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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

白虎の娘

白虎の娘・壱

作者: 椿狐と桜狐


pixivにも投稿しております。

百合・GL系では無く家族愛系を目指したお話となります。

また暴力表現がございます。


誤字脱字注意!!




月峰家・新月の儀式について


―月峰家に男女問わず双子が誕生し、

片割れが白髪の場合のみに行うものとする

以下に儀式の手順と重要事項を印す。


一、白髪の片割れを地下牢に閉じ込める。

この際名を呼んではいけない。


二、双子の片割れが産まれた日から最初に訪れた満月の日に“新月の儀式”を行い、祝詞と子供の誕生月の華の形をした神器を用意する。

祝詞は“月御子”が残したとされる最後の頁のものを使用し、神器には白髪の子供の真名を封入しておく。


三、祝詞を紡ぎ終えたら赤子に菊の産着を着させ、神器を身に付けさせる。



此れにて“新月の儀式”を終了する。

なお、赤子に身に付けさせた神器は永久に外してはならぬ。

白髪の片割れが十の齢の日に地下牢から出し、以降は“忌”と摺られた顔布をさせて活かせる。

『×××××××××××××××××』


この儀式は、

産まれ付き魔に穢された白髪の片割れが呼び寄せる災いを鎮める為の重要なものである。決して手順や準備を怠ってはならない。


……月峰家・神事第三十六・重要密書




~*~*~




「たった此れだけなの!?

ほんっとうに無能ね!!」


竹籠を蹴飛ばして山菜や木の実が転がる音がしたと思えば、バキと頬を打たれる音が響いた。

打たれた衝撃で、

弱った体はよろけて地面に倒れた。


「私がアンタみたいな『忌み子』にせっかく役目を与えてやっているのに!

それすら満足に出来ないなんて!

出来損ない!恥を知りなさい!」


木の実を踏み潰す音が響いている。

視界を邪魔する顔布の隙間からでも見えてしまうその光景を制止する事が出来ない。

手を伸ばせない訳ではない。

例え手を伸ばしたとしても、その手すらも踏みつけられるだけだから。


「そんなんだからあんたは穢れに犯されたのよ!

この『忌み子』!!

産まれてきたことを罪に思いなさい!!」




~:~:~




この国の中心部たる大和皇都・東京から西へ西へと山々を縫った先に存在する村…月光村。それが私の生まれ故郷でもあり育った場所でもある。


木々の葉を常に新鮮で、川に流れる水は底が見える程透明感があり、色とりどりに変わる四季の景色は目の至福としか云えない。


そんな美しい絶景もあれば、

当然目を背けたくなる程の暗い汚れもある。


瘴気が溜まれば魔が産まれ、その気に触れれば精神が侵され、辺りへと害を与える。そうとなれば人も動物も生きていけない。

だからこそ、

汚れや穢れを祓う人間が必要だった。


この村では私の実家…月峰家がその浄化を担当し、月光村を纏め上げる地主とも云える家系だった。月峰家の一族の人間は大体魔を祓う力を持つ退魔師している。

特に一族の中でも月の女神の化身の祝を受けて産まれた“月御子”は村全体の加護を任される程、実力も素質もあると云われている。


だけど私は一族とは真逆に生まれた。

健康的な黒でも恵の土の色でもない病的な白髪、

翠でも茶色でもない見た事も無い金色の瞳、

双子の妹や周りとは一線引いた様な不気味な見た目所か月峰の一族の多くが持つ祓う力もほぼほぼ無い。


そして付いた名は『忌み子』。


力を持たない故に穢れに犯され、災いを振りまく為に産まれて来た子供…。そんな意味合いを込められて。

当然両親は私を娘として拒み本名も呼ばず“新月の儀式”もされず、幼少期は本家の地下にある座敷牢に閉じ込められ、十になった瞬間に座敷牢からも放り出された。

その後は今日に至るまで“忌”と印された顔布をつけ村端の荒小屋に追いやられた生活を送っていた。




~:~:~




へし折られた山菜達に割れた木の実達。

辛うじて食べられるであろう場所だけ竹籠に急いで入れる、竹籠から零れてしまうものもあったが気になどしていられない。

人気の無い端道とはいえ村の人にでも見つかってしまえば只では済まない。

きっとまた、心無い言葉を浴びせ怒鳴って追い立てて来るだろう…。

そう成る前に人目に触れない場所へと逃げなければ…。


竹籠に入れ終えた時、自身に掛けられている顔布が外れている事に気づき目線を下げれば竹籠の中に山菜達と共に入っていた。

手を伸ばして顔布は初めて付けられた日から五年も経っているせいかあちこち擦れてほつれてボロ雑巾と云われても違和感無いだろう。


―『あんたと血が繋がっているなんて反吐が出る!

しかも双子だなんて…気色悪い……!!

由緒正しいこの月光村から追放だけはしないであげるから、その顔をさっさと隠しなさい!!』


思わず出てくる涙を堪えて私は再び顔布をつけて、そそくさとその場を離れた。




…………

……




「さっきに『忌み子』を見てしまってね~ほんっと嫌だわ~。

折角いい一日で終われそうだったのに」


「あらあら奥さん、其れは運が悪かったわ。

まったく…

あの幽鬼みたいな子供、何時まで月光村にいるつもりなのかしら?

何か大事が起きる前にさっさと消えて欲しいものよ。」


「本当よぉ~。

…あ、そうそう。

陰気臭さを消す実は東京でとある話が熱いの、

知ってる?」


「東京で?あんな都会で盛り上がっているお話なんて、

月光村(ここ)に縁もゆかりもないわよ。」


「ふふふ…所がね、どうもそうとは思えないモノなのよ~。」


「どうゆう事?」


「その話って云うのがね、

大和の四神筋の一つでもある西の地方を治める白虎筋の(かしら)でもあり筋の本家・白虎門(しらこかど)の現当主様がね、自身の娘さんとなる子を探しているらしいのよ。」


「娘さんを?

跡継ぎならば男の子よね

なんで娘さんなの??」


「さぁ?そこら辺は皆も分からないらしいのよね~

でも白虎門(しらこかど)のご当主様の目に止まればきっと蝶よ花よと可愛がられるし使用人の方も頭を下げて来る贅沢三昧の毎日よ?

夢の様じゃない?」


「そうね~うちにも一人娘が居るけど、きっとお目に止まるなんてきっと夢のまた夢ね~。

きっとご当主様が気に入るのは“月御子”様の華代(かよ)様よ。

あの方は御子としての力や日々の結界や加護への業務の心がけも傍から見ても素晴らしいものだし、おしとやかで物腰柔らかく、

正に名家のご令嬢って方だしね~~。」


「まぁ確かにね。」





本当はシリーズモノなのでシリーズ連載設定にするべきのものなのに…(TOT)

なぜ短編にしたんだ私は…


なので、まだまだざまぁないです…

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