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荒野につがれる物語  作者: |||&_.
刻の章
15/33

15

「シェルターが爆発?!」


その記事を見つけるのに、かなりの労力を要した。

あれから、お隣男はあちらこちらを飛び回っている。シェルターでの足場作りと、物資調達のためだ。


いつもなら長くても数日で帰ってくる。だが彼が最後にここに来てから、既に二ヶ月近くが経っていた。その間、入るはずの連絡もない。

シェルターにいるのならいい。本格的に腰を据えたのであれば、何の問題もない。だが、なにか――――、胸騒ぎがするのだ。


彼とは長い付き合いになる。学生の頃からお互いを片腕として、ずっとやってきたのだ。

性格だって熟知している。なにか、連絡があってもいいはずだ。



久しぶりにPCの電源を入れた。ネット回線の殆どは断絶していて、今ではまともに使える回線の方が少ない。

最寄のアクセスポイントが破壊されたと聞いたのは、かなり前の話だが、修繕されたという話はトンと聞かない。直されることは今後、恐らくないのだろうが、幸い、この家には祖父の代に敷設したアナログ回線がある。今まで使ったことはなかったが、回線自体は生きているはずだ。ネットに繋ぐまでの骨が折れるが、繋いでさえしまえば情報は入ってくるだろう。端末の配線を直して、苦労してネットにアクセスした。



そして私は、世界の現状を知る。それは、私が考えていたよりも、酷い有様だった。

シェルターの存在が明るみに出て、シェルター入りを断られた暴徒により各地でテロが勃発。シェルターの殆どが壊滅。死傷者多数。今もなお、瓦礫の下から人を発掘している最中である――――。二ヶ月前の記事だった。

情報が錯綜しているらしく、それ以降の記事は更新されていない。元より、現在まで生きている情報屋自体が少ないのだろう。


知り合いに片っ端から連絡を取った。半数以上が音信普通だ。辛うじて連絡の取れた人たちも、誰もお隣男の所在を知らなかった。

私は、何時間も椅子の上に座り続けた。

呆然とする以外、私には、できることがなかった――――。


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