【1周目】ゲーム スタート
ゲームが、始まった。
鮮やかな桃色の桜が咲く石庭の庭を背に、板張りの廊下に土下座いや平伏する5人。
「これより、元服の儀を行う」との声。
えっ。そこからスタートするのね。
そうすると私は15歳? さっきの配下たちも、全員15歳って設定だね。
「義舜」「半兵衛」「義経」「弁慶」「与一」面をあげ。
えっ。「義舜」ってダレ?消去法でいくとやっぱり私だよね。
「はっ」と顔をあげ、現状を確認。
中央の上座に大名らしき人物、おそらく「里見義堯」であろう人物。左右に2名づつ計4名が鎮座している。
お互いの面を合わせ、静寂と緊張が続く。
おもむろに父である里見義堯が静寂を破る。
「励めよ」 「「「「はっ」」」」 平伏する5人。
「下がれ」
どうやら、無事終わったらしい。控えの間で待てとの指示。これ国取りゲームだよね。緊張感ハンパないんだけど。どうなるの? これから?
控えの間では、配下4人も緊張が解けたのか思い思いにリラックスしたムードになってる。
義経と弁慶は気が合うのか「腕相撲」を始めた。
与一は、ただ茫然と遠くを見ている。一体何を見てるのか気になる。
私は半兵衛に今の状況を確認しているとこ。
今は1550年、桶狭間の戦いの10年前にタイムスリップしたと考えればいい。本物の里見義弘は、とっくに元服している筈だけど、史実と違うのはゲーム仕様って訳だね。
里見家の勢力は、安房のみで上総は勢力外。
北条家と組んで攻め込んで来ないのを祈るばかりだ。
でも、攻めてくるだろうなぁ。ゲームだもん。
私らが元服するまで、上総との戦は絶えないらしい。
現城主の義堯は武勇に優れ、私らが元服するまでの間安房をよく守ってるらしい。
簡単に言えば、里見家自体には問題ないが、他勢力特に北条の力が強すぎる上に安房が北条家に目の敵にされている状況らしい。
「打倒!北条家」ってのが我が家の方針ってわかったけど、じゃあ何をすればいいの?具体的に。
そう思案していると、家老の正木が部屋に入ってきた。
家老様曰く、これから私達は盗賊狩に出るのだそうだ。
10名の兵を率いて早速盗賊退治に向かえとの事。
「おぅ」と元気に応えたのは、義経・弁慶。君達ホント戦うのが好きなんだね。与一は無表情で家老様を観てる。掴み所がないよ。与一ってば。
さすが、半兵衛は路銀や馬などの詳細を打ち合わせてる。助かります。半兵衛様。
私は、考えるのが担当。
これってゲームしてのチュートリアルっぽいイベント?
戦い方を学べって事だよね。きっと。
ワクワク、ドキドキってより、実際怖いんだけど。どうしよう。
もともと戦いは人任せってステ振りしたけど、武力上げとけば良かった。
ここは変わって城主であり、父でもある里見義堯の居間。
「のう。正木よ」
「アレが本当にワシの息子なのか?」
「あまりにも脆い。盗賊如きに後れをとるのではないのか?軟弱この上ない。」
「殿。若殿は思慮深きお方とお見受けしました。誠実で素直なお子です。なにより、人を惹きつけるモノを感じます。」
「確かにな。ただあの『青びょうたん』では、この戦国の世を生き残れるか心配でならぬ。生きて帰ってくれればよいがのぅ」