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僕はヒーローなんかじゃない4

008


「……疲れた」


 間違いなく僕の心から出た素直な感想だった。


 確かに『女子の買い物は長くて面倒くさい』と何となくイメージでは知っていたし、自分の彼女とデートで買い物をすることも決して初めてではなかったが、あいにく今の僕は両手に花の状態だ。


 可愛さもいつもの二倍である代わりに、残念ながら面倒くささも二倍である。


 結局、ひたすら色々な店に連れまわされた挙句、特に何も買うわけでもなく僕たちはフードコートで少し遅めの昼食をとっていた。


「久間倉君、お昼ご飯を食べたらこのお店に行ってみましょうよ? 久間倉君ってばファッションセンスが絶望的なのだから私がよさそうな服をいくつかコーディネートしてあげるわ」


 食後のアイスを食べながら村雨がそう言ったかと思うと、


「いいえ、久間倉さん、お昼からは私と映画を見ましょう。今評判の映画がここの映画館で上映しているんですって」


 と、すかさず文月ちゃんが別の提案をしてくる。


 この一幕だけを見てもなぜ僕がここまで疲弊しているのかが分かってもらえるのではないだろうか。


「はぁ、どこでも付き合うからできれば二人で意見を合わせてくれると助かるかな」


 僕がそう言うと、何やら二人でひそひそと相談を始める。


「かれんちゃん、まずは私の買い物に付き合いなさいよ。あなただって格好いい服を着た久間倉君を見たいでしょう?」


「うぅ……仕方ないですね。分かりました。その代わり、次の上映時間には映画を見に行きましょうね? 三人で間に久間倉さんを入れる席順で我慢しますから」


「そうね、それで行きましょう」


 女子二人の相談が終わったのか二人とも僕の方を向いてにこやかに笑う。


 ……なぜだろうか? 二人ともすごく魅力的な笑顔なのにどこかこわい。


「じゃ、じゃあ決まったのならそろそろ――」


『行こうか』と僕が言葉を続けようとした瞬間――ショッピングモールの天井が突然爆破した。


「――!?」


 途端にショッピングモール内の人々はパニックになる。


 そして、その雨雲が見えるその天井の爆破された部分から、白衣を着た男が見える。


 その男は僕たちの方を見ると、


「見ぃ~つけた!!」


 と、言って僕の方を見た。


「……木原那由他」


 隣にいた村雨が口を開く。


「――あいつが!?」


 次の瞬間、木原は僕の方へ一直線に突っ込んでくる。


「――変身!!」


 僕は超人化して木原の突進を受け止める。


「会いたかったぜ。お前、宇宙人なんだろ?」


「僕は会いたくなんてなかったよ」


 自分の彼女の元カレなんて、もちろん会いたいわけがなかった。

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