第3話 始まりの町
お待たせして申し訳ありませんでした。
「誰か一緒に狩り行きませんかーー」
「タンク役できるヤツいないかーーー」
「さぁワービーストを選びし者たちよ。我らがギルド「ナイト・オブ・ケモナー」に入るのだ」
チュートリアルを終えてゲームの開始地点である「始まりの町」にやってきたが人が多くてなかなかにカオスだ。っていうか、最後のヤツ頭大丈夫か。とりあえず美月を探そう。
「おーーい」
向こうから誰かやってきた。あれは、、、
「やっと見つけたぜ。どこほっつき歩いてた」
そう、そこにやってきたのは、
完・全・装・甲
そんな言葉がふさわしいロボットだった。
色は眩しいほどの白。身長は2メートルほど。背中には初期アクセサリにあった赤いマント。更に巨大な楯と一振りの片手剣を所持している。
「お前誰?」
「俺だよ、美月だよ」
「もしもし運営?幼馴染とか言ってる変なロボットがいるんだけど何とかしてくれない?」
「ゲームマスターコールらめぇぇぇぇーーーーーーー」
※※※※
そんな馬鹿騒ぎもあったが今は落ち着いて道端のベンチに二人で座っている。
「っていうか俺の姿にびっくりしたのはわかるがお前も相当だぜ」
そう、今の俺の姿は浅黒い肌にトライバルパターンのタトゥーを入れた人間のような姿だ。その上に初期装備だったAGIに補正のかかる黒い装甲の付いた革防具。さっきなど通りかかったプレイヤーに鼻で笑われた。なんでだよ黒かっこいいじゃん。
「さすが中二病wwww」
「うるさい、それにお前のアバターどうしたんだ一体」
「ふっふっふ、これぞベータ時代に俺が使っていたユニーク種族「キャスト」なり!!」
「あっそーふーん、早く説明してくれよユニーク(笑)」
「ちっ畜生。まぁいい。「キャスト」は科学の発展により未来で生まれてこの世界にタイムスリップしてきたらしい。保有スキルは体に武器やアイテムを保管できる「倉庫内蔵」、制作能力を上げる「ファクトリー」、レベルアップごとにステータスの割り振りをやり直せる「改造」の三つ」
前の二つはともかく最後の一つはチートすぎるだろ。レベル上げるたびにアバター作成し直してるようなもんだぞ。
「でも大和、じゃなかったな。えーっとラグナはヒューマン選んだのか?それにしては体にタトゥー入ったりしてるし。特典アイテムか?」
「いいや、特典アイテムじゃねぇしヒューマンでのねえよ。ユニーク種族「プレデター」だとよ。それよりも早く狩り行こうぜ」
「え、おう」
行先は混んでなくて経験値もそれなりに稼げる場所ということで美月=ガルグイユの案内でクルード樹海というところに行くことになった。俺の武器が早く暴れたいと言っているのを感じる。俺も早く暴れたい。
「そんなユニーク種族、ベータにも存在しなかったぞ。」
ガルグイユが何か言っていたが聞こえなかった。
※※※※
都内某所
暗い部屋の中でボサボサの髪に瓶底のようになった眼鏡をかけた二十代前半ぐらいの男が唯一の光源となっているパソコンモニターの前で笑っていた。
「はぁーっはっはっはっは、ひゃっひゃっひゃ。いやぁ面白そうなやつに「プレデター」が渡ったもんだな。まぁ精々がんばれよ。テメーの力で突き進むためになぁ。がっはっはっはぁ」
男は本当に愉快そうに笑っていた。