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鍋敷きと歴史探訪

僕はナポレオンが嫌いだ。


あのナポリの田舎貴族風情が、500年の歴史に泥を塗り、皇帝を名乗る様を見るたびに不快感が込み上げてくる。もしかしたらフランス人ですらなかったかも知れない彼がフランスの英雄などと、全く都合のいい事で。


ジャンヌ・ダルクを見捨てたというシャルル7世だって、何もしなかったわけではない。彼はブルゴーニュに脅しをかけたらもしていたのに、まるで見捨てたと非難轟々になってしまう。民衆は常に英雄の味方だ、愚かしいことに、上に立つ者の苦労も知らない。


でも、無能もいっぱいいるから面白い。イギリスに向ければ名前を継ぎたくならないような君主がいたり、オーストリアには何もしないで首尾よく帝位を守った寝帽子がいたり。彼らは無能だったが、彼らが生み出した果実は結果的に持ち上げられるのだから、面白い。


人類の歴史はリーダーの歴史だ。少なくとも、大衆が影響力を持つリーダー以外のその他大勢に関心を示すことはない。僕はそのニッチにこそ関心があるから、意外とリーダーの名前はほとんど知らないし、多くの豊富な知識を持つ人々と比べて、戦争や、政治や、あらゆる事の知識がない。だから当然応用するだけの知恵もないし、そんな奴が物書きを名乗るのだから君のいうように社会は優しい。


革命の軍靴が鳴り響く時に必要なものがリーダーだ。僕は一番年増だったが、どうしてもリーダーには向かない。部屋の隅でニコニコしながら、何をするでもない。そんな僕だから、簡単に先輩という立場を放棄できた。そうしてできた不思議なつながりの上に、僕は何も積み重ねることはしなかった。強いていえば?鍋敷きを積み上げたかなぁ……。なんてね。

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