表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

狐につままれる話

同じクラスになりたくない奴が同じクラスになった。

隣の席になりたくない奴が隣の席になった。

あいつ鬱陶しいし面倒くさいから嫌なんだよな。


授業中なのに先生の話は素通りして、隣への不満ばかりが頭の中によぎる。


「ではこの問題、黒井さん」

「え、はい!」

やば、全然聞いてなかった。

集中してないのを胡麻化そうと焦りが募る。


でもなんだか周りの様子がおかしい。

先生は困惑した様子でこっちを見ているし、

周囲の人も同様になぜかこっちを見ている。


「どうしたんですか、黒井さん。何か質問でもありましたか?」

質問?いやいや、当てられたから答えようとしてるんですけど??

なんか狐につままれた気分だ。


「ばーか。私が呼んだの」

「はあ!?」


咲良は得意げな表情をして嬉しそうにしっぽを振っている。

「ぼーっとしてないでちゃんと授業聞きなさいよ」


思いもよらない展開に混乱する。

「え、何?さっきのお前なの?」

「そうだよ」


なんて嫌な奴なんだ。わざわざ私をおちょくるために先生の声真似してだましたなんて!

「余計なことすんじゃねー!紛らわしいな!」


怒りのあまり声を荒げたが、ふと周囲の様子に気が付いて我に返る。

「あ、お騒がせしてすいません......」

シーンとなった教室の雰囲気と集中する視線が痛くてさっさと場を終わらせたかった。


あの野郎。こっちを見てニヤニヤしていやがる

「後で覚えておけよ」

小声で咲良に威嚇をしておいた。


授業が終わって休み時間になってすぐに咲良に詰めかける。

「おい、さっきのはどういうことだよ」

「ふん、アンタがちゃんと授業を聞いてないのが悪いんでしょ」

「だからってこっちに恥かかせることないだろ!みんなにじろじろ見られて恥ずかしかったぞ!」

「あっそ。こっちをじっと睨むように見ていたくせに」

「そりゃあ新学年早々からずっと狐に憑かれてるからな」

「ばかじゃないの」


は~~~~......ほんとコイツは!ほんとコイツは!

まじなんなの


私はこのムカつくキツネ野郎に絶対に報復してやるぞと固く誓った。


そして昼休み。

私は後ろの席の犬耳と一緒に弁当を食べることにした。


後ろを振り向くと衝撃を受けた。

咲良の奴、いつの間にかひかりと机をくっつけて一緒に昼を食べていた。

「ちょ、ちょっとまって。お前いつの間にひかりと一緒になってんの?」

「だからなに?文句でもあるわけ?」

「なんでお前がしれっとこっち側に混ざってんのさ」

そう言いながら私は自分の机をひかりの机とくっつけた


それを見るや否や奴はこっちを憐れむかのような表情を浮かべ始めた。

「あ、ふーん。結花ってば寂しかたのね。」

「おい」

「コイツね、口悪いけど意外と寂しがり屋でかわいいところがあるの」

「そ、そうなんだ」

またもや咲良のペースに巻き込まれてしまったようだ。


しかし、しかしだ。こちらにもとっておきの作戦がある。

恐れおののくがいい。


私はスマホを取り出し、

ある動画の再生ボタンに指を添えた。

「ねえねえ、ひかり」

「なーに?結花」

「私この前いい曲見つけてさ、みんなにも聞いてほしいなって思うんだ」

「えーなになに?楽しみ」


犬耳は好奇心で食いついてきた。

狐耳は何も言わずさっきの得意げな顔と憐れみの顔を混ぜた表情でこっちを見続けている。


さあ行くぞ!

再生ボタンを押して音楽を大きめの音量で教室に流す。


♪~♪~

曲のイントロが流れ、歌詞も流れ始めた。


「結構いい曲だね!咲良もこの曲知っている?」

「え~、知らないかな。初めて聞く曲だし......!!??」


おやおや?さっきまであんな表情をしていた狐さんが

急に動揺し始めて顔を赤らめ始めたぞ??


「ん~~?どうしたのかな、咲良。この曲知ってるの?」

私はコイツの慌てっぷりが面白くてニコニコしながら訪ねる。


「ちょ、ちょ、ちょ、なんで、その歌詞なんで!?」


復讐は果たされた。

この曲は咲良が中学生時代にノートに書いていたポエムをAIに入力して音楽にしたものだ。

それが今、大音量で教室中に響き渡っている。


「さっさとその曲を止めなさい!」

咲良は小声で抗議をして私のスマホを取り上げようとした

そうはいかんよ。あいつの手を振りほどき音源を天井に向けて振り上げた。


「わ、わかった、あのときの授業のことは謝るから、もう止めて」

照れた赤い顔でしおらしくなってお願いをする咲良が、なぜかかわいく思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