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パラエイドリアン
ある夏の午後。少年は走っていた。きっと大変なことになるぞ!と。
期待でフル稼働した鼓動がまるごと、地面を蹴る力に変換されるようだった。
汗で身体にまとわりついたシャツは、まるで放熱機構の一部のようにオーバーヒート寸前の身体にブレーキをかけようとするが、喜びは口角を吊り上げるほどに噴き出していた。
空はどこを見上げても眩しかった。
『オカルト研究会 日誌』 1月29日
新種のUMA「パラエイドリアン」
この世界とパラレルワールドの狭間を行き来している生物らしい!
SNSでもオカルト雑誌でもまだ取り上げてる人は少ないからチャンスかも。
見た目はいわゆる星形の、ザ・ヒトデって感じ。
実はUFOの一種だったりして。
最近あんまり成果なかったしめっちゃモチベ上がってきた!
『オカルト研究会 日誌』 8月 3日
パラエイドリアンの死体発見!
と思ったけどどうやら違うらしい。
生物部がなんとかヒトデだって教えてくれた。
手?足?が千切れてて、なんか病気だったんじゃないってことも。
図書室にあった本にそう書いてあったらしい。
病気のヒトデってほぼUMAじゃね?
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――波の音が聞こえる場所にて。
もしも蟹の類が、物理法則の一切を無視して、最強の鎧を身に纏うことができたとすると、きっとその鎧の名は拒絶で、その身はもっと脆弱だっただろう。




