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第8話 跡継ぎ問題が起こってます

「いやあ。ナルファが亡くなった時は正直ミアにはまだマクシオン商会の会長は荷が重いかと思ったがちゃんと商売ができているようで良かったよ」


 コリンドは機嫌良さそうにお酒を飲みながら私に話しかけてくる。


「私だけの力じゃないわ。ディオンも手を貸してくれているから」

「先代にはミア様のことを頼むと言われてましたので」


 私の隣で一緒に食事をしているディオンが恐縮しながら答える。


 私もお父様から商人としての仕事も教えてもらっていたがお父様がこんなに早く亡くなるのは想定外だった。


 でもディオンがいてくれたおかげでマクシオン商会の商売もシャナールとしての商売も問題なく受け継ぐことができている。


 ディオンには本当に感謝よね。


「確かに、ディオンの働きは私も認めるところだ。だが、これからが正念場だぞ、ミア。ナルファの顧客がそのままミアの顧客になるとは限らないからな」


 コリンドの言う通り商人は「信頼」されることが第一だ。

 マクシオン商会がこれだけ有名な商会になったのはお父様がお客様から「信頼」されていたから。


「分かっているわ。コリンドおじさん。それとコリンドおじさんは竜王様のことを知ってる?」

「今のルクセル竜王のことかい?」


「ええ。後日、竜王様にもご挨拶に行く予定なんだけど、先にどんな方なのか知っておいた方がいいと思って」

「そうだな。商売相手の情報はできれば事前に知っておく方がいい。よし、話してやろう」


 コリンドは一口お酒を飲むと話し出す。


「ルクセル竜王は三年前に竜王になられた方だ。お子様は三人いる。ロイバルト第一王子とギルバード第二王子とセランドール第三王子だ」


 ふ~ん、三人の王子がいるのか。


「ちなみにルクセル竜王はレッドドラゴン種でロイバルト王子はブルードラゴン種。ギルバード王子はレッドドラゴン種でセランドール王子はブラックドラゴン種だ」


「え?王子ってみんな違うドラゴン種なの?」

「ああ、三人の王子は母親が違ってな。それぞれの母親が違うドラゴン種なんだ」


「母親のドラゴン種が遺伝するの?」

「いや、そういうわけではない。三人の王子たちが母親のドラゴン種の遺伝を継いだのは偶然でしかない」


 私はふと疑問に思って聞いてみた。


「レッドドラゴン種とブルードラゴン種の間に産まれた子供って紫のドラゴン種になったりしないの?」

「ぶほっ!」


 その瞬間、コリンドは飲みかけていたお酒を噴き出す。


 むせているコリンドに代わってディオンが教えてくれる。


「ミア様。それは単純に絵の具の色を混ぜた場合でしょう。ドラゴン種の血筋はそんな単純なモノではありません」

「なんだ、そうなの。てっきり赤と青を混ぜたら紫になると思ってたわ」

「その論理で言ったらブラックドラゴン種の血が入ったらみんながブラックドラゴン種になってしまいます」


 あ、そうか。それもそうよね。


「ハハハ、ミアにはいつも驚かされるよ」


 コリンドは大笑いしている。


 別に私は真面目に言っただけなんだけどな。


 だって竜族の血筋がどう遺伝するかなんて誰も教えてくれなかったし、前世の日本にはそもそも竜族なんていなかったんだから。


「だがなあ、ミア。今はその王子たちのドラゴン種が問題になっているんだ」

「問題?なんで?」


「ドラゴン種の中で一番強いとされているのはレッドドラゴン種だ。今のルクセル竜王も先代もレッドドラゴン種だが現在の第一王子であるロイバルト様はブルードラゴン種だ」


「王位って第一王子が継ぐんだっけ?」

「基本的にはそうだ。だが、これはあくまで噂だが今のルクセル竜王は自分と同じレッドドラゴン種のギルバード第二王子を王太子にしようと考えているらしくてな」


「へえ、そうなんだ」

「だから今ロイバルト第一王子とギルバード第二王子が不仲である言われている」


 まあ、そうよね。ロイバルトにしてみればギルバードがいなければ自分が王太子になれるわけだもんね。


 よくある王位争奪戦ってことかな。


「でもブルードラゴン種は王位につけないという決まりでもあるの?」

「いや、そんな決まりはない。レッドドラゴン種以外の竜王も過去に存在する」


「じゃあ、ロイバルト第一王子も王位を諦められないのね」

「そうだな。後はギルバード第二王子自身は王位に興味がないとの話もある」


 へえ、誰でも王様になりたがると思っていたけどそうでもないのかな。


「まあ、そういうわけで今は王族の中では跡継ぎ問題が大きな問題になってるのさ」


 なるほどね。あ、でもシャナールへの依頼では先代の竜王を殺した犯人を見つけてほしいってことだったわね。


 あれ?でも依頼主って確かギルバードって名前だったわよね。

 ギルバード第二王子が依頼して来たのか。


 でもなんで先代竜王が殺されたと思っているんだろう。

 先代竜王についての情報を聞いておくか。


「コリンドおじさん。先代竜王ってなぜ亡くなったの?」

「ん?確か病死だったと聞いてはいるが。まあ、元々高齢でもあったし」


 そうなのか。やっぱり世間には病死ってことになってるのね。


 でもギルバード王子はそれを殺害されたと疑っている。


 とりあえず今のルクセル竜王には挨拶に行く予定だし、ついでに王宮の中の下見もできたらやってみようっと。


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