【2周目】野盗成敗 1
これは国取り戦国ゲームにタイムトラベルしたお話です。まだ、大名にもなっていません。
さあ、合戦の始まりだ。
相手は野盗50人。こちらは武将5人と足軽20人。余裕だね。数の上では負けてるけど、圧勝の上全員捕縛するという縛りプレイ。
弁慶さん。出番です。やっちゃってください。
ひとり前へ進む弁慶。見張りも何事かも分からず、伝令に走る。出てくる出てくる野盗ども、弁慶さん、早速囲まれちゃったよ。
野盗のひとりが切り掛かってきた。弁慶は槍使い。喉元に一撃。刃がない方での打ち込みでも、あれじゃ当分意識戻らないわ。
次は数名が一度に襲ってきた。連携が出来るとは盗賊とはいえ手練れだ。弁慶は、刃先でひと振り牽制した後、腹を正確に突いていく。苦悶の表情の野盗達。
構わず、前へ前へと進む弁慶。弁慶の槍は肢の部分も鉄で出来ている。重くて持ち上げるのもキツイくらいだ。弁慶は周囲の野盗の頭を狙い薙ぎ払う。数名が昏倒してしまった。次から次へと野盗が襲ってくるが、喉などの急所を突き、戦闘不能にしていく。でも、流石に多人数相手じゃ疲れてきたか?
逃げようとした野盗には 既に20名の足軽が包囲している。
敵わないと踏んだ野盗が、頭領を呼んで来た。
義経が臨戦体型だ。
「義経、これを持て。ハンデだ」と言い、木刀を投げる。
ハンデという言葉が理解出来たか不明だけど「マジかよ」って顔はしている。
義経対頭領。睨み合う。
「おまえ、まさかそれ、只の木刀じゃあるまいな」
「打ち合って見ればわかるさ。俺も同じ疑問を持ってたんだ」
「ナメるな」重量のある斧が義経を襲う。
義経は、身体でスッと躱す。防御も出来ない木刀では回避するしかないか。無責任だけど。
すると、斧の軌道を読んだ義経が斧をかわし、木刀で利き腕を捉えた。堪らず、斧を離し腕を抱える頭領。
勝負あったかに思えた瞬間、義経の頬に左フックが飛んだ。ヘビー級の拳に義経は吹き飛ばされた格好だ。いや、ダメージ軽減のため、自ら飛んだのか?
義経は、私が預けた木刀を捨て置き瞬間移動で殴りに行った。野盗もこの様子を唖然と眺め、 弁慶も動きが止まる。
自然に義経と頭領をの戦いを観戦する輪が出来てしまった。
「やっちまえ、お頭。右だ。右だ。」野盗から声援が飛んでるし。
なんなんだろう。この討伐って。義経を応援するしかない?
ふたりの喧嘩は、なかなか拮抗している。一発のダメージが大きくタフな頭領。義経は上手く回避しながら、顔を中心に殴りダメージを蓄積させている。
野盗のひとりが「オレお頭に賭ける」と言い出した。
私は「面白い。受けて立とう」って「オレもオレも」「乗ったぁあ。全部受けるぞ」賭博試合になってしまった。
勢い付いた頭領。義経に渾身の右ストレートが入った。マジで吹き飛ぶ義経。
頭領が「有金全部持ってこい」って叫ぶ。おっ結構貯めてたね。君たち。
「では、こちらは義経の愛馬を賭けよう」
「なっ。それはやり過ぎだ。あとで覚えてろ」
頭領からの一発が効いたのか、朦朧として防戦一方の義経。いや、何か狙ってるな。防戦で体力を溜めている。
義経が、動いた。
頭領の右ストレートをかわし、懐へ。そのまま、頭領を踏み台にして飛んだ。そう、飛んだのだ。コレが有名な『八双飛び』。違うよね。きっと。
重力を利用した踵落としを見舞わせ、背中に回り込むとグッと頭領の胴を挟んだ。
まさか。えー〜。バックドロップだぁ。
ズンッ。 シーン・・・・割れるばかりの大歓声。
さすが、魅せる男・義経。ヒーローだわ。
野盗退治なんだけどね。
水を掛けて頭領を起こし、興奮覚めやらむ間に宴会に突入。
「皆の者、今宵は無礼講じゃ。飲めや、謳え」
「明日から地獄だけどな」
死闘を繰り広げた二人は、古い友人のような親密さだ。
私がなんか呼ばれたらしいので行ってみる。
「貴様は何者だ」
「里見だ。領主の息子だ」
皆さん、反射的に平伏。条件反射だね。
「無礼講って言ったであろう。ただ、貴様達は運が良い。討伐に来たのが私であったからな。まあ、無礼講じゃ、飲め」
明日からの事を何も考えてない野盗達。
夜が更けても宴会は続くのであった。
第3章から、本格的に国取りを始めます。