名前
時間を無駄にしないよう気を付けてください
馬車での自己紹介
「改めて自己紹介するか、俺はドラン、力魔法が多少使える。剣士でこのパーティーのリーダーだ」
「俺はステイ、俺も剣とほんの少しだけ火の魔法を使う」
少し軽そうな人だな
「僕はメルク、水の魔法を使う」
文系っぽい
「私は、ラン…です、光と、風の魔法が…使える」
喋るのが苦手なのか?
俺の番か。
「名前は検討中、使える魔法は力魔法、よろしく頼む」
((((人の目を直視できない人か・・・))))
コミュ障がばれた瞬間であった
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「…見えてきたな」
「あれがダナフォード王国か?」
馬車に揺らること数時間、ようやく見えた建物は、高さ五メートルほどの壁がずっと続いている。
「あそこの門を潜ればバルタン地区に入れる、俺達はまっすぐ冒険者ギルドに向かうが、お前さんも着いてくるんだろ?」
「ああ、そこで冒険者登録すればいいんだよな?」
「そうだな、それで今回の報酬なんだが…」
「もらう側が言うのも何だがいいのか?」
今回、ドラン達は魔物調査の依頼のため出向いたのだが、俺を見つけ、調査に必要な分の時間俺がうろついていたため、早々に切り上げて帰って来た。
そのため、故意では無いとは言え、調査モドキをした俺に報酬の二割を支払うと言う。
現在無一文だし貰えるのは嬉しいのだが、申し訳ない気持ちがある。
「おう、構わねえよ。これも後輩冒険者の育成のためと思えば安いもんよ!それに俺達のためでもあるしな」
馬車に乗っているときに聞いた話では、冒険者のランクは上から、S,A,B,C,D,E,F,Gがあり、Cまでは個人の実力や能力で判断され、B以上になるには、次の世代に繋がるように弟子や、後輩に技術や知識を教え込む必要がある。そして、教え込まれた冒険者の量やランクによってB以上になることができる。
ただし、自分の知識や技術を他人に教えると言うことは、自分の手の内を晒すことと同じことで教える対象は、息子や信頼関係にある相手に限られる場合が多い。
松茸を見つける職人は息子にしか良く生えるところを教えないらしいが、似たような物だろうか?
「てことは、俺を弟子にしてくれるって事か?」
「弟子ってよりか、「こいつは、俺の後輩だ!」ってなことをギルドに言って周知させることだな。もちろん俺の技術や知識は教え込むぜ?」
なるほど、そう言うことならありがたく貰っておこう。そんな事を話しているうちに門の前まで来た。
門を潜るには、門番と顔を合わせ理由を言う必要がある。
「次の方どうぞ、…おっドランか」
「よう、調査依頼が終わったから帰って来た。それと…」
俺は肩を捕まれる
「こいつは飛び出し者だ、冒険者になるから俺が面倒を見る」
「分かった、お前が面倒見るなら大丈夫だろ、ダナフォード王国バルタン地区へようこそ、次」
他の仲間も顔と名前を述べるだけで通れた。よほどドランが信用されているらしい。
「じゃあ冒険者ギルドに向かうぞ」
「ん」
馬車で数分
「ここが冒険者ギルドだ」
「でかいな」
体育館を横にしたぐらいの大きさだろうか
「宿泊施設に宴会場がついてるからな、よほど田舎にあるギルドでも無い限り、最低ちょっとした宿泊ぐらいはできる」
「ステイは馬車を返してこい、他の奴はついてこい」
「ほーい」
ギルドの扉を開ける
カララン
「うぉっ」
ギルドの中にいたほとんどの人の視線が突き刺さるような感じがする。
(この天使にもらった第六感的なの、慣れるまで時間かかりそうだな)
「どうした?」
「いや、何でもない」
「そうか?なら俺達は報告しに行ってくる、お前さんは登録の前に名前考えとけよ」
「分かった」
…何か居心地が良くないな、ちらほら視線を感じるし、値踏みでもされてる感じだ。
そんなことよりも名前だ、ぶっちゃけ馬車に乗ってる時からずっと考えてたが、良いのが思い浮かばないな。うーん
「何だお前さん、まだ決まってなかったのか?」
「ああ、もう二人は?」
「おう、明日受けれるような依頼を探してる、それよりまだ決まんねえのか?」
「中々思い浮かばなくてな」
「俺なんてドラゴンからゴをとっただけだぜ?思いきりが大事なんだよ」
思いきりか・・・
「何なら俺が決めてやろうか?」
嫌な予感しかしない
「試しに」
「ゴブリンからリを抜いて…」
「イイノナイカナー」
「おい、人の話は…」
「まだ…決まらないの?」
ランか…
「シュウ…ってどう?」
「シュウか、いいんじゃねえか?」
ドランが少し拗ねている
「昔…飼ってた…ペットの…愛着がある」
俺ペット扱い?
「じゃあシュウで決定な」
「…そのうち慣れるかな?」
「大丈夫だろ」
「分かった、これからはシュウと呼んでくれ」
俺の新しい名前が決定した。
シュークリームはお好きですか?
私はそうでもありません。




