始まり
投稿する初めての作品です。至らない点があるかも知れませんが是非最後まで呼んで頂きたいです。
「ハル様。朝ですよ。」
そんな声を聞いて目を覚ます。
「アストリッド。おはよう。」
「おはようございます。ハル様。」
アストリッド。僕の側付きとして働いている。
髪は綺麗な白髪、青色の瞳。
お世辞ではなく美少女だと思う。
年は僕と同じ5歳だけどすごく大人びている。
「着替えて朝食を食べにいきますよ。」
「はいはい。」
「ハル様おはようございます。」
「おはよう。」
廊下を歩くと使用人たちが挨拶をしてくれる。
ああ、嬉しい。
今日もこのは国、サルトマリアは平和なようだ。
食堂につき、アストリッドと席に座る。
そうすると父上が話かけてくる。
父、ガルムス・クライス・サルトマリア。
サルトマリア王国、現国王。
先代であるお祖父様が亡くなったのは僕が産まれる8年前でその時王位を継いだのだという。
「ハル。今日は何をするのだ?」
「勉強に励もうと思います。父上。」
「勉強もいいが一国の王子たるもの剣術の練習もした方が⋯」
父上からの小言が始まる。
「まあまあお父さん。まだ5歳なんですもの。好きにさせてあげましょうよ。」
「ありがとうございます、母上。」
母、サーシャ・クライス・サルトマリア。
サルトマリア王国王妃。
父上は母上に逆らうことはできないらしい。
「しかしだな⋯」
それでも父上は諦めずに⋯
「あーなーたー?」
母上は時々怖い。
「しょうがないな。君がそう言うのなら⋯。」
「あなたならそう言ってくれると思っていたわ〜。」
「サーシャ。」
「あなた。」
始まったよ。
父上と母上のうふふラララのイチャラブが。
僕の目から見ても非常に痛い。
何がとは言えないが痛い。
早々に朝食を済ませ退散しよう。
さてと今日の朝食はパンにサラダ、魚のクリーム煮か。
このサルトマリア王国は大陸の北方に位置している。
漁業は盛んだが果物はあまり取れない。
魔物も他地域と比べ多いわけでもない。
肉はあまり食べたことがなく、魚が多い。
今は冬で海は凍っているため漁業も一苦労だ。
だが、うん。美味しいな。
僕はこの国の料理が大好きだ。
食糧は乏しくともこの温かい食事があれば満足だ。
本当ならもっとゆっくり味わいたいところだが仕方ない。
「あらあら、そんなに急がなくても。」
母上の言葉を無視し食べ進める。
「ふう。ごちそうさまでした。」
「食器をおさげします。」
使用人が片付けてくれる。
「ありがとう。それでは父上、母上。また後ほど。」
食堂を後にし、書庫へと向かう。
「どう思う?アストリッド。流石に朝からうんざりだよ。」
「愛し合っているのは良いことです。」
アストリッドが表情を変えずに答える。
「それはそうなんだけどさ⋯。そうだ、いつも思うけどアストリッドって大人びてるよね。」
思ったことを口にする。
「そうですか。それはハル様も同じだと思いますけど。」
「そんなことはないさ。君の方がよっぽどさ。」
✢
「今日はこの世界にはどこにでもある戦争についてお話しします。」
教育係ルベーグ。ルベーグの話はとても面白い。
だから剣の練習なんてやりたくないのだ。
「戦争がどういったものなかのかは知っていますよね?」
「説明は難しいな。簡単に言えば種族の違いから因縁といったものがあるから戦争が起こるとか?」
説明、この世界には魔術と剣術がある。
魔術は五段階に分かれ、属性は火、水、風、土、氷、雷の6つ。
治癒や解毒を行う光、重力を扱う闇などもある。
剣術は夜明流と蒼天流、ジーランド流の3つが主な流派だ。
ジーランド流は人族のために動きを単純にしたものでサルトマリアの騎士達も使っている。
種族によって剣術にも差が出るのた。
「ハル様の言ったことは間違ってはいません。ですが完璧ともいえませんね。」
「そうか。なら説明を願いたいな。」
「いいでしょう。戦争が起きるのは種族の違い。それは間違ってはいません。では種族が同じなら戦争は起きませんか?」
