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第22話 ライの存在が鍵のようです

「獅子王家がカシン王国を治める時代が終わってるってどういうことですか? エリオットさん」


 私が尋ねるとエリオットはめんどくさそうに答える。


「それをあんたが知っても仕方ねえだろ? あんたは獅子王家の者じゃないしこの話は獅子王家の「獅子族」と俺たち「猛虎族」との問題なんだからさ」


 獅子族と猛虎族の問題? この二つの種族に何か因縁みたいなものがあるのかしら。

 でもとにかくライとこの二人の間で話し合いをしなければ問題の解決にはならないわよね。

 私に話せないと言うならライと話し合ってもらえるように頼んでみるか。


「それなら今度獅子王の弟のライガー将軍を連れて来ますのでライガー将軍とその獅子族と猛虎族の問題について話し合ってくれませんか?」


「なんでそんなことしなきゃいけないんだよ。そもそもライガー将軍って奴は…」


「分かりました。ミアさん。あなたがライガー将軍を連れて来たなら私たちが知っている獅子族と猛虎族の秘密を話しましょう」


 エリオットの言葉を遮ってレイオットが私に向かって言った。

 その表情は真剣な様子だった。


「おい! レイオット」


「エリオット。今回ミアさんが私たちと出会ったのも何かの運命に違いない。いずれこの問題に手を打たなければこの国がどうなるか分からないことはお前も分かってるはずだろ?」


「……」


 エリオットは黙り込んだ。


 この国がどうなるか分からないなんて物騒な言葉ね。

 それだけレイオットたちが知っている情報はこのカシン王国に大きな影響を及ぼすということだわ。


「ではミアさん。ライガー将軍をここに連れて来て下さい。ただし、他の獅子族の方には秘密でお願いします」


「他の獅子族には秘密でですか?」


「ええ。この問題は獅子族と猛虎族の問題でもあるのですがその問題解決の鍵になる人物がそのライガー将軍なんです」


「ライガー将軍が問題解決の鍵ですか?」


「はい。今はここまでしか話すことはできません。それとあなたのことを信用しない訳ではないですが私たちがここに住んでることは内密にお願いします。また、ジオが狙われても困りますので」


「ジオも今回の問題に関係あるんですか?」


「ええ、まあ。この問題はいろいろ複雑でしてね。私たちの存在を消そうとする者もいるんですよ」


 レイオットはどこか悲しそうな顔をする。


 もしかして鍛冶師ザキが双子で依頼人と揉め事が多くなったからあちらこちらを放浪したって言ってたけど本当の理由は違うのかも。

 何かの理由でこの兄弟たちは誰かに命を狙われてその人物から逃げてこの街に来た可能性もあるわね。


 聞きたいことはたくさんあるがこれ以上の話はやはりライがいた方がいいだろう。

 獅子族と猛虎族の問題にはライの存在が鍵になってると言うのだから。


「分かりました。では私はこれから帰ってライガー将軍に話をしてここに来てもらうようにします」

「お待ちしています。気を付けてお帰り下さい」


 私はレイオットたちに見送られてライと別れた火祭りをやっていた広場に向かった。


 ザキのことで忘れてたけどあの広場で起こった爆発みたいなものが何だったかも気になる。

 そもそもライはその事態収拾の為に私と離れ離れになったのだ。


 広場に戻ると既に火柱は消し止められていて火祭りは中止になったようだ。

 祭りに来ていた客たちも逃げたようで火柱が上がっていた付近には後片付けをしている人がいるだけ。


 私はライがいないか辺りをキョロキョロと探してみた。


「ミア!」

「きゃっ!」


 突然私は自分の名前を呼ばれて誰かに抱き締められる。


 だ、誰!?


「無事で良かった! ミア。姿が見えなくなったから捜していたんだ!」


 私を抱き締めたのはライだった。

 見える範囲ではライにケガのようなものはないようだ。


 ライも無事だったのね。良かったわ。


 ライに身体を抱き締められながら私はホッと安心感に包まれた。


「ミアにもしものことがあったら…私は…」


 私を抱き締めるライの腕は僅かに震えている。


 姿が見えなくなっただけでライはこれほどまでに私を心配してくれたんだわ。


 その優しさに私は胸が熱くなりライに抱き締められていることを実感して恥ずかしさもあり顔が赤くなる。


「大丈夫よ、ライ。心配してくれてありがとう。それよりザキのことで話があるの」

「ザキの? ザキを見つけたのか?」

「ええ。でもちょっと込み入った話でここで話すのはちょっと…」


 レイオットたちとも約束した通りにザキの存在や彼らが言っていたことを説明するのにはどこか人のいない場所がいいだろう。

 私の態度からライも私の言いたいことを察知してくれたようで抱き締めていた私の身体を離した。


「ではとりあえず離宮の私の部屋へ戻るか」

「そうね」


 私とライは離宮に一度帰ることにした。

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