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凍てつく炎

作者: 神田 遊

•アオイ:理想を掲げる革命の象徴

•レン:皮肉屋だが仲間想いのギタリスト

•ユナ:泣きながらも前を向く少女


革命前夜。

荒廃した都市で、若者たちは「ありふれた未来」を奪われ続けていた。

自由を望む声は検閲され、叫んでも夜明け前にかき消される。

それでも――心臓が焼けるような熱を抱え、彼らは立ち上がる。


ネガやエゴ、嫉妬や悪意――そんなものすら飲み込み、

声にならない声で確かに呼び合う。

「決められる未来なんか、いらない」


命を懸けた前哨戦が始まる。

不安定な延長線の先に待つのは、地獄か、それとも――。

奪われることのない「ありふれた未来」を信じて、

彼らは絶対零度の炎を掲げて進む。


(廃墟ビルの屋上。遠くで銃声とサイレン。赤い空の下、3人が身を寄せ合う)


ユナ「……アオイ、本当にやるの? あの人たちを敵に回したら、私たち……」

アオイ「わかってる。でも……もう泣き声を見過ごせない。」

レン「やれやれ。泣き虫が震えてんのに、ヒーロー気取りか。俺は知らねぇぞ。」

アオイ「レン、お前だって分かってるだろ? この街は……このままじゃ腐っていく。」

ユナ「……でも、夜明けなんて……来ないかもしれないのに。」

アオイ「なら、俺たちが夜明けになればいい。」


(レンがフッと笑い、ギターを軽くかき鳴らす)


レン「……いいぜ。じゃあ最後まで付き合ってやるよ。後悔するなよ。」


(街角。瓦礫が散らばり、銃を構えた兵士たちが迫る)


ユナ「……来た……!」

アオイ「大丈夫。目を見ろ。息を合わせるんだ。」

レン「クソッ……こいつら、容赦ねぇな!」


(兵士たちが突撃してくる。アオイが盾を構え、ユナが祈るように歌う)


ユナ(歌うように)「泣き声、遠く……息を合わせて、もう一度……」

(兵士たちの動きが一瞬鈍る)

アオイ「今だ!」

(剣を振るい、敵を押し返す)

レン「フラッシュバック&ディスコミュニケーション! ……ってか! おい、こっちに集中しろ!」

(敵を退けた後、息を切らす3人。ユナが笑顔を見せようとした瞬間、レンが視線を逸らす)


ユナ「……やった、勝てた……!」

レン「……あぁ、勝てたな。」

アオイ「レン、どうした?」

レン「……悪いな。俺、本当は……あいつらの一員なんだ。」

ユナ「……え?」

アオイ「何を……言ってるんだ……?」

レン「俺に与えられた役目は、お前らを裏切って……潰すことだった。」


(沈黙。銃声が近づいてくる)


ユナ「……嘘だよね……レン……?」

レン「……嘘なら良かったよ。でもな、ここでお前らを見て……変わっちまった。」

(ギターを握り直す)

レン「……だから今、敵を全部、燃やし尽くす!」

(突如、敵部隊が雪崩れ込む。炎と銃火が交錯する)


アオイ「全部、燃やし尽くす! 理由も体裁も関係ない!」

ユナ「奪われることのない未来を……!」

レン「白黒つけようぜ……延長戦だ!」


(戦闘音。アオイが敵を薙ぎ払い、レンがギターを弾き衝撃波を放ち、ユナの声が響く)


ユナ「聞こえて……いつの日のSOS……!」

アオイ「そうだ、何度だって! この感情が叫んでる!」

レン「俺たちのロックンロールは、止まらねぇ!」

(戦いが終わり、瓦礫の中で立ち尽くす3人。夜が明けかけている)


ユナ「……見える……光が……!」

アオイ「いや……これは俺たちが灯したんだ。」

レン「絶対零度の炎……凍てつくほど熱いな。」

(静かな沈黙の後、3人が微笑む)


アオイ「全部を抱えて……歩いていくんだ。」

ユナ「泣き声、遠く……息を合わせて、もう一度……」

レン「……運命がなんだってんだ。絶望がなんだってんだ。俺たちは、生きていくんだ。」


(3人、互いに手を取り走り出す。遠くで朝日が昇る)


全員「――絶対零度の夜明けを!」


(光に包まれ、幕が下りる)


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