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第1話 魔王の国は秘密主義です



「ねえ、ディオン。次のタファン王国って魔族の国なんだっけ?」


「そうですよ、ミア様。タファン王国には魔族が住んでいます」


「ということは国王は魔王ってこと?」


「ええ。でも私はまだ現魔王様にお会いしたことはありませんが」



 へ? 何度も私のお父さんとタファン王国に来たことがあるディオンなのに魔王に会ったことがないの?

 あ、もしかして即位して間もないとかかな。



「今の魔王が即位して間もないからディオンは魔王に会ったことがないってこと?」


「いえ、そういうわけではなく……いつも魔王代理の方とお会いしているんです」


「魔王代理って……なんで現魔王に会えないの?」


「それが現魔王様は誰が来てもお会いにならないそうでして。現魔王様のお名前も公表されておりませんし」



 は? 現魔王の名前が公表されていないってどういうこと?

 物凄い変な名前だから名乗るが嫌なのかな。でもそれじゃあ国民はどうやって魔王って判断するんだろう。



 私の頭には疑問符ばかりが浮かぶ。



「名前も分からない国王を国民は王と認めているの?」


「はい。魔族は己の魔力が全てという一族ですので魔族の中で最強の魔力を持っている者が魔王様のようです」



 最強の魔力を持つ者が魔王なのは分かるけど魔力の強さってどう判断するの?



「私たちが魔王に会えばすぐに分かるようなものなの? 魔力って」


「いえ、私たち人間には分かりませんし同じ魔族でも魔力を解放しないとどのくらいの魔力があるかは分からないようです」


「え? じゃあ、国民は現魔王の顔で魔王と判断しているとか?」


「それが現魔王様の肖像画は一切ないと言われていますので顔も国民に知られてはいないようです」



 ちょっと待ってよ。そんな謎だらけの国王でよく国民が反発しないわね。

 


「じゃあ、誰が現魔王を知っているの?」


「はあ……おそらく魔王代理のオルシャドール殿下なら知っておられると思いますが。それと現魔王の身の回りの世話をする者たちとか」



 ディオンは自信なさげな顔をする。



 随分と謎の多い魔王だってことは理解したわ。

 面白そうだから「透明人間」になって王宮に侵入して現魔王の顔を見てあげようかしら。



「それじゃあ、とりあえず私たちはその魔王代理のオルシャドール殿下に挨拶をするのね」


「そうなると思います。運が良ければ現魔王様の兄君たちにも挨拶ができるかもしれませんが」


「え? 魔王ってお兄さんがいるの?」


「はい。異母兄にはなりますが兄君がお二人いらっしゃいます」



 兄が二人ということは現魔王はその兄たちを差し置いて王位に就いたのね。

 異母兄って話だから母親違いの影響もあるのかしら。



「それでその二人のお兄さんの名前は?」


「それがそれも公表されていないんです」


「は? お兄さんの名前も公表されていないの? なんでそんな秘密主義な王家なのよ」


「魔族は名前に魔力が宿るとも言われているからそのせいかもしれませんね」



 名前に魔力が宿るから秘密主義か。

 秘密にされると調べたくなるのよね。私はシャナールだから。



「ミア様。そのお顔は何か企んでいらっしゃいますか?」


「あら、なんのこと? 私はただ新しい国を早く見たいだけよ」


「……それならばよろしいですが。もう間もなくタファン王国の王都デイモンに着きますよ」



 ふふ、秘密主義ならその秘密、暴いてやろうじゃないの。



 私は楽しい気分でタファン王国の王都デイモンに向かって進んだ。




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