第六部 創生の墓標
初代久世の幻影が、光の粒子となって久世の身体へ溶け込んでいく。
銀河エネルギーが脈動するたび、空間そのものが震えた。
アークの放つクゼハルバード・エーテルすら、久世の周囲で霧散していく。
もはや「受け止めている」のではない。
存在の格が違う。
久世は静かに目を開いた。
その瞳には星々の誕生と消滅が映っていた。
「俺は一個体じゃない」
低く、だが宇宙に直接響く声。
「輪廻してきた全ての久世であり、
創生に立ち会った最初の久世でもある」
かやは直感で理解する。
今隣にいる久世は、
愛する夫でありながら――
宇宙の守護そのものになった存在だと。
それでも久世は、かやの手を握る。
「安心しろ。俺は俺だ」
「ただ……守れる範囲が宇宙規模になっただけだ」
アークの表情が初めて歪む。
「そんな馬鹿な……輪廻と創生が同時に融合する存在など……」
久世は一歩踏み出す。
その一歩で、銀河が波打つ。
「アーク」
「お前は壁だと言ったな」
「違う」
「お前は――過去だ」
この瞬間、久世は
転生の全記憶を内包
創生エネルギーを自在に操り
魂を守護へと昇華した存在
――真の守護存在となった。
そして静かに宣言する。
「ネメシスは終わらせる」
「この宇宙も、星の糸も、命の循環も」
「俺が守る」
背後でかや、朔姫、凛たちの力も共鳴し始める。
彼らもまた“創生側の存在”へと引き上げられていく。
久世ひとりの戦いではなくなる。
銀河エネルギーが渦を巻き、
久世が完全に守護存在へと覚醒したその瞬間――
空間が裂けた。
黒い亀裂から、異質な存在がゆっくりと姿を現す。
ネメシス幹部。
アークと同格、あるいはそれ以上の階級。
身体は機械と生命体が融合したような異形。
周囲の光すら吸い込んでいく。
「ほう……これが輪廻と創生の融合体か」
冷たい声が宇宙に響く。
「想定以上だな、クゼ」
アークが舌打ちする。
「出てくるな……今は俺の戦いだ」
だが幹部は淡々と告げる。
「母艦は撤退した」
「お前はここで失うには価値が高すぎる」
その瞬間、空間拘束フィールドが展開される。
久世が動こうとしたが――
幹部の力は創生エネルギーと同質の干渉だった。
完全には封じられない。
だが“一瞬止める”には十分。
アークの身体が引き寄せられていく。
「覚えておけ、久世」
「お前は創生の亡霊だ」
「だがネメシスは――宇宙そのものを塗り替える」
久世の瞳が光る。
「逃げたな」
幹部が笑う。
「撤退だ。戦争とはそういうものだ」
「次は本気で潰す」
アークは光の裂け目へ引き込まれる直前、かやを見る。
その視線には恐怖と確信が混ざっていた。
「……やはり、お前は戻ってきた存在だ」
空間が閉じる。
銀河の静寂が戻る。
しばらく誰も動けなかった。
朔姫が息を飲む。
「……逃がした」
久世は静かに首を振る。
「いい」
「今倒す存在じゃない」
「アークは“ネメシスの核心に近い場所”へ戻った」
かやが小さく問いかける。
「これから……どうなるの?」
久世は星空を見上げる。
「本当の戦争が始まる」
「さっきのは前哨戦だ」
遠く、銀河の彼方。
ネメシスの巨大構造体がゆっくり回転していた。
その中心で、無数の幹部たちが目を開く。
守護存在 久世
VS
宇宙改変思想 ネメシス
完全対立構造、ここに成立。
ネメシス幹部が去ったあとも、レースは止まらなかった。
スター・レギオンの観測システムが復旧し、
ワープ解除フィールドが解除される。
爆炎の中――
久世たちは再び加速した。
銀河航路を裂くように、久世とかやの機体が先頭へ。
朔姫と凛が完璧な連携で後続を押さえ、
夜叉と難波がネメシス残党を体当たりで吹き飛ばす。
華陽は一瞬で最短ルートを計算し叫ぶ。
「今だ!内側航路に切り替えろ!」
最後の超重力カーブ。
現地最強チャンピオンたちすら失速する中、
久世の機体だけが物理法則を無視した軌道で抜ける。
