表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

雨の日

空気がよどんだ曇り空。14時を過ぎたくらいから空の様子は不安定になった。

授業中だけど空の様子が気になって黒板に書かれた文字に気が回らない。

少し薄暗くて冷たい雰囲気はあんまり好きじゃない。

キツネ耳が隣になった瞬間とどっちが嫌なのか断言できない。

多分ベクトルが違うと思う。


とりあえず授業に集中し直して再びノートを書き始める。

いけね、気付いたらこんなに黒書が進んでいる。

私は急いで逃した文字を書き記す。そんなこんなでついに雨が降り始めた。


放課後。

「雨が降っているね。とりあえず、ひかり一緒に帰ろう」

「そうだね咲良!」

二人が一緒になって教室から立ち去ろうとしている。


肝心な何かをわすれてないか?

私は二人の元へほんの少し早歩きで寄った。

「あ、結花!今から咲良と一緒に帰るんだけど、結花もどう?」

もちろん私は快諾する。


「しょうがないわね。あんたもついて行っていいよ」咲良の奴が偉そうに言う。

ていうか、さっきコイツ絶対知ってて去っていこうとしてたよな。

問いただしてみるがはぐらかされた。コイツめ。


「じゃあ3人そろったし、帰宅を始めましょうか」

「うん」

「だな」


あれ、やばい。傘わすれた。

「相変わらずおっちょこちょいね。結花は。」

「うるさいな。朝は天気よかったんだからしょうがないだろ」

「私はいつもカバンに傘入れているけど」

「はいはい。そうですか。咲良さんはくそ真面目でえらいですね」

あいつは露骨に嫌そうな表情をする。


「じゃあ、結花、こっちの傘に入る?」

ここで思わぬ助け舟。ひかりが傘を差しだしてくれた。

「え、すごくうれしい!ありがとう!」


みんなは帰路についた。

学校の敷地を出て歩道を歩く。

この辺雨になるとミミズが多くて気持ち悪いんだよな。

見なきゃいいんだけど、間違って踏んでしまいそうで嫌だから

避けるためにも見ざるを得ない。


コンビニ、公園、富松とみまつ市公民館、バス停

いろんな光景が過ぎ去った。


「2年生になってから2カ月くらいたったよね。そういえば結花と咲良っていつから一緒なの?」

「え、一緒?コイツと?」私はひかりの意外な質問に驚く。

「何その言い方」咲良が不満そうに言う。


「小学生の低学年くらいからかな? そのあともたびたび同じクラスになってしまったりする

腐れ縁って感じ。」

「思えば長いものね。別に臨んだわけじゃないのに」

「ああ、ホントな。不本意ながらな」

またいつものように軽口の応酬が始まりだした。


「まあまあ、せっかくこの3人で同じクラスになったんだし、仲良くしていこうよ」ひかりが言う。

ごもっともだけどね。別に私はアイツのこと嫌いじゃないけどなんか馬が合わないんだよね。


「ひかり、結花が傘に入っているから狭いでしょ。迷惑かけてごめんね」

「え、そんなことないよ!二人で一緒に傘に入るって結構たのしいよ!」

「そうだ!そうだ!いい加減にしろ!」

咲良の奴またそんなこと言いやがって。


一瞬熱くなったが、冷静になって考えてみる。

「あ、ふーん。そっか。咲良って一人ぼっちで寂しくて嫉妬してるんだ」

「はああ!?そんなわけないでしょ!馬鹿な事言わないでよ!」

「落ち着けって。焦りすぎ」

「あんたが変こと言うからでしょ。だいたいね、結花が傘をわすれたのが発端でしょ!」


「そうか、やっぱり迷惑だったよな」

私は申し訳なさそうにひかりに言う。


「全然そんなことないから気にしないで!」

「めずらしく大人しく非を認めるのね。いつもこんな感じならいいのに」


「じゃあ、そっち行くわ」

さっと傘から飛び出し、咲良の傘のもとに移動した。

「え、ちょ、なんで!?こっち来ないでよ!」

「私が迷惑かけているっていたのそっちじゃん。何、私が濡れて風邪ひいてもいいの?」

私は得意げになって咲良にいう。


「そういう問題じゃなくて!なんでこっちに入ってくるのよ!迷惑なんだけど!」

咲良の驚きっぷりと慌てっぷりが面白い。


「お前には迷惑かけてもいいんだよ」

「何それ!? よくない!」

「傘に入って濡れないし、咲良に迷惑かけれるし一石二鳥!」

「うわ、あんた性格悪すぎ。さっさとでていって」

狐は観念したのか、そのセリフを最後に文句を言わなくなった。


このまま5分ぐらい沈黙が続いた。

「何この展開」ひかりはぽつりとつぶやく。

咲良も同調する。


「狭いんだけど」

「悪いね」

「……」


ふと咲良の方を見るとあることが目に入る。

「しょうがないな」私はこうつぶやき、咲良を自分の方に手繰り寄せて引き寄せる。

「ちょっと何いきなり」咲良は困惑する。

「右の方濡れてるぞ。ちゃんと傘に入らないと」


「え、あ、ホントだ」

「意外と気が利くんだね」少しうつむいた咲良はいきなりのことに戸惑いながらも、

思いがけない結花の意外な思いやりに決まりが悪そうに言葉を漏らす。


「……ありがとう」

「ん?なんて」

「なんでもない!」

雨の音でなんて言ったかわかんかかったけど、

文脈とイントネーションから咲良の言ったことはちゃんと伝わった。


「じゃあ私はこっち側だから、また明日ね!」

ひかりは道が違うのでここでお別れだ。

「ばいばい」「また明日ね」


分かれ道で一人歩くひかりはこう思った

「やっぱりあの二人、実は仲いいのでは」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