【分岐ルート①】猫かぶり
大変長らくお待たせ致しました。
なんとかかんとか更新しました。
やはりケータイよりPCのが打つの早くて楽ですわ。。。
そして今回初の分岐ルートです。
アリシアのストーリーの大元はあまり変わりませんが、人間関係や、性格等が変わっていきます。
久しぶりに自分勝手な部分を出せましたが、もっとアリシアをぶっ飛んだ娘にしたいのが私の本音です。まだまだ続くよネコカブリ。
朝起きると、
そこは先日の宿の様な雰囲気ではなく
貴族用の客室を思わせる内装であった。
ニズウェルの街の中でも一際大きな建物で
一時的な執事やメイドもいる。
ここは所謂、迎賓館というやつだ。
「そういえば……あったな、」
昨日の事を思いだし、周りを見渡す。
やはりこういった内装の方が落ち着くが、
隣で腕を掴み寝ているルシリアが憎たらしい。
…お陰でベッドから出られない、
物理的に。
どうしたものか…
「まぁよい、か」
パタリとそのまま枕に頭をおろす。
そして二度寝の始まりである。
夢の中でアリシアは冒険者となり、
魔王と闘い、世界を救う勇者となったのは
本人すら覚えていない。
この日の朝は昼であった。
昼食が運ばれて来た為、
テーブルに着き食事を済ませると
昨日の白髪の髭が現れた。
「馬車の希望?」
白髪の髭曰く馬車もオーダーメイド出来るようで、
必ず着けるように言われたのが
「タープと砂地用の車輪、だってさ」
アリシアはルシリアと街の地図を片手に
街の中でも一際大きな荷車を作っている 工房に訪れた。
形としては大きな馬小屋のようである。
ただ中では木を組み立てながら色々な部品を造っているようだ。
「こんばんわー」
アリシアが余所行きの声色で工房の中に声をかけると職人達は一斉にアリシアの声のする方へ視線を向け、作業中の手を止めた。
半開きの扉にひょっこりと顔を出すアリシア、
静寂の中その幾多の視線を居心地悪そうに受け止め、困ったような表情を作り
「ここへ来たら馬車を作って貰えると聞いたのですけれど…」
右手を口元に当て一瞬だけ瞳を潤ませる
アリシアの一つ一つの仕草に男である職人達は本能を擽られる。
すると中から特にガタイのいい職人が歩いてくる
「お嬢さん、ここは作業中は入っちゃ行けないんだよ?旅の方かな?」
鼻の下伸ばしデレデレである。
アリシアの演技を見ながら勉強になる、
と思いながらルシリアも扉を開き
「私達は現在この街の迎賓館に泊まっているのだが、馬車が必要なのだ。」
凛と透き通る音の中に強い芯のある声。
ルシリアは迎賓館で提供された服を着ていた。
白を基調としたチュニックワンピースに
ウエストとバストを強調するようにリボンが上品にあしらわれている。
リボンはルシリアの髪と同じ赤、
赤いラインの入ったカーディガンのような物を上から羽織っている。
アリシアとはまた違うタイプの美女に工房内の職人はざわついた。
アリシアに話しかけてきた職人も
「ほーぅ」とルシリアを眺める。
迎賓館に泊まっているというのだから、勿論どこかの国の貴族であり、自分等の到底手の届かぬ存在である事は明白だ。
しかし身の丈に合わぬ色恋もまた燃える。
「一概に馬車、と申されましてもどのような馬車をご所望で?」
揚々しいお辞儀をしてみせる職人はアリシアを見てウインクをした。
「大陸中を進める馬車が欲しいの、それに悪路でもあまり揺れない方がいいわ」
「内装は広くて頑丈な物を。」
アリシアとルシリアが要望を伝えると
「サスペンションの強化、車軸の補強、大陸中となると車輪も替えを幾つか、広く強くするのに重さの増量と増馬は避けられないな…」
「あ。馬は大丈夫なの。」
アリシアはその呟きに横槍を入れた。
「へぇ、馬を先に決めてあるのですか」
「アテがあるのです」
「どのような馬で何頭程用意出来るのでしょうか?」
「んー…ちょっと詳しくは解りかねるのだけれど…」
アリシアは困り顔で人差し指を顎に触れ小首をかしげる。