――ゴールライン突破。
宇宙に轟く勝利の光。
スター・レギオン運営者が震えた声で宣言する。
「優勝者……久世連合!」
そして約束通り、
輝く結晶体――エーテルスターの欠片が手渡される。
脈打つように光る生命エネルギー。
ミラが息を呑む。
「これが……星の糸の核……」
だがその瞬間だった。
久世の身体がふらつく。
手から欠片がこぼれ落ちそうになる。
かやが支える。
「久世!?どうしたの!」
久世の頭の中で――
知らない声が、無数に流れ込んできた。
《創生個体…確認》
《輪廻個体…再接続》
《銀河設計記録を再生》
《星系崩壊ログ開始》
《ネメシス起源記録起動》
知らないはずの歴史
見たことのない銀河
滅びた星々の叫び
すべてが脳内に叩き込まれる。
久世は膝をつく。
視界が白く染まる。
「……っ、止まらん……」
「記憶じゃない……情報だ……」
頭を押さえ、苦しそうに息を荒げる。
「俺は……こんな宇宙を……知らない……」
だが声は止まらない。
むしろ増えていく。
《初代久世 創生プロトコル》
《銀河防衛計画》
《ネメシス反転進化理論》
《星の糸制御権限継承》
かやが必死に呼ぶ。
「久世!戻ってきて!」
久世はその場で倒れ込んだ。
意識が闇に沈んでいく。
最後に聞こえたのは――
優しい、だが威厳ある声。
《おかえり……輪廻の守護者よ》
《ここからが本当の戦いだ》
目を開けると、白い天井があった。
ゆっくりと瞬きをする。
機械音と、微かな振動。
――宇宙船の医療区画だった。
「……戻った、か」
喉がひどく乾いている。
身体は動く。
だが、どこか“重さ”が違う。
まるで存在そのものが増えたような感覚。
カーテンの隙間から外を見ると、
格納庫ではかやたちが慌ただしく準備をしていた。
朔姫が航路を確認し、
華陽が物資を積み込み、
夜叉と難波が機体点検。
いつもの光景。
それなのに――
久世だけが、世界から一歩ずれているようだった。
久世は静かにベッドを降りる。
足音を殺し、誰にも声をかけず船内へ。
長い通路。
窓の外には、流れる星々。
その一つ一つに――
なぜか“記憶の断片”が重なる。
燃えた星
崩壊した文明
逃げ惑う生命
見たこともないのに、知っている光景。
久世は額を押さえる。
「……まだ残ってるな」
声は震えていなかった。
むしろ冷静すぎるほどだった。
格納庫前で立ち止まる。
エーテルスターの欠片が保管ケースの中で淡く光っている。
それを見た瞬間、胸の奥が疼いた。
懐かしさと、罪悪感と、使命感。
すべてが同時に湧き上がる。
「俺は……何度、生まれて」
「何度、宇宙を守ってきたんだ……」
自然と零れる言葉。
すると背後から、足音。
振り返らなくても分かった。
かやだった。
「やっぱり起きてた」
「みんなにはまだ内緒だけど……」
「無理しないでね」
久世は少しだけ笑う。
「無理はしてない」
「ただ……少し、思い出してるだけだ」
かやは首をかしげる。
「思い出?」
久世は窓の外を見る。
「俺、多分さ」
「この宇宙を“初めて見る”んじゃない」
「何度も、見送ってきた」
一瞬の沈黙。
かやはそっと久世の手を握る。
「それでも、今の久世は久世だよ」
「過去が何百回あっても」
「私は“今ここにいる久世”が好き」
その言葉で、胸のざわめきが少しだけ静まった。
久世はゆっくり息を吐く。
「……次の宇宙か」
「ネメシスも、もっと本気になるな」
遠くでエンジンが起動する音。
旅は再開される。
だがもう――
久世はただの守護者ではなかった。
銀河の記憶を背負う存在になっていた。
ジンは操縦席で深く息を吸った。
「次元航路、安定確認……ワープ入るよ」
船内に低い振動音が広がる。
光の輪が視界いっぱいに広がり、宇宙船は一気に引き伸ばされるように消えていった。
星々が線となって流れる。
無音に近い世界。
いつもと同じ、はずだった。
——バチッ!!
