
「少し休ませろよ」
「今は動きたくないデス……ぷへ」
「慌てずとも逃げませんから、少し待ちましょう」
「えー……じゃあ私1人で行って来るよ! ふんふふーん~♪」
颯爽と浴場へ向かい、本日何度目かの脱衣。湯気立ち込める広々とした浴場内へ。
「うーん~! 温泉の良い香り!」
日中の疲れを発散させる心地良い温泉、紅潮する美肌にまとめ上げた長髪が妖艶に映る。
「おぅおぅ。乳が浮いてんな奈南」
「あ、怜!」
「ワタシもいるデース!」
「僕もいます」
一瞬にして美女風呂完成、肌が触れ合う近距離に嬉しいながらも照れる。
「こう集まってると猿風呂みてぇだな」
「知ってマス! 冬の風物詩ですヨネ!」
「寄り添う姿は可愛らしいの一言です」
「じゃあもっとくっ付いちゃえ!」
湯船内で生々しい接触が繰り広げられる中、サラシにポニテ姿の美影が登場。
「お背中……お流し致します! ハァ……ハァ……じゅるり……」
「目がガチヤバじゃねぇか」
全員体を洗った後だったため、彼女の願望が叶う事はなかった。




