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第44話 ロイバルトを捕まえました

 ギオンの馬は王都を抜けて走り続ける。

 私もその後を馬でついて行く。

 これでも私は乗馬が得意だ。

 ギオンの馬に並ぶようにして大きな声でギオンに話しかける。


「今日の視察はどこに行く予定だったの!?」

「今日は山間部にある補修中の橋の進捗具合を見に行く予定だったんだ!この先の森を抜けた所だ!」


 ギオンは私に叫ぶように返事をするとさらに馬のスピードを上げた。

 私も遅れないようについて行く。

 大きな森の道へと入った。

 街道は整備されているとは言い難い。

 どうしても馬のスピードが落ちてしまう。


 ラムセス。どうして忠告を無視したの!?


 私はラムセスの顔を思い出しながらラムセスの無事を祈った。

 やがて前方に馬車が見えて来た。

 馬車の周囲では何人もの兵士と黒服の男たちが剣を交えていた。


 ギオンはスラリと腰に差していた剣を抜いた。


「ラムセス!無事かーー!!」


 ギオンは黒服の男たちに馬上から襲いかかった。

 突然現れたギオンに黒服の男たちが慌てる。


「ギルバードは馬車の中じゃなかったのか!?」

「うわあ!」


 ギオンに剣で斬られて男が倒れる。

 私は戦闘の邪魔になってはいけないので馬を手前で止める。

 停まっている馬車の方を見ると車体には矢が刺さっていて車輪も壊れて斜めに傾いていた。


「ラムセス!どこだ!?」


 ギオンが叫ぶ。

 ギオンが現れたことで本来護衛としてついていた兵士たちは息を吹き返したように黒服の男たちを追い詰め始める。

 黒服の男たちが撤退しようと逃げ出し始めた。


「そこまでです!」


 そこへ鋭い声が響いた。


「ラムセス!」


 私の居る場所の反対側からラムセスと兵士の一団が現れた。

 黒服の男たちはギオンたちとラムセスたちの兵士に挟まれて逃げ場を失い次々に剣を手放し降伏する。

 兵士たちが黒服の男たちを拘束したので私は自分の馬を降りてギオンとラムセスに近付いた。


「ラムセス!無事だったか!」

「ギルバード様こそなぜここに?」

「なぜだと!?お前こそ何で視察で襲撃があることを俺に言わなかったんだ!?」

「はあ、貴方を危険に合わせるわけにはいかないでしょう。それにこれはわざと襲撃させたのですよ」

「なんだと!?」


 ギオンはラムセスに詰め寄る。


「マクシオン商会からのシャナールからの情報でロイバルト王子が貴方を襲撃するということが分かっていましたからね。先回りして襲撃者を捕まえる作戦にしたんですよ」

「それならそうと俺に報告しろ!」

「敵を騙すにはまず味方からって言うではありませんか」

「あのなあ!どれだけ心配したと思ってるんだ!」

「お怒りは分かりますが今回は首謀者も捕らえることができたので褒めてくださいよ」

「なに!?」


 ラムセスはそう言って兵士の一人に合図する。

 兵士は赤い縄で拘束した男を連れて来た。

 私はその人物を見て驚いた。


「ロイバルト!?」


 ギオンがその男を見て声を上げた。

 そう赤い縄で拘束されて猿ぐつわをハメられた男は確かにロイバルト王子本人だった。


 ラムセスがロイバルトを捕まえたの!?


 普通に考えればロイバルトがおとなしく捕まるわけはない。

 捕まりそうになればロイバルトだって本気で抵抗したはずだ。


 いくらロイバルトはルクセル竜王の息子ではないとはいえロイバルトを拘束するなんてラムセスはロイバルトよりも「力」が上だってこと!?


「よくロイバルトを捕まえられたな……うん?この「赤い縄」は……」

「ええ。あの人が協力してくれましたのでね」

「まさか。奴に頼んだのか?」

「仕方ありません。「赤い縄」を作れるのはレッドドラゴン種だけですからね」


 赤い縄を作る?あの赤い縄に何か秘密があるの?

 それに赤い縄が作れるのって「レッドドラゴン種」って言ったけどギオン以外のレッドドラゴン種が近くにいたってこと?


「やれやれ、ようやく終わったみたいだね。いや、これからが始まりかな」


 そこに場違いなほどののんびりした声が響いた。


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