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目撃 偽証

作者: 優里亜

最近…自宅近くでは通り魔事件が頻繁に起こっている。

勤務時間が不規則で夜遅く帰る事もあるから両親も心配している。

そんなある日仕事が終わり帰宅している時に思いがけないものを目撃した。



今世間を騒がせている通り魔だ!!



女性の後ろから忍び寄りナイフを取りだし背中を傷つけてそのまま走り去った。

あまりの恐怖に震え立ち止まって動けずにいた。



見てしまった……

どうしよう………

け…警察に…連絡しなきゃ……

震える手でスマホを取りだし110番を押した。


直ぐにパトカーと救急車が到着して切られた女性を乗せて病院に搬送された。

そして私は警官から事情を聞かれたが夜も遅いため翌日警察署にて調書を取る事になった。

警官に付き添われ自宅に帰り両親に説明した。

流石に両親は驚いたが私が無事で安堵したようだ。




翌日、昼過ぎに警察署に行った。

昨日目撃した事を話す内に私は思わず……


「私……犯人を知ってます。●●に住んでいる〇〇△△です。逃げ去る時に街灯の灯りで顔が見えました……。間違いありません、〇〇△△です」


警察は私の証言を信じて直ぐ様彼女を逮捕しに行くだろう。

警察署を出て思わず笑いが込み上げてきた。

私は偽証したのだ。


〇〇△△は私を侮辱した。

私が友達でいてあげたのに〇〇△△は私からの電話やメールを着信拒否した挙げ句に私から友達を取り上げた。

私が心配して毎日メールや電話してあげたのに着信拒否して私の悪口を言い触らしたから友達が離れた…。

だから…私は仕返しをした。


いい気味だ……。

警察に逮捕されて友達も家族も無くせばいいんだ。

私から友達を取り上げ、そのお陰で彼氏は友達からの話を聞いて着いていけないと言って去って行った。

両親も彼氏と別れた事で結婚が出来ない私に呆れ落胆し見放した。

そんな境遇に突き落としたのはあの女だ!

報いを受ければいいんだ!!





数日後………

新聞に通り魔事件の犯人が逮捕されたと新聞の見出しに載っていた。

少し寝坊してしまいじっくり新聞を読む時間も無くそのまま職場へと向かった。

その日私は気分が高揚していた。

機嫌が良く仕事も楽しかった。

こんなにも楽しく仕事が出来たのは初めてかも知れない。

仕事が終わり会社を出ると受付に警察の人達が来ていた。


あぁー、きっとあの女が逮捕された事の報告だ!!

嬉々として警察の人達に近寄る。


「犯人が逮捕されたんですね。良かったですね」と満面の笑みで話し掛けた。


「貴女に詳しく話を聞きたいので署までご同行下さい」


私は喜んで警察署まで行ったが通された部屋は取調室だった。



刑事は私に偽証罪の疑いがあると言った。

全身から一気に血の気を失ったように指先が冷たくなった。

刑事は淡々と話始めた。


私からの証言を元にあの女の事を調べたが私の言った場所には既に住んでは居なかった。

調べてみると結婚して転居していた。

此処から車で2時間も掛かる場所だ。

そして事件のあった日には女は子供が熱を出して病院に行っていて犯行は不可能だった。

話を聞く内に私が女にしていた事を聞いた。

裏付けを取るために色んな人から話を聞いていた。



私は目の前が真っ暗になった……。


バレた……。


嘘がバレた…。


警察まであの女の味方だ。



通り魔の犯人は近所に住む大学生だった。

就活が上手くいかない為ストレスが溜まった果ての犯行だった。



悪質な偽証……


私がした事が両親にも会社にもバレた。


会社からは解雇通告を受けた。

両親からは恥ずかしくて近所に住むのが辛いと泣きながら責められた。

両親が弁護士に連絡してくれたお陰で帰ってこれたが家から出るなと言われた。



また……無くしてしまった。

今度は仕事まで無くしてしまった。


あの女が悪い!!

私は悪くない……!!

あの女のせいでこうなった!!

どうしてあの女は私から何もかも取り上げるんだ!!


そして…私は何もかも無くしてしまった。


私は悪くない……!


私は悪くない……!


悪くない………


悪くない……


悪くない…


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― 新着の感想 ―
[気になる点] なぜこの作品がエッセイジャンルに入っているんでしょうね? 二作品投稿されていて、両方ともエッセイジャンルに入れていると言うことは、単に設定をミスしたということではないですよね? ジャ…
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