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第6話 みんなといつまでも

あの頃のあたし達を今はどう表現したらいいんだろう。




「みんなおは……」


「行こー」


「…………」




暗くなった目の前とどう戦ったらいいんだろう。

未だに分からない。

このもどかしい距離。










「おはよう……」


「おはよ知沙! 朝から元気ないぞってか昨日どうしたのさ! あの後勝手に帰っちゃって!」


「ごめん、用事あったからさ」



今日も作り笑い。

そんな自分が大嫌いなの。あなたはあたしの本当を知らないから、闇を知らないから。

だから近づけない。

でもね、あなただから笑えたんだよ。

自分を少しだけ取り戻せたんだよ。

それは今も変わらないから、だから惹かれたの。



「あっなずなおはよー!」


「……おはよ」



なずな……。

あたしの友達、だった子。 今は違うけど……。



ねえ、この距離はどうしたらなくなるのさ。

知らないよ、あたし……。



「知沙」


「っ……」


「あれ? なんで良輔こんなとこにいんの? ここ一年の教室だけど」


「知沙に用があってさ。知沙、ちょっといいか?」


「……うん」



良輔に呼び出されて向かった場所は中庭の人があまり来ない所。

良輔は昨日のあたしの事が聞きたくて来たんだ。

それくらい分かる。


あたしと良輔は芝生の上に腰掛けた。

あたしは青い空を見つめて良輔の顔を見ないようにする。

そうしないと今は辛い。



「……知沙さ、昨日どうしたんだよ。あの後心配したんだぞ? 他のみんなも心配してた」


「ふぅん……」


「ふぅんてお前な……」



だって今はそれしか言えない。

ねえ、良輔は分かってくれるの?

このどうしようもない気持ち、分かってくれるの?



「………何か悩みがあるなら言えよ、相談に乗っから」



優しくあたしの頭を撫でてくれるから、驚いて良輔の顔を見てしまった。

良輔は優しく笑ってあたしを見てた。


途端に目の奥が熱くなって視界がぼやけてくる。

頬に温かいものが伝う。

それを見られないようにあたしは膝を抱えて黙りこんだ。



「……じゃあ、またな」



あたしの涙に気づいたのか、静かにそう告げて良輔は立ち上がった。

あたしは顔を上げられなくて、耳で良輔が遠くなっていく音を聞いていた。



「………ごめんね」



誰にも届く筈のない言葉を青空の下、つむいだ。










こんなに好きなのに

こんなに大事なのに

あなたは何も言ってくれない

私があなたの負担になるから

だから笑って

だから元気を出して

こんな想いはあなたがする必要はない

あなたが我慢する必要はない

笑顔を見せて

私がいるから

私がいつまでも側にいるから

泣かないで










窓を開けて月を見ながら口ずさんだ歌、“GROPE"の、『友達へ』

この歌をみんなにプレゼントするよ。

だから、また前みたいに戻ろう。

一緒にいよう。

こんな関係、嫌だ。



日に日に悩みは酷くなっていって、ストレスも溜まって、誰にも相談できない時。

元気になる源は“GROPE"の歌だった。

そのおかげで元気になる事ができた。



みんな、ありがとう。

あたしはみんなに出会えて、みんなの歌が聞けて幸せです。

もう少し元気をちょうだい、勇気をちょうだい。


明日、頑張るから。



「………優、あなたの声に元気をもらいます」



月にあなたをかぶせながらそっと囁いた。


あなたはいつも笑っていますね、優しい笑顔で。


その笑顔をまだあたしにください。


もっともっと頑張るから。


ね、優。




もうちょっとでこの話も終わります。どうか最後までお付き合いしていただきたいです。それではまた次話でお会いしましょう(^∪^)

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