第1部「狩りの開拓」 第11話 暴岩龍の怒り
「テメーら、よく聞いとけ。第一班から第五班は他のギルドと協力して各攻撃可能部位で弱点を探せ。デバファーとバファーは範囲特技でサポートだ。ノブナガ、サコン、ラグナは俺についてこい。まずは前脚だ」
全員がウコンの指示に従い動く様はまるで一つの生物のように滑らかだった。サービス開始から1年と少ししか経っていないというのに、この動きは長年共に戦い続けた戦友のようだ。
「おい、なにボサッとしてやがる!」
「あ、ああ悪い」
いそいでウコン達のいる前足に向かうと、そこでは戦闘が始まっていた。大小形状様々な武器が火花を散らしながらグランドラゴンの足を攻撃していた。そこには手に白い居合用のカタナ「抜剣」を携えた参戦している。
「輝け、極光!」
ウコンの掛け声とともにカタナが輝きを放ち、目にも止まらぬ速度で斬撃が放たれた。カタナの残した残光からして5連撃がグランドラゴンの前脚に命中しているはずだがグランドラゴンはまったく動かない。
月華狼 武器 レア度10
かつて極北の武将が国のために振るった妖刀。切れ味もさることながら切った相手を凍らせる力を秘めている。 AGI+6 スキル「護国の武将」「月下鳴動」「狂化」
俺も負けじとスキル「飛竜脚」を、
「うおりゃあああっ!」
叩き込んだ。
だがHPがコンマ単位で減っているのがわかるというのにグランドラゴンは動こうともしない。それどころか、
「眠ってる?」
グランドラゴンは目を閉じて鼻から提灯を出していた。
「モン○ンにこんなモンスターいたな。怒らせないと体が硬すぎて狩りにならないやつ」
「いたな。そして怒らせると馬鹿みてーに暴れだすんだよな」
グランドラゴンがイビキまでかき始めた。
「・・・舐めるなよ・・・。トカゲ風情が・・・・!」
サコンさんが怒りを込めたようにダボウを振るう。
「フィフスシェル・・・!」
毒を塗られダメージ量が増加しているダボウのスキルが脚を薙ぎ払う。しかしグランドラゴンは依然として眠り続けている。
「ちっ、仕方ねぇな。ノブナガ、例の矢出せ」
「ええ~~。こんなところで使っていいんでござるか?」
「緊急事態だ。使うしかねぇよ」
「はぁ~~~。御意」
そういってノブナガが背負ったボウガンに一本の矢をつがえる。だが、その矢は矢じりが付いておらず代わりに袋のようなものが付いている。
「ラグナ、鼻ふさいどけよ」
「は?」
時すでに遅し。ウコンの忠告が俺の耳に入ったときには矢は放たれていた。矢がグランドラゴンの鼻づらに命中すると先に付いていた袋が破裂した。
その瞬間、目と鼻に突き刺さるような悪臭が発生し、HPが少し減った。
「ゴギュルア~~~!?」
グランドラゴンが絶叫とともに飛び起きた。
「「なんじゃこりゃ~~~!!」」
周りにいた他のギルドの奴らも一緒に叫んだ。
「あの袋にはよ、フィールドでとれるモンスターの糞アイテムを「錬金」スキルで限界まで凝縮、ろ過した液体を入れてあったんだ。効果はてきめんらしいな」
ウコンの言う通りグランドラゴンは起きだしている。どうやら怒り状態になったらしく体の甲殻がダイヤモンドのような状態から黒曜石のようになる。だが、
「クサすぎてほとんどの奴ら倒れてんじゃねーか! クソがっ!」
「あ」
「「あ、じゃね~~~んだよ!」」
帝守護兵団の奴らと声がシンクロした。
「ま、まぁこれで俺たちだけが戦闘に参加できるんだからいいだろ?」
「忘れてると思うがこのクエスト3日間続くんだからな? 明日になって後ろ撃たれんなよ」
ともあれ戦闘はこれからだ。ならやることは一つ。
あのトカゲをぬっ殺すだけだ。




