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【2周目】初陣

城主になり「里見義弘」と改名した。


上総平定が終わって一息つく暇もなく、上杉謙信から書状が届いた。


上杉家に呼応して北条と戦おうというものだ。

渡りに船とはまさにこの事。運が良いのか?まあ、 ほぼ、史実通りだけどね。


千葉の松戸近くで大合戦が始まるらしい。

当然、『初陣』となる訳だ。

死ねないんだよ。絶対、生きて帰る。


戦の準備は忙しない。ゲームなら簡単なのにね。


初陣であり、ただのイチ武将の立場である里見義弘。後方待機だってさ。陣も合戦の場から離れている高台だ。高みの見物といこうじゃないか。


里見軍大将は当然、里見義堯。

対する北条の大将は、北条綱成、 剛のものとして有名だ。はっきり言って強い。


まあ、大将自ら先頭に立って戦う時代じゃないでしょ。


法螺貝が吹かれ合戦が始まった。

隊列を組んだ部隊が一斉に走り出し衝突。遠くから見ると小競り合いにしか見えない。


「あの高台なら弓が届くのになぁ」ボソッと与一が呟く。

「騎馬で回り込んで本隊を背後から攻めれば」って義経さん。それ無謀だよ。

「若干、北条の方が強いか?押されている」と、 弁慶さん。

私も「左翼が弱い。あそこを突けば、勝機が見えるんじゃないか」って偉そうに言う。


「それは敵の罠です」

えっ。半兵衛さんマジですか?


「ええ、見え見えの罠です」


そこへ伝令が来た。

「里見義弘軍に左翼への出撃命令です」って

むざむざ、罠に飛び込めと?まあ、相手が弱いと言う判断なんだろうけど。どうしよう。命令だから、罠と承知でも行くしかない。


嫌な予感しかしない。


まだ、負けと決まった訳じゃない。頼もしい配下もいるしどんな罠でも返討ちにしてやる。ハハハ。トホホ。


左翼後方。もう間近で殺し合いが行われている。総大将の父はこれを見せたかったんだろう。って冷静に考えると、左翼のさらに左から敵が現れた。左翼が囲まれた状態だ。

半兵衛の言う通りの罠だった。

まずい。まずい。まずい。身動き取れない。やるっきゃない。


本隊も動き救援に向かっている様子。

「踏ん張れ。本隊の救援が来るまで持ちこたえるのだ」

パニクった兵士達に言葉は届かない。我が隊は混乱の極みだ。私自身が動揺しているせいか。チッ。


げっ。本隊の動きも読まれてたよ。本隊へ弓の一斉射撃の後の背後にも部隊が現れた。おのれ、北条。戦上手ではないか。まんまとしてやられた里見軍。敗戦確定だ。

総大将・義堯は足に矢を受け落馬、撤退の合図だ。


こちとら、囲まれて簡単に撤退出来ないんだけど。

義経・弁慶がどうにか踏ん張り、撤退路が見えて来たとこで一本の非情な矢が私に向かって来た。半兵衛がその身で私を庇い、 半兵衛の胸に深々と矢が刺さっている。


「半兵衛!!!!!!!」


敵は半兵衛にトドメを刺そうと近づいてくる。

キレた。吠えた。

私は、がむしゃらに敵を斬った。理性なんてない。ただ半兵衛を殺した敵が憎かった。泣きながら、半兵衛半兵衛と口走り刀を振り回している。


味方兵が助けに入り、半兵衛の元に駆けつける。まだ、息があるようだ。

「殿、お逃げください。私のした事を無駄に…」

「喋るな!」

私は半兵衛を背負い前を義経・与一、背を弁慶に守らせ退去する。



半兵衛は私の背で呟く。

「主よ。私は楽しかった。盗賊退治も調略も。なにより、民と一緒に笑う主が大好きだった。主の配下で本当に幸せだった」

「喋るなって言っておろう」

「主。ありがとう。私は少し眠らせていただきま…」


早く脱出して半兵衛を手当てしなければ。

弁慶は、神妙な顔をしているが、絶対、間違いだ。

「半兵衛、生きて帰るんだ」

「一緒に碁を打とう」

「将棋というものがあってな。あれなら負けない」

応えぬ半兵衛にただただ、話しかけるのだった。











続きます。

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