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第25話 カミオンの意見も一理あります

「そうなんだ。もしかしたらマレオは誰かの暗殺をその蛇族の男に頼んだ可能性がある」

「誰を暗殺するんだ?」


「そんなの自分が王位に就くために一番消えてもらいたい人物に決まってるだろ?」

「タクオス兄上か……」


 カミオンの言葉にライは苦虫を嚙み潰したような顔になる。


 そうよね。タクオス獅子王が亡くなったら次に王位を継ぐのはそのマレオになる可能性はあるわよね。

 一応、ライよりマレオの方が兄になるんだし。


 でも獅子王には獅子王の剣が抜ける人物がなるのが普通だからライが王位を継ぐといえば王位を継げるのかしら?


「一番はタクオス獅子王だろうね。ライガーが王位を継がなければタクオス獅子王が死んだら奴が王位を継ぐのが自然だ」


「私は獅子族の特殊能力が使えないのだから剣は抜けても獅子王になる資格はない。しかしマレオも獅子王の剣が抜けないのだからそれを理由に王位に就けなくすればいい」


「じゃあ、誰が王位を継ぐのさ。俺だって一応王位継承権を持ってはいるが現実的に俺は獅子王の剣が抜けない。獅子王の剣は獅子王の力の象徴だ。ライガー以外の者が王位に就くことを国民が納得するわけないじゃないか」


「それは……」


「獅子王家に獅子王になる力の者がいないとなれば他の有力な獣人族の種族が反乱を起こしてカシン王国を治めようとするかもしれないことはライガーも分かってるだろ?」


「ああ。それは分かっている」


 カシン王国では獣人族のいろんな種族が集まりそれを統治しているのが「獅子族」。

 しかもカシン王国内では種族の小競り合いは頻繁に起きているって言ってたからそれを抑えるだけの「力」が王家には必要ってことね。


 そしてその王家の獅子王の力の象徴が「獅子王の剣」。

 だからこそ獅子王の剣を抜ける者がいなくなったと国民に知れたらカミオンの言う通りに反乱が起きて今の獅子王家を倒そうとする種族が現れても不思議じゃないわ。


 まるでエリオットの言っていた獅子王家が治める時代が終わっているって言ってたのが現実味を帯びて来たわね。

 でもレイオットはライが問題解決の鍵とも言っていた。


 それはライが獅子王になることを意味してたのかしら?

 それに「獅子族」と「猛虎族」の関係がどう絡んで来るのかが気になるわ。


「だから一番の解決策は獅子王の剣をタクオスが抜けるようにすることじゃなくてライガーが獅子族の特殊能力を使えるようになる方法を見つけるべきじゃないのか?」


「特殊能力を使えるようになって私に王位を継げというのか?タクオス兄上を退位させて」


「そうさ。ライガーが獅子族の特殊能力を使えて獅子王の剣が抜けるなら誰もお前を獅子王に相応しくないという反論はできないはずだ。タクオスが退位する理由なんて適当に考えればいい。そもそもタクオスだって元々望んで王位に就いたわけじゃないだろ?」


「……」


 ライは無言になる。


 でもカミオンの提案は一理あるわよね。

 獅子王の剣を抜けるライが獅子王にならない理由は獅子族の特殊能力が使えないからってことだもんね。

 ライが獅子族の特殊能力を使えるようになって獅子王になれば問題解決だわ。


 今まではライの話を聞いてタクオス獅子王を完全な獅子王にするために獅子王の剣を抜くからくりを調べることに考えが向いていたがカミオンの考えの方が現実的な気がしないでもない。

 タクオス獅子王もライが王位に就かないのでライの子供を王位に就けたいと考えているぐらいだ。


 ライが特殊能力が使えるようになったから獅子王になると言ったらタクオス獅子王は王位を譲ることに賛成してくれる気がする。

 でもそもそもなんでライは獅子族なのに特殊能力が使えないのか不思議よね。


「カミオン。お前の意見も頭に入れておく。だが私はやはりタクオス兄上に完全な獅子王になって欲しいのだ。明日は獅子王の剣が獅子王にしか抜けないからくりが分かるかもしれない人物に会いにいく。その者の話を聞いた上でこれからのことを考えたい」


 そうね。とりあえずはエリオットたちの話を聞いてからでも遅くはないかも。


「相変わらずの頑固者だな、ライガーは。だがタクオスの身辺警護は強化した方がいいだろうな」

「ああ。それは今から指示を出してくる」


 ライはそう言って部屋を出て行こうとしたので私もそのタイミングでライと一緒に部屋を出た。

 廊下にでたライは溜息交じりに呟く。


「私だってあのことさえなければ特殊能力が使えるんだがな……」


 え?今の言葉はどういうこと?

 あのことって何?


 しかしライはそのままタクオス獅子王の部屋の方に向かって行く。

 私はライの言葉が気になったが透明人間になれる時間の終わりが迫っていたので一度離宮から帰ることにした。

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