「同じ種族での戦争か。実際人族では起きているな。」
「そうですね。では種族が違うとどうでしょう。アストリッドは白髮、ハル様はブロンドの髪です。二人は種族としては違います。」
僕は隣にいるアストリッドを見る。
「そうだな。」
「ですが戦争はしますか?対立はしますか?戦争とは種族の違いだけではなく考え方の違いによって対立した場合にも起こるのです。」
「そうだな。だが仕方ないことだ。考え方が違うなら戦ってどちらが正しいか決めなければならない。そのために戦争は最も効率的だと言えるだろう。」
「ハル様はそのようにかんがえるのですね。ですが私はそうは思いません。戦争はあってはいけない、あるべきではない。そんなことで多くの命が奪われるなど間違っているとおもいます。」
✢
「いやあ今日も面白かったあ。」
「私もつい聞き入ってしまいました。」
「ふふん、そうだろう。」
ルベーグは僕とは真反対の意見を持っている。
その意見には納得できる要素があるが僕はそれを認めようとはしない。
だけど何故か面白い、楽しいんだ。
「なんでハル様が得意げなんですか。」
「まあまあいいじゃないか。」
アストリッドと廊下を歩いていると兵の一人が大慌てで走ってくる。
「伝令!伝令!」
「何事だ。」
父上が慌てて駆けてくる。
「それが我国の近くにある荒野で武力衝突がおきました!乱戦状態です!」
「なんだと⋯。人族は参戦しているのか。」
「参戦している模様です。」
「重ねて報告です!」
他の兵が新たな報告をしている。
「この国に魔族の軍が押し寄せています!」
「なぜた!」
おい。まさか⋯。
「アストリッ⋯」
「人族の軍がこの国を囮として逃亡した模様!」
そんな!まずい。完全に嵌められた。
どうする⋯。逃げるしか⋯。
「アストリッド!」
「はい。ガルムス様。」
「ハルを連れて逃げろ!俺の最後の命令だ!」
「承りました。」
だめだ。それは⋯。
「嫌です!嫌です父上!」
「いいから行け!」
その後俺とアストリッドは無事に脱出した。
国はその日の内に滅んだが。
✢
「王都に行くのは随分久しぶりだな。10年ぶりか。」
ジーランド王国、王都クレシア。人族最大の都市である。
人の活気に溢れた街に来るといつも思い出す。
サルトマリアも残っていたならばこんな風になっていたのかな。
表面上は綺麗な街だ。
街道も整備され盛んに商売が行われている。
裏の顔はどうだかは知らないが。
そんな事を考えていると前の道に人だかりができている。
「なっお姉さん。俺らと一緒に遊ばねぇ?」
「イヤ、ソレハチョット。」
「まあまあいいじゃーん。」
誰かが複数人の男に絡まれているようだ。
いや、この無機質で感情のこもっていないような声は。
「イヤアダレカタスケテー。」
「アストリッド。」
先に王都に来ていたアストリッドだ。
「ハル様。」
「おいおい、何だよお前。」
「邪魔すんなよな。」
男たちが絡んでくる。
何だこいつら、こんな昼間こら酔っ払ってるのか?
面倒だし気絶させるか。
剣を抜き奴らに打ち込む。
「夜明流『朝駆け』」
峰打ちだ。死にはしないだろう。
そんなことよりも、だ。
「おい、アストリッド。お前は何をしているんだ。」
「もちろん、ハル様の指示通り情報収集にございます。」
「今の男達のことだ。お前なら自力でどうにかできたろ。」
気絶させなくとも逃げればいい。
「ハル様が近づいてくることがわかりましたので。」
「わかりましたので?なんだ。」
「乙女心ですよ。こういう時は男性に助けて貰いたいじゃないですか。」
アストリッドは昔からこういうところがある。
「呆れるな。」
そんな話をしていると人がさらに集まってきた。
「離脱するぞ、アストリッド。」
「はい。」
お読みいただきありがとうございます。初めてで色々と難しかったです。もし、面白いと思っていただけたら続編をお持ちください。