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第7話 先代竜王の死を調査します

 私は他の商人への挨拶巡りが終わり自分のテントに戻って来た。

 そして私は先ほどディオンからもらった封筒を箱から取り出した。


 封筒は全部で三通。


 私は一つ目の封筒を開けて手紙を見る。


 手紙には数字がズラリと書いてある。

 これはシャナールへの依頼の時に使う暗号だ。


 ランダムに数字だけが書いてあるように見えるがある法則を使うと文字が浮かび上がる。

 その文字を読むのだ。


 シャナールごとにこの法則は違うのでシャナールに依頼する時はそのシャナールが使う法則を知る必要がある。


 それを知る方法は二つ。一つはシャナールと事前に契約を結ぶこと。もう一つはそのシャナールの契約者に紹介してもらうしかない。


 私の場合はお父様の法則をそのまま受け継いだので契約者は基本的にお父様が契約した人たちだ。

 だから契約者たちはマクシオン商会のシャナールが代替わりしたことは知らない。


 お父様の契約相手は王族や貴族などが多い。


 さて一通目の依頼は……。


 は?妻の浮気調査?


 こんなことでマクシオン商会のシャナールに仕事なんて依頼しないでよ。

 別に私は探偵とかじゃないし。


 これはダメね。


 次の依頼は……。


 う~ん、泥棒に盗まれた宝石を取り返してほしい?

 そんなの警備隊に頼みなさいよ。


 今回はハズレかな。


 私はそう思いながら最後の手紙を読む。

 そして思わずハッとした。


 その依頼は『先代竜王を殺害した犯人を見つけてほしい』というものだった。


 先代竜王って数年前に病死したんじゃなかったっけ?


 確か、商人の町でもその情報が流れていたから私も記憶がある。


 一応本物の依頼か確認するか。


 私は手紙の最後に書かれているこの依頼をした日付を確認する。

 本当に契約者からの依頼ならもう一つこの日付に暗号が隠されている。

 依頼した日付によって依頼人が誰か分かるようになってるのだ。


 私は日付から依頼人の名前を知る。


 ギルバード・レギオン・ドラ・アインダル。


 間違いない。お父様の契約相手のアインダル王国の王族だ。

 確か、このギルバードという人物は現在この国の王子だったはず。


 しかし私はアインダル王家をそれほど知っているわけではない。


 お父様がこんなに早く亡くなるのは予想外だったからまだまだこの世界の国々の知識の勉強中だったのだ。


 依頼は本物みたいだし、私としても依頼内容が気になる。

 先代竜王がもし誰かに殺されていたとしたら王家にとっては一大事だろう。


 よし!この依頼は受けよう。

 調査してみてやはりただの病死という可能性もあるし。


 まずはアインダル王家のことを調査しないとね。

 そうだ。コリンドおじさんやディオンに聞けば基本的な王家のことが分かるかもしれない。


 依頼の話は秘密でも竜王に興味を持ったってことにすればきっと教えてくれるだろう。

 私は依頼を受けると決めた手紙を火をつけて燃やした。

 これで他の者に依頼した内容が漏れることはない。


 そこへディオンがやって来た。


「ミア様。夕飯の準備ができました。コリンド様もいらっしゃいましたよ」

「そう、今行くわ。それとこれは返してきて」


 私は受けなかった依頼の手紙をディオンに渡す。

 依頼した手紙が持ち主に戻るということはその仕事をシャナールは受けなかったことを意味するのだ。


 ディオンはそのことを知っているので私から無言で手紙を受け取った。


 そして私とディオンはコリンドおじさんの待っているテントに向かった。


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