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第33話 ジオの正体が分かりました

 私は先程二人の男が分かれた分岐点の場所まで戻る。


 え~と、さっき黒幕に報告するようなことを言ってた男はこっちに行ったわよね。


 そこにはもちろんもう男の姿はないが私は通路を進んで行った。

 すると扉がある。見張りなどはいないので私はその扉に近付きそっと開けて中を確認する。


 その部屋には二人の男がいた。

 一人は私が途中まで後ろについて来た男で椅子に座っている男の前で跪いている。


 椅子に座っている方は踏ん反り返りとても偉そうな態度だ。

 金髪に青い瞳の顔立ちはどこかで見たような気がする。


「それで結局まだ子供の行方は分からんのか?」


「申し訳ありません。マレオ様。手を尽くして探しておりますがまだ発見できず…」


 マレオ? あ! ライがカミオンに見張らせていたけど姿を消したっていうライの異母兄ね!


 椅子に座るマレオの顔に見覚えがあったのはマレオがタクオス獅子王に似ていたからだ。

 タクオス獅子王もマレオも金髪に青い瞳で異母兄弟なのだから似ていてもおかしくない。


 ライは金髪に金の瞳だからタクオス獅子王やマレオとは印象が違う。


 あのライの黄金の瞳はとても綺麗なのよね…ってそんなこと考えてる場合じゃないわ。

 このマレオが黒幕ってことでいいのかしら。


「ガキの一人に何を手間取っていると本当なら怒るところだが、まあ、あのガキは「猛虎族の王」だからな。手間取るのも仕方ない」


 え? 今のマレオが言った子供の話ってジオのことよね?

 ジオが「猛虎族の王」ってどういうこと!?


「あの、マレオ様。本当にあのジオって子供は「猛虎族の王」なのでしょうか?」


 跪いている男が恐る恐るマレオに話しかける。


「なんだ? 私の言うことに意義を唱えるのか?」


「い、いえ、そうではありませんがあの子供は捕らえたザキの弟です。兄の二人のザキたちが「猛虎族の王」という可能性がないのかと思いまして…」


 するとマレオは男を見下した目で見た。


「そもそもザキの一族は猛虎族の王の血を引く一族だ。だが奴らは代々自分たちの一族の誰かを「王」としたことはない。私が言ってる「猛虎族の王」とは遥か昔に存在した「初代ザキ」と同一人物の「猛虎族の王」のことだ。あのジオって子供はその「初代ザキ」の生まれ代わりだ」


 ジオが「初代ザキ」の生まれ代わり!?

 初代ザキって猛虎族の王だったの!?


 ライの話ではかつて初代ザキが獅子王に獅子王の剣を献上したと言っていたはずだ。

 ザキがただの鍛冶師ではなく猛虎族の王であったなら初代獅子王は猛虎族の王から剣を献上されたことになる。


 猛虎族の王が獅子王に剣を献上したのはなぜなのか。

 その本当の理由に獅子族と猛虎族の関係の秘密がありそうね。


「あの子供の中に眠る「猛虎族の王」は何としても完全に覚醒する前に処分せねばならない。そうしなければ獅子族がカシン王国を治めることができなくなるのだ。だが、まあ次の手のこともあるからお前たちは引き続き子供を探せ」


「承知いたしました」


 私の脳裏にエリオットが言った「獅子王家がカシン王国を治める時代が終わっている」という言葉が蘇った。

 理由は分からないがジオの中の「初代ザキ」と言われる「猛虎族の王」が目覚めることによって獅子族がこのカシン王国を治めるができなくなるということらしい。


 でもそのためにジオの命を奪わせる訳にはいかない。

 それにジオが「猛虎族の王」として覚醒したとしても獅子族が引き続きカシン王国を治める方法があるかもしれないし。


 レイオットはライがこの問題の鍵を握ると言っていたはずだ。

 そもそもジオが覚醒すると決まったわけじゃないしきっとジオが覚醒してもライがなんとかしてくれるに違いない。


 そうだ。レイオットたちはジオはライの「本当の姿」にしか反応しないとも言っていた。

 ライの「本当の姿」というのはもしかしたらライが獅子族の「特殊能力」を使う時に変身する姿なのかも。


 それならライが「本当の姿」にならなければ何も起こらないで済む可能性もある。


 いえ、それじゃあ、根本的な問題解決にならないわ。

 でも何か円満に解決する方法はあるはずよ。


 先程のエリオットたちの会話から察するにライとジオの間には何らかの因縁が存在すると思って間違いないだろう。

 だけどそれが悪い未来を招くと決まってる訳ではないはず。


 とりあえずそろそろ戻らないと私の「透明人間」でいられる時間が終わる。

 マレオの「次の手」のことも探りたかったが時間切れだ。


 まずはここの場所をライに報せてエリオットたちを助けないと!

 その後のことはまたその時に考えよう!


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