1 幽霊と配信活動、頑張ります。
私は鈴宮ゆき。
『ゆきのチャンネル』というチャンネルを開設して、趣味でダンジョン探索をしながらその様子を配信している。――ソロで。
いや、ソロなんだけど……厳密に言えば千人くらいでダンジョン探索してるかな。うん。
シュールだよね。
なんでかというと、私のジョブが深く関係してるの。
職業【霊媒師】。
特技:幽霊を操り、敵を倒す。但し、幽霊は喋らない。
幽霊が強いだけで、私が強いわけではない、と勝手に思ってる。でもそれは勘違い。私はそのことに気づかない。
幽霊と一緒に探索してるから、視えてる人には大人数で戦闘しているようにみえるんだろうけど。
ま、視えてるわけないよね、私以外の人には。多分。
配信で幽霊が映ってたら大問題だし。もし映ってたら今頃の掲示板はやばそう。
「――今日は疲れたから75層にしようかな」
終わりを75層に目標設定。ちなみに私がいつも潜っているダンジョンは100層まである。
――動画配信のスタートボタンを押す。
「はろはろー、ゆきのだよ。今日は疲れてるから75層まで行く! みんな見ててね」
あっという間に59層まで来た。
ちなみに10層、20層……60層のように節目になると、節目と節目の一個前の段階では難易度に大きく差がでる。だから59層はなんとか倒せるけど、60層はムリ! という人が沢山いる。でも――。
――ケルベロスが現れた。
「こんなの、目を瞑ってても倒せるよね! 眠いから寝る」
幽霊たちがケルベロスを囲む。そして呪いで動けなくさせる。
別の幽霊が「おきてー」と私の身体を揺さぶるのでそれに気づき、私は起きた。
「――もう終わったの?」
幽霊たちが頷く。
「じゃ、一発決めるね。えいっ!」
弓矢でケルベロスをしとめる。
――弓矢が刺さった敵は動かなくなった。なんでも私が放つ弓矢には毒が含まれている。だから物理で死ななくても、毒で死ぬこともある。
――コロン。
ドロップしたのは魔石。それを拾う。
機会があったら、メルカリで売ってみよう。
「ふぅ、一件落着。帰ろ、帰ろー」
ひらり。
「……ん?」
異変を感じ、振り返る。
いま、何か紙らしきもの、落ちなかった?
落ちていた紙を発見。拾う。
私はそこに書かれていた文面を見て、目を見開いた。
こ、これって――。
『高難度ダンジョンに挑む、選ばれし冒険者へ。より高難度のダンジョンにチャレンジしてみませんか。場所は渋谷。他言無用。友達招待不可。タイム制限有』
他言無用って……。どうしよう? 配信に映っちゃマズいじゃん!
急いでポケットの中に紙(?)を隠した。
その後の私は誰が見ても分かるくらい、終始取り乱していた。
「こっ、ここまでご視聴いただき、ありがとうございました! 今日は難易度下げたせいか、簡単だった! みんな素敵な一日を過ごしてね。最後にチャンネル登録と高評価よろしくね。ばいばい」
――ダンジョンから出たので動画配信の停止ボタンを押す。
家に帰り、美味しいものを食べて、温かいお風呂に入り……気づけば就寝前。最近は毎日の配信活動が楽しいせいで、あっという間に一日が過ぎてしまう。これもリスナーさんのおかげ。
そういや、掲示板も開かないし、反応もあまり気にしないし、リスナーさんってどのくらいいるんだろう……?
勝手にいると信じて配信活動を続けてきたわけだけど。
――たまには反応も見てみよう。
『ゆきのチャンネル』登録者数/2800人。
今回の動画『疲れたので…』再生回数/232万回。
「結構、伸びてない??」
5時間前にあげたばかりなのに、再生回数200万回超えはやばい。
今度は掲示板を見てみる。ここで何故、伸びているのか――その理由が分かった。
ファンタジー初心者です。
今のところ『なろうオンリー』です。