突如、船体を叩くような衝撃。
雷のような光がワープ空間の中を走り、窓の外を白く染める。
「な、なに今の!?」
朔姫が叫び、
華陽が即座にシステムを確認する。
「防御フィールド正常!侵入反応なし!」
次の瞬間、さらにもう一撃。
ゴォンッ!!と船全体が揺れ、
計器が一瞬だけ乱れた。
まるで――
何かが“こちらを叩いた”ような感触。
「ワープ継続可能!抜けるよ!」
ジンが叫ぶ。
光が一気に収束し——
世界が切り替わった。
静寂。
目の前には、青と紫が混じる美しい星雲。
遠くに輝く未知の恒星。
重力も気圧も安定している。
何事もなかったかのような宇宙だった。
「……抜けた?」
「船体異常なし」
「エネルギー漏れもゼロ」
全員が顔を見合わせる。
さっきの雷のような衝撃が、まるで幻だったかのように。
「ワープ妨害じゃなかったのかな」
ミラが不安そうに呟く。
ジンは首を傾げる。
「記録にも残ってない……こんなの初めてだ」
外はあまりにも平和だった。
危険反応もなく、敵影もない。
だが——
あの“何かに触れられた感覚”だけが、確かに残っている。
「ねえ……」
風夏が小さく言う。
「今の、雷っていうより……」
「誰かが叩いた感じしなかった?」
沈黙。
誰も否定できなかった。
星々は美しく輝いている。
だがこの宇宙には、
確実に“何かが動き始めている”。
しかもそれは、ネメシスとは別の気配だった。
ワープは成功した。
異常もない。
それなのに——
物語だけが一段階、深く沈んだ。
ワープ直後の静けさを切り裂くように――
宇宙船の奥から、小さな声が響いた。
「……だれか、いるの?」
かやが最初に反応する。
「今の……子供の声?」
全員が顔を見合わせ、同時に走り出した。
向かったのは、さっきまで久世が眠っていた部屋。
扉が自動で開く。
そこにいたのは――
小さな男の子だった。
年は六、七歳ほど。
銀色がかった黒髪に、澄んだ瞳。
服はこの宇宙のものではなく、どこか“原初的”で、簡素なのに不思議と光を帯びている。
「……え?」
朔姫が言葉を失う。
夜叉が即座に前に出るが、敵意は感じない。
ミラが息を呑む。
「この気配……欠片と同じ……」
かやは震える声で問いかけた。
「あなた……誰?」
子供は少し困ったように笑う。
「わからない……でも」
「ここ、知ってる気がする」
その瞬間。
皆が一斉に部屋を見る。
ベッド。
医療装置。
毛布。
――久世の姿が、どこにもなかった。
「久世……?」
かやが駆け寄る。
布団はまだ温かい。
ついさっきまで、確かにここにいた証拠だけが残っている。
「消えた……?」
華陽が唾を飲み込む。
「転移反応もなし」
「脱出ログもゼロ」
「まるで……存在ごと置き換わったみたいだ」
その時。
子供が胸を押さえて小さく呟く。
「胸が……あったかい」
「ここが……いっぱい光ってる」
ミラがはっとする。
「エーテル反応……心臓部に集中してる!」
「まるで欠片の集合体……」
かやの背筋に、嫌な予感が走る。
ゆっくり子供の前にしゃがみこむ。
「ねえ……」
「久世って名前、知ってる?」
子供は少し考えてから、首を傾げて言った。
「……なつかしい」
「でも……それ、ぼくじゃない」
「ぼくは……」
一瞬、瞳が銀河のように輝く。
「“はじまり”に近い」
沈黙が落ちる。
ジンが震える声で言う。
「まさか……融合の副作用で……」
「久世の存在が……創生期へ巻き戻された?」
つまり――
守護存在として完成した久世は消え、
その代わりに創生に近い幼い個体が現れた可能性。
輪廻が“再構築”を始めた。
かやは子供を抱き寄せる。
不思議と怖くなかった。
むしろ――懐かしかった。
「大丈夫……ここにいるよ」
子供は小さく微笑う。
「……うん」
だが皆の胸に重くのしかかる現実。
久世は消えた。
そしてこの子は――ただの子供ではない。
宇宙の始まりに触れた存在そのもの
静まり返った部屋の中で、
かやだけが――胸の奥に走る“揺れ”を感じていた。
それは音でも光でもない。
懐かしさに近い感覚。
心臓の鼓動と重なるような、温かい波動。
(……いる)
(久世は……消えてない)
皆が混乱する中、かやはそっと目を閉じる。
すると――
宇宙船の壁の向こう、
星雲のさらに奥。
見えない場所から、確かに“呼ばれている”気配。
「……感じるの」
かやが小さく呟いた。
朔姫が振り返る。
「なにを?」
「久世」
「ここにはいないけど……」
「遠くにいる。でも、つながってる」
ミラが驚きの声を上げる。
「それって……エーテル共鳴!」
「欠片と久世だけじゃなく、かやとも完全同期してる!」
ジンが震える。
