[神]の解放
今回だけ(多分...)グロいシーンが多発しております。
「ぎゃあァあ"あァァーーーーーー!!!」
人の寄り付かぬ未開の地と呼ばれる大樹海。
その奥地には、始祖の民などというたいそれた名を持つ一族がいた。
「グルルルゥゥ…」
その一族の住む小さな国は、お世辞にも住みやすいところではなかったが、
この世のものとは思えぬほどの絶景。
色とりどりの花。
そして、優しき心を持つ[民]がいた。
「ガギュッ、ジュギリ、ジュギャッ!」
その国からは、[民]たちの大切な優しさが消えようとしていた。
「あ"あ"ぁぁぁぁああぁぁーーーーーー」
[民]は全てにおいて平等にあろうとした。
[王]は能力のある者を高い地位にし、富を与えた。
「あぁぁ、われラヲオミチBikikdsr....oy.......」
地位を得た[民]は、[王]に忠誠を捧げるようになり
その者達は、[王]の[臣]となった。
「 [民]の分際で我らにっ、…ぐっ…おミチBikiuaae....uo.......」
高い地位につき、毎日好き放題出来るようになった[臣]たちは、
[民]を低い身分の者ども、としか考えられないようになってしまった。
それにより[臣]は、もう[民]を平等に扱わなくなった。
[臣]は、もう優しい[民]ではなくなってしまったのだ。
「はっははははあっはははあはHAHAhahahaha....」
[民]は、自分たちのことを平等に扱わぬ[王]や[臣]への怒りを爆発させた。
[民]は、反乱を起こした。
「母さんっ!もう…ヤツが……」
しかしながら[民]には家族が、家庭があった。
そのため、集まる者達の目には光はなく、暗い闇が延々と続いていた。
反乱には、とにかく[王]を殺してやりたいと考える者達。
親に捨てられたり、[臣]に…[王]に親を殺された子供。
[王]や[臣]の、雑な管理により仕事を失い、住むところの無くなったもの。
この反乱には、そのような[王]や[臣]に大切なモノを奪われていたり、
心に深き憎しみ、悲しみを持つものが集まった…集まってしまった。
「なぜ....[彼]は.......このようなことを..........」
数はそれほど多くはない。
だが、この者達の憎しみはこの大樹海をも超える大きさとなっていた。
それでも優しきこの者達は、[民]を傷つけた[王]や[臣]に罰を与える正義になろうとした。
「こやつは...ま、まさかぁッ!ーーーグジャっ」
[彼]は別段、輝かしい正義や深い憎しみ等は持っていなかった。
しかし、[彼]の正義…..悪意は他の[民]とはかけ離れたどす黒く深い[悪]であった。
「グオオォォオーーン!!!」
[彼]は正義を語る[民]達に[王]や[臣]の行ったたくさんの[悪]を騙った。
それはもう沢山騙った。
あることないこと、ただの噂さえも本当にあった事のように騙った。
全ては[民]を[悪]にするために。
「儂は[王]であるぞ!道を、道を開けろぉお"ぉ!ーーードン.....バキッ、ゴキッ」
正義を語っていた[民]達は、[彼]の元に集い、忠誠を捧げた。
奇しくも[王]に忠誠を捧げた[臣]と同じように。
こうして集まったもの達は[悪]となった。
「火がァ、火がァァ…ぁっ.........ぅ................」
[悪]は[彼]を[王]にしようとした。
小さな反乱が、国をも巻き込む[悪]となった。
「バフッ、バク、バクバク、バキッ、バクバクバク…....」
[彼]に率いられる[悪]達は考えた。
[王]を殺す....その作戦を。
「あァ、神よォご慈悲をぉぉおぉ!ーーーザシュッーーボトっ」
[悪]は思い出した。
この地に眠る厄災の存在を
この国が多大なる資金を注ぎ込み封じ込めた[神]と呼ばれるモノがいたことを
[彼]はほくそ笑んだ。
かの[神]を使う事を[彼]は決めたのだ。
「モット、クワセロ.....」
[悪]はついに動き出した。
[彼]に[王]となってもらうために。
[民]を苦しめた[王]や[臣]を殺すために。
[悪]は憎しみと共に悪意をばらまいた。
[悪]を捕まえようとする[臣]を肉片にし
言うことを聞かぬ[民]を踏み殺した。
そして、[悪]は[神]を封じてある祭壇を占領した。
そこには何枚もの札が貼られた見るからに分厚い鉄製の扉が存在した。
そして[悪]は札を焼き払い、扉の鍵を開けた…..........
