【閑話】 桶狭間の戦い
武田包囲網は出来たが、真っ向勝負で勝てるとは思えない。何か策はないものかと思案している。
「のう、半兵衛さんや。聞いておくれ」
「今、忙しいので夜にでも」
「今でしょ。武田に勝つ秘訣を伝授しようかと思ったのだ」
「それは、是非ともお聞きかせください」
「山間の谷間へ誘い出し、細く長くなった部隊に大きな岩や火矢を浴びせ掛ける」
「主よ。主。何か物語でも読んだのであろう。そう言った場所には予め伏兵を置き、策を企む兵を掃討するのが常套。大体大きな岩をどうやって落とす。谷間をどうやって火に海にする。夢物語です」
やっぱ、現実的じゃなかったのか。諸葛亮の嘘つき。
「なら、現実的に考えて、例えば、今川の大軍を迎え撃つする。何万って大軍ならどうしても列が長くなる。そこへ本隊の今川義元目指して突っ込み大将首を奪ってしまうのはありだと思うが」
「不可能です。どうやって本隊に近づくのです。斥候や物見もいますし、馬の蹄の音が聞こえてしまいます。有り得ないことばかりじゃなく真面目に考えて下さい。私も忙しいのですから」
やっぱり、有り得ないんだ。桶狭間。もうすぐ有るけど。
「なら北条家の文官は残ったのに、武将はいない。大きくなった国を守れないではないか?」
「文官は、兵がいなくても仕事は残ります。兵も領土も無けので。更に怨みのある里見家には志願しないです。殿は北条家武将から怨まれてますよ。夜道は気をつけてくださいね」
難しいな。現実に主君を返させるのは。
ゲームなら、次の目標の大月・小山田は寝返るのに。
やってみよう。損得で考える武将であれば、必ず落ちる筈だ。
武田騎馬軍団欲しいなぁ。みんな召抱えたいけど無理だろうな。
おっ 今川動いたぞ。
もうすぐ、桶狭間だな。わかってても静観するよ。
半兵衛の驚く姿が目に浮かぶ。