「ありえない……通常、共鳴はエネルギー体同士でしか……」
かやは胸を押さえる。
そこが、じんわりと熱い。
「消えたんじゃない」
「久世は……この宇宙のどこかに“広がってる”」
その瞬間。
子供がふっと顔を上げる。
「……あの人」
「遠くで、光ってる」
全員が息を呑む。
「ぼく、そこから来た気がする」
「引っ張られて……ここに」
つまり――
久世は銀河エネルギーと完全融合し、
個体を超えた存在になった。
そしてこの子は、
その中心核、あるいは再構築された器。
かやだけがその存在を“感じ取れる”。
愛と魂の結びつきによって。
かやの目に涙が滲む。
「久世……」
「どこにいても……一緒なんだね……」
その瞬間、船外の星雲がわずかに揺れた。
まるで――
応えるように。
ジンが低く言う。
「これはもう戦いじゃない……」
「宇宙の運命そのものだ」
そして遠く。
ネメシスの領域で、警報が鳴り響く。
《創生核、再起動確認》
《対象:久世存在 拡散型進化》
《最優先抹殺指定》
操縦席の前に、いつの間にかその子供が立っていた。
ジンが気づいた時にはもう遅かった。
小さな手が、航路制御パネルに触れていた。
「ちょ、ちょっと待って!」
「そこはオートナビが――」
だが画面が一瞬、白く染まり、
設定されていた目的星系が強制解除される。
新しい航路が自動生成されていく。
「進路変更……?」
華陽が目を見開く。
「この座標……登録データが存在しない」
「星名なし」
「文明記録なし」
「重力数値すら未観測……」
ミラが震える声を出す。
「そんな場所……宇宙地図に載らないはず……」
ジンが必死に止めようとする。
「引き返す!未登録宙域は危険すぎる!」
だが操作が受け付けられない。
まるで誰かが“上書きしている”かのように。
子供は静かに言った。
「ここ……呼んでる」
「久世の光が……いちばん強い」
かやの胸が強く熱くなる。
同じ方向だ。
確かに感じる。
そこに久世がいる。
「……行こう」
かやがはっきり言った。
「久世はあそこにいる」
一瞬の沈黙。
夜叉が短く頷く。
「なら迷う理由はない」
朔姫も拳を握る。
「未知でも突っ込む」
ジンは深く息を吐いた。
「……了解」
「未登録宙域突入」
宇宙船は加速する。
星々が歪み、空間が波打つ。
だがいつものワープとは違った。
光がない。
音もない。
ただ“沈んでいく”感覚。
やがて――
暗黒の中に、ひとつの星が現れた。
光らない。
雲もない。
生命反応ゼロ。
だが存在感だけが異常に重い。
「……あれが」
「無の星……」
近づくほど、センサーが狂い始める。
時間計測がズレる。
重力値が反転する。
エネルギー反応が“存在しているのにゼロ”。
ミラが息を呑む。
「この星……」
「宇宙が生まれる前からあるみたい……」
子供がぽつりと呟く。
「ここが……はじまり」
「久世が……眠った場所」
かやの目から涙がこぼれる。
確信していた。
ここに久世がいる。
だが同時に――
ここは宇宙創生以前の領域。
触れてはいけない場所。
遠くで空間が軋む。
ネメシスですら近づいていない宙域。
それでも――
久世の光だけが、ここに残っている。
無の星。
宇宙の墓標。
創造主の眠り場。
宇宙船は、きしむような音を立てながら降下していく。
自動着陸システムが何度も警告を出す。
「未整備区域」
「地盤崩壊率六十三パーセント」
「発着場構造、ほぼ機能停止」
それでも船は、どうにか壊れかけのプラットフォームへと降りた。
金属が悲鳴を上げ、砂のような灰が舞い上がる。
ハッチが開く。
外気が流れ込む。
酸素濃度――正常。
気温――低いが生命活動可能。
だが、視界に広がった光景に、誰も言葉を失った。
灰色の大地。
風もなく、音もない世界。
そして――
地平線の向こうまで、無数の墓標。
石でも金属でもない。
まるで星の結晶で作られたような柱。
一本一本が淡く光を失い、ひび割れている。
整列しているわけでもなく、
無秩序に、だが果てしなく続いている。
「……墓、なの?」
ミラの声が震える。
ジンがゆっくり解析を走らせる。
「生命反応……過去には膨大」
「現在……ゼロ」
「この星……文明どころじゃない」
「銀河単位の生命記録がここに集約されてる……」
夜叉が低く呟く。
「戦場じゃない」
「これは……終焉の地だ」
朔姫が歯を噛みしめる。
「宇宙、何回滅んでるの……」
その時、子供が墓標の間を歩き出した。
誰も止められなかった。
なぜか――ここではその背中が“帰ってきた者”に見えたから。
かやは胸を押さえる。
久世の気配が、ここで一気に強まっている。
