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ヤドカリの宿跡

 いつもの時間、いつもの形、いつもの部屋、その全部。


 ずっと遠くに行ったような気がして、最近怖くなって。


 僕から言える言葉は、きっとそれほど多くは無い。多くはないから、生きているうちに伝えておきたいことがあったんだ。


 いつも君の部屋に皆で集まったね。集まった後には狭くって、兎に角足の踏み場も無くなったけれど。

 奇妙な繋がりがあるように思えて、やっと、民間人。になれた気がして嬉しかった。


 でも、今の僕は、民間人。になってしまって。底が知れてしまったようで辛いよ。


 あの時に信じていた、物、事、全てが、数に押し込まれて、時間に追い詰められて崩壊していくと、自分がここではないどこかに行きたくなるんだ。いまを生きることに精一杯になって、やっぱり、色々、耐えられなくなったりすると、あの部屋、狭い部屋を思い出す。


 ヤドカリよりも主人がベッドにこもったりとか、焼肉の席で玉ねぎを頬張るだけの楽しさとか、突然の閑居と笑いが同居する不思議な興奮とか。そういう諸々のために、考える余裕も少しずつ無くなっていって。

 犬とオコジョを見分けられないAIの笑い話をしたら、君はどんな顔をしてくれるのかな?


 つまりは、あの時のたこ焼き機の中に入れるのは生地とたこだけじゃなかったって事だよ。

 おめでとうとありがとうと、それから、地獄へようこそ、なんてね。

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