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序章:御魂分け
はじめに、光があった。
光は名を持たず、ただ満ちていた。
やがて光は、無数の滴となって世界に降りた。
その一滴が、私であり、彼であった。
ある時代、ある大陸。青い神殿の中で、私たちは神に手を重ねて誓った。
「もしも離れても、星々の周期が巡るたび、必ず互いを見出す」と。
だが、禁忌は破られ、儀は歪められた。
嫉妬と恐れが絡み合い、誓いは呪いへと反転した。
彼は私を殺し、私は彼を赦せず、海は大陸を呑み込んだ。
光は深く沈み、長い夜が始まる。
いつか終わる夜だと知りながら、私たちは数え切れない季節を越えた。
名を変え、姿を変え、何百年ごとに出会っては、また失った。
けれど、神に分けられた御魂の核は、消えなかった。
そして今、現代日本。星の配置は語る──獅子の昇り、深淵の番人、そして火のノード。これは、終わらせるための再会である。