苦しくなるほどに。
墓標の一本に触れた瞬間。
ひび割れた結晶が淡く光り、映像のような残響が浮かぶ。
燃える星
逃げる人々
崩壊する銀河
ミラが叫ぶ。
「これ……記録だ!」
「星々が滅びた瞬間の……魂の残像!」
つまりここは――
宇宙で失われたすべての文明の墓場。
創生から今までの、終焉の集積地。
子供が静かに言った。
「ここで……久世は」
「何度も……泣いた」
かやの喉が詰まる。
「……守れなかった星たちを?」
子供はうなずく。
「だから……強くなった」
「宇宙を抱える存在に……」
遠く、中心部に向かって、ひときわ巨大な墓標群が見える。
まるで山のように積み重なった結晶の塔。
そこから――
久世の気配が、はっきりと流れてくる。
ここは、久世が“守れなかった宇宙すべての記憶”が眠る場所。
そして同時に――
彼が創造主へ進化した理由そのもの。
灰色の大地を、子供は迷いなく進んでいく。
墓標の間を縫うように歩くその背中に、
誰も声をかけられなかった。
かやたちはただ、静かについていく。
やがて、ひときわ大きな墓標の群れにたどり着いた。
崩れかけた結晶の塔のように積み重なった場所。
そこから――
久世の気配が、痛いほど溢れている。
子供が立ち止まる。
その瞬間、空気が揺れた。
淡い光が墓標の間に広がり――
ひとつの幻影が浮かび上がる。
それは、久世だった。
だが今の姿よりも若く、
どこか創生期に近い姿。
久世は墓標の一本に縋りつき、声を殺して泣いていた。
拳を握りしめ、歯を噛みしめながら。
涙が灰色の地面に落ちていく。
「……ごめん」
「守れなかった……」
「また……滅んだ……」
かやの胸が締め付けられる。
幻影は次の場面へ移る。
久世は墓標の間に身を横たえ、
無数の結晶柱に囲まれながら、まるで星々と一緒に眠るように目を閉じていた。
その手は、墓標に触れたまま離れていない。
まるで――
失った命たちを抱きしめるように。
ミラが震える声で言う。
「この星で……久世は休んでたんだ……」
夜叉が低く呟く。
「休息じゃない」
「弔いだ」
さらに幻影は続く。
久世は目を覚まし、また星を作り、また守り、
そしてまた滅びを見送る。
そのたびに、この墓標の星へ戻ってくる。
泣いて、眠って、また立ち上がる。
それを――
何度も、何度も、何度も。
子供が静かに言った。
「久世は……ここで心を壊さないようにしてた」
「泣く場所を……失くさないために」
かやの目から涙が溢れる。
「ずっと……一人で背負ってたんだ……」
朔姫が拳を震わせる。
「そんなの……神じゃなくて……」
「ただの人じゃない……」
その時。
幻影の久世がふと顔を上げる。
まるで――
かやの存在を感じたかのように。
一瞬だけ、目が合う。
優しく微笑む。
そして幻影は静かに消えた。
墓標だけが残る。
子供がぽつりと呟く。
「思いが強すぎて……消えなかった」
「久世の心そのもの」
この星は墓場じゃない。
久世の感情が結晶化した場所だった。
悲しみと後悔と、それでも守り続けた意志の星。
かやは胸に手を当てる。
ここに久世の“魂の原点”がある。
灰色の地平に突き刺さるように立つ、ひときわ巨大な墓標。
他のどれよりも高く、太く、
星そのものを積み上げたかのような存在。
結晶の表面には、かすれた文字が刻まれていた。
セラ=エーテリア
その名を見た瞬間、かやの胸が強く締め付けられる。
理由は分からない。
だが涙が自然と溢れてきた。
「……ここ」
子供が小さく言う。
「久世が……一番長くいた場所」
空気が揺らぎ、また幻影が現れる。
今度の久世は、静かだった。
布のようなもので墓標を丁寧に磨き、
崩れた欠片を拾い集めて並べ直し、
まるで誰かの部屋を整えるように扱っている。
時には墓標の前に座り込み、空を見上げて話していた。
「今日は……新しい星が生まれた」
「小さいけど……ちゃんと光ってた」
「君がいたら、きっと喜んだな」
返事はない。
あるのは沈黙だけ。
それでも久世は微笑み、語り続ける。
昔の出来事。
守れた星。
失った命。
だがある瞬間。
久世の表情が崩れる。
手が震え、墓標にすがりつく。
「……なんで」
「なんで、君だけ……」
声が掠れる。
膝が崩れ落ちる。
「全部……守ろうとしたのに……」
「宇宙は守れても……」
「君だけ……救えなかった……」
涙が止まらない。
肩が震える。
幻影の身体がひび割れ、光の粒となって崩れていく。
「セラ……」
「ごめん……」
「俺が……弱かった……」
久世はそのまま泣き崩れ、
やがて光となって消えていく。
残るのは巨大な墓標だけ。
誰も言葉を発せなかった。
ミラが震える声で言う。