「ギギギギィィィーーーーーーガタン!」
扉が開き数秒後には扉を開けた[悪]達は[神]によって全員頭を喰われた
そして、その[神]は音もなく国へと侵入した。
図体が人の2 ,3倍もある[神]が簡単に国へ入れたのは、
一重に反乱を起こしている[悪]のお陰であろうが、[神]に知る術はない。
[神]は食事を開始した。
「ぎゃあァあ"あァァーーーーーー!!!」
[民]は戦火の中にいた。
平和であったこの国では、[民]は一切の武器の所有が認められておらず
逃げ惑うことしか出来ないようである。
「グルルルゥゥ」
[神]は、久々の食事を前に涎を垂らしていた。
「ガギュッ、ジュギリ、ジュギャッ!」
手始めに逃げ惑う[民]の集団の真ん中に着地、沢山の[民]を血肉へと変えた。
「あ"あ"ぁぁぁぁああぁぁーーーーーー」
その一部始終を見ていた[民]はズボンをびっしょりと濡らして走り去った。
[神]は、しばし考えた後に、逃げた[民]とは別の方向へ向かった。
その先には、数人の[臣]が[悪]と闘っていた...が、[悪]のワンサイドゲームである。
[臣]は急いで逃げだしたためか、武器や護衛がとても少なく、
その手には、城から持ち出したのか宝石や金貨の袋が握られていた。
「あぁぁ、われラヲオミチBikikdsr....oy......」
その[臣]は、最後まで[王]に縋った。
「 [民]の分際で我らにっ、…ぐっ…おミチBikiuaae....uo.......」
その隣の[臣]は、最後まで地位を手放そうとはしない[臣]であった。
「はっははははあっはははあはHAHAhahahaha....」
その先には、気の狂ったような笑い声をあげる[民]がいた。
その[民]も始めは逃げていたが、あまりの恐怖に耐えかね、
数秒後には自身の爪で喉を切り裂き自害した。
「母さんっ!もう…ヤツが……」
その先には、親子で必死に逃げる[民]の姿があった。
[神]は、その親子を丸呑みにした。
その様子を見ていた15歳程に見える少女は、涙を流した。
そして、どこにいるのかも分からぬ[彼]を探した。
「なぜ....[彼]は.......このようなことを..........」
少女は、この国が好きだった。
確かに[王]や[臣]は酷い事をしてきたようだが
少女はこの国が好きだった。
優しい[民]。
美しき景色。
たくさんの綺麗な花。
そして....大好きな[彼]がいたから…......。
その先には、ぎりぎり[神]の姿を見た事のある世代であろう
90代程に見える[臣]の爺がこちらを見た。
「こやつは...ま、まさかぁッ!ーーーグジャっ」
[神]は、頭蓋骨を噛み潰した。
「グオオォォオーーン!!!」
[神]は、真っ赤な血の色をした空へと咆哮を放った。
その声を聞いたものは、周りも見ずに逃げ出した。
その中には、[王]も含まれていた。
[王]へと忠誠を捧げた[臣]は、すでに逃げ出した後だった。
[王]を護るものはもういないのである。
「儂は[王]であるぞ!道を、道を開けろぉお"ぉ!ーーードン.....バキッ、ゴキッ」
[王]の最後は、前を見ずに逃げ惑う[民]に押し飛ばされた。
[王]は、その[民]や追いかける[悪]に気付かれることも無く踏み殺された。
その後ろには[悪]の放った火が迫っていた。
「火がァ、火がァァ…ぁっ.........ぅ................」
逃げる人々に踏みつぶされたのか、足があらぬ方向に曲がっている[民]が
地に這いつくばって必死に逃げていた。
しかしながら、その速さでは火から逃げられなかったようである。
[民]は誰にも気付かれずに灰となった。
「バフッ、バク、バクバク、バキッ、バクバクバク…....」
[神]は喰らった。
数え切れぬ程の屍を積んだ。
全てはこの身体に宿る欲望のため。
全てはこの美味を味わうために.......。
「あァ、神よォご慈悲をぉぉおぉ!ーーーザシュッーーボトっ」
[神]には、[悪]も[民]も関係ない。
[神]はただただ喰らい続けた。
己の身に宿る狂気を解き放ちながら。
「モット、グワゼロ.....」
また、[神]の前に屍ができた。