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第37話 獅子王の暗殺を阻止します

「ライ! タクオス獅子王様の今日の予定は?」


 タクオス獅子王の暗殺が企てられていると聞いて私は焦ってライに確認した。

 今日の獅子王の予定が分かれば暗殺は防げるかもしれない。


「今日は特に公の予定は入っていなかったはずだ。おそらく離宮にいると思うが……」


「それなら急いで離宮に行きましょう」


「ああ、そうだな。よし捕らえた者の見張りだけを残して後の者は私と共に離宮に戻るぞ!」


「は!」


 ライの命令に親衛隊の人たちはすぐに動き出す。


「ライガー将軍。私たちも離宮に同行します」


 ライと私がその場から地下の入り口に向かおうとするとレイオットがそう声をかけてきた。


「ついて来るのはかまわないがどんな敵が襲って来るか分からんからお前たちまで護ることはできないぞ」


 そうよね。ライがいくら強かったとしてもどんな暗殺者が襲って来るか分からないからレイオットたちの身を護りながらタクオス獅子王も助けなきゃいけないなんて大変だわ。


 すると今度はエリオットが不敵な笑みを浮かべる。


「別にあんたに護ってもらわなくても俺たちは自分の身ぐらい護れるさ。今回捕まったのはジオを安全に逃がす必要があっただけだからな」


 私はエリオットと初めて出会った時のことを思い出した。

 敵に向かって披露した短剣の手腕は見事なものとしか言いようがなかった。


 レイオットの剣の腕前は分からないけど少なくともエリオットは戦力になるわよね。

 味方は多い方がいいわ。


「ライ! エリオットさんの剣の腕前は私が保証するからエリオットさんたちも連れて行った方がいいと思うわ!」


「……分かった。ミアの言葉を信じよう。でもミア。君を危険に合わせる訳にはいかない。君はマクシオン商会に戻ってくれ」


 え? ここまで関わって私だけ安全な場所に逃げる訳にいかないわよ。

 それに私にはいざとなったら「透明人間」の能力で逃げることもできるし。


「私も離宮に行くわ、ライ。タクオス獅子王様は私にとっても大切な人だもの。ライたちの邪魔はしないって約束するから私にもタクオス獅子王様を助ける手助けをさせてちょうだい!」


 私は真剣な眼差しでライを見つめる。

 そんな私の本気を察したのかライは小さく溜め息を吐く。


「ミアはきっとついて来るなと言ってもついて来るのだろうな……それならミア、私がミアを護れるように私のそばを離れないと約束してくれるか?」


「分かったわ。約束するわ、ライ」


「話がまとまったなら離宮に急ぎましょう」


 レイオットの言葉で私たちは地下室から地上に戻る。

 そして親衛隊の人の馬を借りてレイオットとエリオットも馬に乗り離宮に急いだ。


 離宮に辿り着くと表立った騒ぎは起きていない。

 どうやらまだタクオス獅子王に何かがあった訳ではなさそうだ。


「おい! タクオス獅子王は離宮の中にいるか!」


 離宮の門番をしている兵士にライが怒鳴るように尋ねると兵士は慌てて敬礼しながら答える。


「は! 獅子王様は王妃様と共にマクシオン商会に買い物に行くと言ってお出かけになりました!」


 マクシオン商会に出かけたですって!?

 私は何も聞いてないのに。


 本来なら獅子王が望む物があればマクシオン商会の方からその品物を持って離宮に来るのが普通だ。

 もし獅子王がマクシオン商会に来たいと思ったのならその伝令が前以て私のところに報せに来たはず。

 それが無かったということはタクオス獅子王が急に思い立ってマクシオン商会に出かけたことになる。


「ミア。タクオス獅子王がマクシオン商会に行く連絡はあったのか?」


「いいえ。そんな連絡は受けていないわよ、ライ」


 ライの問いに私は正直に答える。


「するとタクオス兄上の気まぐれか、それとも誰かがマクシオン商会に行くように仕向けたかだな。どちらにしてもマクシオン商会に向かおう」


 私たちはマクシオン商会が滞在している広場に馬を走らせる。


 さっきライは獅子王がマクシオン商会に突然行くことを決めたのは気まぐれか誰かに行くように仕向けられたかって言ってたわよね。

 暗殺者は今日獅子王を暗殺するとメモに残していた。

 ということはこの外出は暗殺者たちが獅子王を離宮から誘き出すために仕掛けられた可能性が高いわ。


 そこまで考えた私は何か違和感を感じる。

 暗殺者にとって警備の堅い離宮ではなく外で襲った方が狙いやすいのは理解できる。

 でもその外出先がマクシオン商会だったのは偶然なのか。


 なんか嫌な予感がするけど今はタクオス獅子王の暗殺を阻止することが優先よね。


 不安に駆られる自分の心を抑えるように私はマクシオン商会のある広場に急いだ。

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