「セラ=エーテリア……」
「創生期に存在した……生命管理者の記録にある名前……」
ジンがゆっくり息を呑む。
「宇宙の均衡を支えていた存在……」
「星の糸を管理していた中枢意識……」
つまり――
この墓標はただの誰かではない。
宇宙そのものを支えていた存在の死。
そして久世が、唯一守れなかった存在。
子供が小さく言う。
「久世は……この星で一番壊れた」
「だから……ここから離れなかった」
かやは涙を拭いながら墓標に触れる。
冷たい。
だが奥に微かな温もりが残っている。
「この人……久世にとって……」
子供はうなずく。
「世界より……大切だった」
この瞬間、物語の核心が見えた。
久世が宇宙を守る理由は使命だけじゃない。
二度と、大切な存在を失わないため。
そしてネメシスは――
この喪失から生まれた可能性すらある。
墓標の森を進むたび、空気が重く沈んでいく。
静寂の中――
ふっと、また一つの幻影が現れた。
久世だった。
だがさっきよりも輪郭が曖昧で、
光が揺らぎ、存在そのものが不安定だった。
久世はどこかを見つめている。
いや――
見ようとして、目を逸らしているようでもあった。
唇が小さく動く。
誰に聞かせるでもなく、ただ零れる声。
「……今日も、ここに来てしまった」
「行かなきゃいけないのに……分かってるのに……」
「でも……」
視線の先には何もない。
空だけが広がっている。
「君がいない場所で……どうやって息をすればいい……」
その言葉と同時に、胸のあたりにひびが走る。
光が崩れ、欠片が舞い散る。
久世はその場に膝をつき、
何かを掴もうとするが、指は虚空をすり抜ける。
「……触れない」
「もう……触れない……」
次の瞬間、幻影は砕けて消えた。
まるで感情に耐えきれなかったかのように。
一行が歩を進めるたび、また現れる。
別の久世。
怒りに震える久世。
無表情で立ち尽くす久世。
笑おうとして失敗する久世。
「守れなかった……」
「俺が代わりに死ねばよかった……」
「宇宙なんて……意味がなかった……」
悲しみが限界を越えるたび、
ひびが走り、
砕け、
消えていく。
それはまるで――
久世の心が何度も壊れた記録だった。
一度ではなく、
何百回も、何千回も。
かやの喉が震える。
「……久世……」
子供が小さく言う。
「この星は……久世の涙でできてる」
「だから墓標しか生えなかった」
誰も反論できなかった。
ここは死の星ではなく――
喪失の星だったのだ。
幻影が壊れるたび、空気が少しずつ軽くなる。
まるで久世が、悲しみを—
少しずつ吐き出しているかのように。
そして最後の幻影が、遠くで立っていた。
まだ壊れていない。
じっとこちらを見ている。
墓標の星に、冷たい風が吹き抜ける。
その風を裂くように――
別の幻影が現れた。
黒い光をまとった人影。
久世と同じ創生の気配を持ちながら、どこか歪んでいる存在。
アーク・ゼル。
彼は静かに立っていた。
敵意も殺気もない。
まるで――ただの旧友のように。
「……ここに来てたか、久世」
声は穏やかだった。
懐かしさすら混じっている。
久世の幻影は振り向く。
警戒も、怒りもない。
ただ疲れ切った目で、アークを見るだけだった。
「……アーク」
しばらく沈黙。
墓標だけが風に鳴る。
そしてアークは、淡々と告げた。
「セラ=エーテリアを殺したのは……俺だ」
世界が止まったようだった。
かや達の息が詰まる。
だが――
久世の幻影は怒らなかった。
叫びもしなかった。
拳を握ることすらしなかった。
ただ、ゆっくりと目を伏せる。
光が一気に弱まる。
「……そうか」
それだけだった。
アークが戸惑う。
「怒らないのか」
「恨まないのか」
久世の幻影はかすかに笑う。
壊れかけの、悲しい笑みだった。
「怒る力も……もう残っていない」
「恨めば……まだ生きていられたのかもしれないな」
膝が崩れ落ちる。
幻影の胸に深い亀裂が走る。
「俺は……守れなかった」
「創生の守護者なのに……一番大切な存在を……」
光がぼろぼろと零れる。
涙のように。
「君が殺したんじゃない」
「殺したのは……この宇宙と……俺自身だ」
アークが声を荒げる。
「違う!俺が――」
「いいんだ……」
久世の幻影が遮る。
「誰かを悪にしなければ耐えられる悲しみなら……」
「それは本物の喪失じゃない」
その瞬間。
幻影の体に無数の亀裂が走った。
今までで一番深く、激しく。
「セラがいない世界で……」
「俺は生き続けてしまった」
「それが……罰だった」
そして――
久世の幻影は砕け散る。
怒りではなく、
完全な絶望の中で。
光の粒が墓標の間に消えていく。
