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第35話 酒場での情報収集です

 私とスルヴィスは自分の馬をとりあえずマクシオン商会の馬番に預けた。

 そして徒歩で王都の「酒場」に向かう。


「ねえ、スルヴィス。酒場って言ってもいくつもあるけど、どこの酒場に行くの?」

「地元の竜族が好んで集まる酒場があるんだ。店主とも顔見知りだしこの王都の中での出来事を聞きこむのにちょうどいい所さ」


 スルヴィスは私にウィンクをする。


 この軽い感じが心配だけど、今はスルヴィスを頼るしかないもんね。


 私とスルヴィスは大きな酒場の扉を開けた。

 中はかなり混雑をしている。


「よお!スルヴィスの旦那じゃないか」


 カウンターの中にいた酒場の主人らしき人物がスルヴィスに声をかける。


「久しぶり。モーリス。商売繁盛でいいね」


 スルヴィスは店の主人に笑顔で返事をする。


 店の主人はモーリスって言うのね。


 モーリスは黒髪に黒い瞳の男性で見た目は40代くらいだ。

 黒髪に黒い瞳ってことはブラックドラゴン種かもしれない。


「おや、可愛いお嬢ちゃんを連れているじゃないか。スルヴィスの旦那の隠し子かい?」


 どうやったら私とスルヴィスが親子に見えるのよ。

 顔立ちだって違うしスルヴィスは銀髪に青い瞳だけど私は黒髪に緑の瞳じゃない。


「ハハハ、彼女は知り合いの娘さんだよ。アイルスに遊びに来たんで街を見せてあげようと思ってね」

「そうか。でもお嬢ちゃんには「大人の世界」はまだ早いんじゃないか?」


 モーリスはそう言って笑う。


 失礼ね。今世ではまだ14歳だけど大人の知識はあるんだからね。


「大人になる前の事前授業だよ。「悪い虫」がつく前に「悪い虫」と「良い虫」の見分け方を教えてあげようと思ってね」

「なるほどね。そりゃ大事なことだ。こっちの席にどうぞ」

「ありがとう」


 私とスルヴィスはカウンター席の端っこの方に案内された。

 スルヴィスは自分のお酒と私のジュースを頼んでくれる。


「ねえ、どうやって妖族の薬師の情報を集めるの?」

「大丈夫。私にいい案がある。あそこにいる男はこの都で医師をやっている男だ。医師なら薬師の情報を持ってる可能性がある」


 私はスルヴィスの視線の方を見る。

 そこには一人の竜族の男性が静かにお酒を飲んでいる。

 

「ミアはちょっと待ってて」


 そう言ってスルヴィスはモーリスが出してくれた自分のお酒のグラスを持ってその男に近付いた。


「やあ、久しぶりだね。フォルト。元気だったかい?」


 その医師の男性はフォルトという名前らしい。

 フォルトはスルヴィスに気付くと僅かに笑みを見せる。


「スルヴィスか。こないだは馬を売ってくれて助かったよ。前の馬が病死してしまって困っていたんだがあんなに安値でいい馬を売ってくれて助かった」

「いやあ、フォルトはこの街には必要な医師だからね。往診に行くのに馬が無いんじゃ患者に影響でるだろ?」

「まあな。患者は多いがまだまだ薬も高価なモノだから庶民に十分な治療や薬を渡せないのは私としても心苦しい限りさ」


 私はフォルトの口から「薬」という言葉が出たので緊張した。


「そうだなあ。「薬」って高いもんね。でも噂では「妖族」の作る薬は種類も多くて効き目も強いって聞いたけど、さすがにこの都に「妖族の薬師」はいないもんな」

「え?スルヴィスは知らないのか?」

「何が?」

「このアイルスにも妖族の薬師はいるぞ」


 スルヴィスの目が一瞬細められた。


「それは本当かい?フォルト」

「ああ。俺も取引をしてるが。ただなあ」

「何か問題でも」

「その妖族の薬師の作る薬は効果が強いし良い薬ではあるんだが値段が高い。それにこれは私が話したことは秘密にして欲しいんだが」


 フォルトはスルヴィスを見る。


「もちろんさ。私が約束を破ったことあるかい?」

「ハハ、そうだな。実は以前その薬師の調剤室を見たことが一度だけあってな。その調剤室には毒薬に使うような品物が置いてあったんだ」


 毒薬!?今、毒薬に使うような品物って言ったわよね!?


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