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unhuman  作者: イナゴ
28/51

028

アンヒューマンと言えど、食事もとれば、睡眠もとる。

おなかが減って動けない、と言うことも、睡眠不足で動けない、と言うことも、アンヒューマンと言え、十分ありえることだった。

だからエリザベータとナジャは、三食きちんと食べるし、きっちり8時間は眠る。

パジャマに着替え、ベッドに腰掛け、エリザベータはもう寝る姿勢に入っていた。

しかしナジャはパジャマ(エリザベータとおそろいの)に着替えたきり、ベッドから離れたところで、立ったままでいる。

むすっと頬を膨らませて、エリザベータを見ていた。

案外としつこいナジャに、エリザベータはため息をつく。

「まだ怒ってるの?」

「べつに」

ぷいとそっぽを向くナジャ。

「怒ってるじゃない」

「怒ってないよ」

エリザベータはまたため息をつく。

「いい加減に死なさい、ナジャ。ちょっとしつこいわよ」

「しつこくない。リズがずるいんじゃないか。『ちから』を使われたら、リズに勝てるやつなんか一人もいないのに」

「だから、あれはそんなつもりじゃなかったって言ったでしょう。つい、使ってしまったのよ」

「ずるいよ、リズは」

感情が昂ぶったのか、ナジャの目には涙が浮かんで、その声も震えている。

ナジャに泣かれたら、エリザベータは降参するしかない。

「ごめんなさい」

ナジャに向かってエリザベータは両腕を差し伸べる。

「許してくれる?ナジャ」

ナジャは声を返すわけでも、うなずくわけでもなく、やはりまだむすっとした膨れ面のままでベッドに近づいていくと、エリザベータの胸にもたれかかった。

エリザベータは、ゆっくりとナジャを抱きしめる。

「ごめんね、ナジャ」

「いいよ、もう」

拗ねたような声。

エリザベータは、ナジャの頭を優しく撫でる。

ナジャは、気持ちよさそうに目をつむる。

「大丈夫よ、ナジャ。何があっても私が守るから」

エリザベータの柔らかな胸に顔をうずめて夢見心地のナジャだったが、顔を上げると、エリザベータを見返す。

「守んなくていいよ。リズには勝てないけど、ナジャだって十分強いんだから」

頼もしい言葉に、エリザベータは微笑む。

「そうね。私のほうこそ守ってもらわなくちゃならないかもね」

「まかせて」

にっと笑った後、ナジャは大きくあくびをした。

「眠い」

「そうね。私も」

ナジャは、もぞもぞとエリザベータから身を離すと、ベッドに横になる。

エリザベータも、ナジャと向かい合うように横になる。

シーツを胸元まで引き寄せる。

ナジャにも同じようにしてやる。

ナジャはもう目を閉じている。

「おやすみ、リズ」

「おやすみなさい、ナジャ」

あっという間に寝息を立て始めたナジャの寝顔を見つめながら、エリザベータもまた、ゆっくりと目を閉じた。

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