まるで魂そのものが崩壊したかのように。
アークの幻影は震えていた。
「……こんなはずじゃなかった」
「憎まれると思っていた」
だが返事はもうない。
残ったのは、静寂だけ。
子供が小さく言う。
「これが……久世の一番深い傷」
「怒れなくなった瞬間」
「心が完全に壊れた時」
かやの頬に涙が落ちる。
久世は戦いで壊れたんじゃない。
愛を失って壊れた。
最後の幻影は、静かに――だが確かな意志を持って歩き出した。
かや達の方へ。
足音はないのに、空間そのものが震えるような重みがあった。
その姿は壊れていない。
だが感情だけが、深く摩耗している。
「……見せよう」
まるで直接語りかけてくるように声が響く。
久世の幻影が手を掲げると、空間が裂けるように光り出した。
宇宙の記録が映し出される
星々が浮かぶ銀河。
だが次の瞬間――
黒い艦隊が、無限に湧くように現れる。
数ではない。
概念そのものが軍隊。
終わりが見えない。
中央に立つ一人の男。
黒と銀の装甲に包まれた存在。
目だけが、冷たく輝いている。
「彼が名乗った名は――ネメシス」
艦隊が動く。
光の雨。
星が一つ、また一つ、爆ぜる。
生命の悲鳴すら宇宙に吸い込まれていく。
文明ごと、存在が消されていく。
かやが息を呑む。
「……虐殺じゃない……消去……」
「そうだ」
幻影の久世が淡々と続ける。
「戦争ですらなかった」
「ただの“宇宙の掃除”だった」
そこに――
若き久世とアークが映る。
創生の光をまとい、艦隊へ突っ込んでいく。
星を守る盾となり、軍勢を粉砕していく。
一騎当千どころではない。
一騎銀河級。
だが――
壊しても壊しても増える軍。
倒しても倒しても湧く兵。
アークが叫ぶ。
「久世!数が無限だ!」
「分かっている!」
久世が歯を食いしばる。
「だが止めねば宇宙が死ぬ!」
ネメシスは遠くから眺めているだけ。
剣も持たず、指一本動かさない。
「面白い」
「守護者とはここまで抗うか」
その一言で艦隊がさらに増殖する。
星雲の向こうから、無数の艦影。
「彼は戦っていなかった」
幻影の久世が語る。
「観測していた」
「宇宙がどこまで壊れるかを」
アークが怒り狂い、ネメシスへ突っ込む。
だが見えない壁で弾かれる。
「まだ君たちは“世界側”だ」
「私は“宇宙そのもの側”に立っている」
久世が悟る。
「……こいつは敵じゃない」
「災厄そのものだ」
星が燃え尽きる映像が連続する。
文明、種族、歴史――すべて消失。
エーテルスターの欠片が飛び散る理由がここにあった。
「だから俺とアークは決めた」
幻影の久世が静かに言う。
「どれほど犠牲を払っても」
「ネメシスを止めると」
映像の中で二人が並ぶ。
背後には滅びゆく銀河。
「これが――宇宙戦争の始まりだった」
最後の映像に映るのは、
無限艦隊を背に微笑むネメシス。
「さあ、守護者よ」
「この宇宙に“終わり”は必要だと思わないか?」
光が消える。
静寂が戻る。
幻影の久世が、かや達を見つめる。
「ここから先で……」
「全てが狂っていった」
幻影の映像は、さらに深く――
“あの日”の核心へと進んでいく。
燃え尽きた銀河の残骸。
星屑だけが漂う無音の宇宙。
その中心に、ネメシスは立っていた。
まるで王の玉座に座るかのように、虚空に。
無限艦隊は動きを止め、宇宙が不気味な静けさに包まれる。
ネメシスが、初めて感情を乗せて口を開く。
「興味深いな、創生の守護者たち」
「ならば取引をしよう」
指を一本立てる。
「創生の守護者を一人殺せ」
「そうすれば、この戦争を終わらせてやる」
星々の残骸がきしむ。
久世の拳が震える。
「……ふざけるな」
「そんなことが出来るわけがない」
ネメシスは淡々と返す。
「ならば宇宙は滅ぶ」
「それだけだ」
艦隊が再び動き出す準備を始める。
破壊の光が集束していく。
「選べ」
「一人の犠牲か、無数の滅びか」
久世は叫ぶ。
「命を秤にかけるな!!」
その瞬間――
隣にいたアークが、静かに前へ出た。
「……久世」
声は驚くほど穏やかだった。
「アーク、戻れ!!」
「聞こえなかったのか!?殺されるんだぞ!!」
アークは振り返り、微笑った。
あまりにも優しく。
「聞いていたさ」
「だからこそだ」
「このまま戦えば宇宙は消える」
「お前は守護者だ」
「だが俺は――ただの戦士だ」
久世が掴みかかる。
「違う!!お前も守護者だ!!」
アークはそっとその手を外す。
「いいや」
「お前は“未来を守る存在”だ」
「俺は“ここで終わる存在”でいい」
ネメシスが興味深そうに見つめる。
「ほう……自己犠牲か」
「美しいな、人間に近い感情だ」