「心配は無用ですとも、場合によってはこの街のほぼ全ての馬をも用意できます。」
後ろからぬっと出てきた白髪の髭が割り入る。
いきなりの介入に職人も驚きつつも
「ヴィクトリアタイプの強化版でいいのか?」
アリシアに対する言葉でない為か乱雑な言い方をする。
「いえいえ、キャリッジのランドーを軸にワゴンのように荷台も設けるのがよいでしょう。」
「てめぇ、簡単にモノを言いやがって。こっちだって換金屋の我がままに付き合っていられる程暇じゃねぇんだよ第一、時間よか資材がねえんだ。モノが無ければ作れもしねぇさ。」
「ふむ、時間と資材ですかな…ふむ、ふむ。」
白髪の髭は強気の態度を崩さぬまま目を細め、髭をいじり周りを見渡す。
「嬢ちゃん達、申し訳ねぇな、今中央からの注文で手いっぱいでよ。」
「それでは私達の馬車は作れないという事なのですね…」
アリシアはうるると瞳に涙を浮かべてみる。
「いやぁ、仕事急ぐことは出来んだけどよ、嬢ちゃんたちの分の資材が足りねぇんだ。あいにく時期的にも高砂が来る頃だしな。」
「高砂?」
聞きなれぬ言葉にオウム返しをすると、今度は髭が答える。
「このニズウェルという街が出来た一つの理由でもあるのですが、
ここら一帯では西側から吹く突風により、ある程度の頻度で高さ3mを越える砂の波が押し寄せてくるのです。
そうした波から中央を守るための防波堤役を担っているのがこの街、ニズウェルなのです。」
「ある程度の頻度…って?どのくらい?」
「平均して月2~3回来ます。その間は街の外に資材を調達しに行くのはとても困難になっているのです。命の保証も出来ませんし。」
白髪の髭は困った様に髭をさする。
アリシアは唸りながらうしろのルシリアに耳打ちする。
「竜の力でこれ、どうにかなんない?」
「無理ね、自然災害相手じゃどうにもできない」
ふむ、と黙りこくってアリシアは馬車工房の建物を指差し、悪魔の一言をいい放った。
「じゃあ、この建物半分くらい木材に戻せばいいじゃない。」
周りは皆一瞬何を言っているのか理解出来なかった。
「どうみてもこの建物半分くらい木材に戻して、再利用したら足りると思うのよ。」
ドッと笑いがわきおこる。
職人達は涙を溢しながら腹を抱えて笑った。
「なに?なんなの?」
アリシアは自分の発言に爆笑が生まれ不機嫌である。
「わりいわりい、お嬢ちゃん。気に入ったよ。男は健康的におてんとさんの下で働いてりゃいいんだよな。お嬢ちゃんの為だったら、いいぜ。」
「ほんと!?」
アリシアは職人の手を取り喜んだフリをする。
すると職人はデレッとしつつも白髪の髭を睨み付け、
「ただし、賃金は2倍だ。作業もこっちを優先してやる、どうせ高砂の間は中央もチョッカイだしてこねーだろうよ。」
そしてアリシアに視線を移してデレる。
その日の夜
迎賓館のベッドでルシリアは髪を乾かすアリシアに問う
「馬車はなんとかなりそうでよかったね」
「えぇ、私があそこまでしたんだもの、上手く回ってくれないと困るわ。」
「んで結局、馬はどうするの?」
「どうする、って?」
「カブから馬を貸して貰えるみたいだけど、あの髭が色々手配出来る範囲に馬もあるみたいだけど…」
「あー。」
「どうするの?」
◆◇◆◇◆◇◆◇分岐ルート◆◇◆◇◆◇◆◇
◇3/23のpv数によりアリシアの返答が変わります◇
150を超えた場合、
「カブの方に頼もうかな」
150未満の場合、
「髭の方が楽に言えるし、髭に任せちゃおうかな」
となります。
アリシアの行動が変わりクムルンランドでのイベントが変動します。
宜しくお願い致します。
最後までいつも有り難う御座います。
ルート分岐、どうなるかよくわかりませんが、
読んでくださる皆様を楽しませられるようにがんばります!
なかなかアリシアのイラストは自分でもイメージわかないですがなんとか形にしたらもっと脳内で素直に動いてくれるのかな?と考えております。
も少ししたらルシリアの過去番外編も載せます。
大体想像はつくかもしれないけど…