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第2話 黄金の獅子の登場です

 私たちの商会はカシン王国の王都カシザランの手前の町ルールドの近くまでやって来た。

 しかしルールドの町の入り口にはなぜか多くの人たちが行列を作っていた。


 どうやらルールドの町の入り口に検問所が設置されていて町に入る人やその荷物の検査をしているようだ。


「ねえ、ディオン。カシン王国では王都以外の町に入るのにも検問所での検査が必要なの?」


 普通は国に入る国境と王都の入り口には検問所があるがそれ以外の町に検問所があるのはあまり聞いたことが無い。

 私がディオンに聞くとディオンも首を傾げている。


「いえ、以前、このルールドの町に来た時には検問所はありませんでした。何かルールドの町であるのでしょうか」

「何かって何?」


「ああ、国によっては神事などを行ったり貴人が滞在しているという理由でその時だけの検問所を設ける場合もあるんですよ」

「へえ、そうなんだ。じゃあ、ルールドの町で何かあるから臨時の検問所ができてるってこと?」


「その可能性はありますね。ちょっと様子を見て来ましょう」

「あ、待って!私も行くわ!」


 ディオンが人々の行列の方に馬を走らせたので私もその後を追った。

 行列の最後尾にいる人にディオンは馬を降りて話しかける。

 私も馬を降りる。


「すみません。旅をしている商会の者なのですがルールドの町に入るのになぜ検問所が設置されてるか知ってたら教えて欲しいのですが……」

「ん?」


 ディオンが声をかけたのは獣人族の少し年老いたおじさんだ。

 何の獣人かは分からないけどお尻から白い尻尾が生えている。


「ああ、わしもさっき他の者から聞いたのじゃが、今、ルールドの町にタクオス獅子王とレア王妃様がいらっしゃってるらしい。だから警備のために検問をしてるそうじゃ」

「え?タクオス獅子王がこの町に来てるの?」


 私が驚いてその獣人のおじさんに尋ねるとそのおじさんが教えてくれる。


「旅の者なら知らないかもしれないがこのルールドの町には王家の離宮があるんじゃ。昔から王族が離宮に来てる時だけルールドの町には検問所ができる」

「へえ、そうなんですか」

「しかも今回はタクオス獅子王の護衛のためにタクオス獅子王の実弟でもあるライガー将軍が自ら来てるから検査も厳しくなってるんじゃろ」


 タクオス獅子王とその王妃様にさらに獅子王の実弟の将軍までいるのか。

 それなら警備が物々しくなるのも頷けるわね。


「ありがとうございました」


 私とディオンは馬に乗り自分たちの商会の所まで戻る。


「どうしましょうか?ミア様。このままルールドの町に入ろうとすれば商会の荷物検査にかなり時間がかかるかもしれません。ルールドの町は寄らずに王都のカシザランに直接向かうこともできますが」

「そうねえ」


 確かに商売のことだけを考えれば変に検査で足止めをくらうよりルールドの町を迂回して王都を目指した方がいいかもしれない。

 だけど今回の目的は商売だけではなく各国の王様に私の顔を覚えてもらう旅でもある。


 ここにタクオス獅子王がいるのにそれをスルーするのは失礼よね。


「時間がかかってもこのままルールドの町に入るわ。それで離宮に使いをやって許可が出たらタクオス獅子王に挨拶をしたいわ」

「それもそうですね。王都に行っても獅子王が不在なら獅子王へ挨拶ができませんしね」


 私たちはルールドの町に入る決断をしたが検査待ちの行列に並ぶ前に検問所の兵士に先触れを出した。

 なぜならマクシオン商会は荷物も使用人もかなり多い。

 それらを検査するのには相当の時間がかかる覚悟をしなければならない。


 それは検査する兵士側にも検査を待つ一般の人にも負担や迷惑がかかるので一般の行列とは別に検査してもらえないかと相談をしに行かせたのだ。


 しばらく待っているとルールドの町の入り口から何頭かの馬に乗った者たちがこちらに向かって来るのが見えた。

 先頭を走る馬が私とディオンの前まで来た時に私はその馬に乗った人物を見て驚いた。


 うわ!なんて神々しい人なんだろう!


 黒い馬に乗って兵士を従えて来た人物は黄金の髪が獅子のたてがみのように靡きその黄金の瞳は鋭い眼光で他者を圧倒するオーラを放っていた。


 まるで黄金の獅子みたいだわ!


 私はその黄金の男性に一瞬見惚れた。


「マクシオン商会の会長は誰だ!?」


 その黄金の男性が低い声で私たちに声をかける。


「はい。私です!」


 私はその黄金の男性に近付いて答えた。


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