アークが一歩進む。
「俺を殺せ」
「それで宇宙を止めろ」
久世が叫ぶ。
「やめろアーク!!それは交渉じゃない!!」
「久世」
アークの声が震える。
「お前は生きてくれ」
「守るべき未来がある」
「俺には……もう十分だ」
ネメシスがゆっくり手を伸ばす。
「契約成立だ」
艦隊の光が止まる。
宇宙戦争が――その瞬間、止まった。
久世は絶叫する。
「アアアアアアアアア!!」
だがもう遅い。
ネメシスの手から、宇宙そのものを切り裂く黒い光が放たれる。
一直線に――アークへ。
幻影の映像がここで一瞬、強く揺らぐ。
久世の幻影の目から、光の涙が落ちる。
かや達の足元が震える。
宇宙の悲劇が、ここから転がり始めたことを誰もが理解してしまう。
幻影は静かに、でも抑えきれない震えを帯びて続ける。
「だが……ネメシスは約束を守らなかった」
宇宙が止まった、あの一瞬。
希望が生まれた、あの一瞬。
それは――罠だった。
「奴はアークを殺した直後、その亡骸を回収した」
「そして……蘇生させた」
かや達の背筋が凍る。
「ただ生き返らせたんじゃない」
「魂を書き換えた」
「記憶も、感情も、誓いも……全部」
幻影の久世の声がかすれる。
「俺の親友を」
「ネメシスの剣に作り替えた」
映像が切り替わる。
目を開くアーク。
だがその瞳には、もうかつての光はなかった。
虚ろで、冷たく、命令だけを映す目。
ネメシスの声が響く。
「さあ、証明しろ」
「絶望とは何かを」
洗脳されたアークは、迷いなく剣を取る。
久世の方へ向く。
「アーク……?」
久世の声は震えている。
「生きて……たのか……?」
返事はなかった。
ただ、突進。
「俺は動けなかった」
幻影が絞り出す。
「嬉しさと恐怖と混乱で……体が止まった」
そして――
一閃。
刺されたのは胸。
致命傷ではない。
だが、心を殺すには十分だった。
「一度宇宙を救った親友に」
「今度は俺が殺されかけた」
幻影の久世は膝から崩れる。
血よりも、絶望の方が重く流れていた。
「ネメシスは笑っていた」
「これが正義だと言ってな」
『希望は最も美しく壊れる』
『だからこそ価値がある』
「その瞬間、俺は理解した」
幻影の声が低く沈む。
「この戦いは争いじゃない」
「思想の虐殺だ」
かやの手が震える。
朔姫は歯を食いしばる。
夜叉は無言で拳を握り潰す。
「アークは死んだ」
「二度目の死を迎えた」
「俺の手の中で」
幻影の久世は空を仰ぐ。
「そして俺は誓った」
「守護者としてじゃない」
「復讐者としてでもない」
「この宇宙そのものを、ネメシスから解放する存在になると」
静寂。
墓標の星に、風も音もない沈黙だけが残る。
映像が霧のようにほどけ、墓標の星には静寂だけが残った。
久世の幻影の荒い息だけが響く。
誰も言葉を出せない。
やがて幻影は、ゆっくりと腕を上げた。
指し示された先にあったのは――
機械ではなかった。
金属と結晶が絡み合ってはいるが、形はまるで巨大な心臓。
鼓動している。
どくん……どくん……と、宇宙そのものの脈拍のように。
管のような光の流れが無数に伸び、星の地面へと溶け込んでいる。
朔姫が息をのむ。
「……生きてる?」
幻影は静かにうなずいた。
「装置じゃない」
「これは“創生核”だ」
「宇宙が生まれたときの心臓」
「生命を巡らせ」
「輪廻を生み」
「存在を繋ぎ続けてきたもの」
その時だった。
ずっと黙っていた子供が、ふらりと前に出る。
心臓のような存在をまっすぐ指差して言った。
「……こっち」
「ここに、久世がいる」
全員が凍りつく。
「久世の気配、ここからする」
「さっきまで一緒にいた久世と同じ」
かやの胸が強く脈打つ。
彼女にも、かすかに感じ取れていた。
懐かしくて、温かくて、確かに――久世の存在。
幻影の久世が、苦しそうに微笑む。
「俺は輪廻を繰り返した」
「砕かれ、再生され、形を変え続けた」
「そして最後に辿り着いたのが――ここだ」
「俺の魂は、この宇宙の心臓と溶け合っている」
沈黙。
理解が追いつかない。
「ネメシスはこれを利用して宇宙を書き換えようとしている」
「だが同時に――」
「ここには、久世そのものが眠っている」
子供がもう一度、静かに言う。
「起こせば、久世は戻る」
「でも……ただの久世じゃなくなる」
「宇宙そのものになるかもしれない」
重すぎる選択が落ちた。
夜叉が低く言う。
「……目覚めさせりゃ神どころじゃねぇ存在になるな」
幻影はうなずく。
「守護者ではなく」
「創生そのものだ」
「それでも救いたいか」
「それとも、宇宙を守るか」
久世の幻影は、かやを見つめる。
「かや」
「選ぶのはお前だ」




