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第34話 協力者を得ました

 私は馬を走らせてギオンと以前行った牧場に向かった。

 牧場に着くとスルヴィスが住んでいるだろう家に行く。

 私は馬を降りて家の扉を叩いた。


「スルヴィス!ミアだけどいる?」


 扉が開いてスルヴィスが顔を出す。


「おや、ミアじゃないか?どうかしたの?ギオンと一緒ってわけではなさそうだし。もしかしてギオンから私に乗り換えることにしたの?」


 相変わらず言葉の減らない男ねえ。

 いけない、それより頼み事を言わないと。


「あのね。頼み事があるの」

「頼み事?」

「うん。ギオンに関する重要なことなの」


 私が真剣な顔で言うとスルヴィスも真面目な顔になる。


「とりあえず中に入りなよ。人に聞かれたくない内容なんだろ?」

「ええ。ありがとう」


 スルヴィスが察しのいい人で助かるわ。


 私はスルヴィスの家に入る。

 それほど大きくはない家だ。

 スルヴィスが椅子に座るように言ったので私は椅子に座りスルヴィスも椅子に座る。


「それでギオンに関わるってどんな話?」

「ギオンがロイバルトから命を狙われれているのは知ってる?」


 私は直球勝負に出る。

 スルヴィスはギオンの幼馴染でありギオンとの仲の良さを考えると自分の命が狙われていることをギオンがスルヴィスに話している可能性は高い。


「ああ。そういえばギオンもそんなこと言ってたな。でもギオンがそんな奴らに負けるとは思わないけど」


 やはりスルヴィスは知っているようだ。


「それでね。私は今、その竜王家にまつわる騒動について調べているの」

「竜王家の騒動?王太子を誰にするかってこと?」

「ええ、そうよ。ギオンの命が関わっているんだもの。なんとかしてあげたいと思うの」


 私は自分が「シャナール」であり先代竜王の「死」を調査しているとは言わない。

 あくまでギオンの命を守るために調査しているとスルヴィスに説明する。


「気持ちは分かるが、そんなことに首を突っ込んだらミアも危ないんじゃないか?」


 スルヴィスは私を心配してくれる。


「私は大丈夫よ。それでね、その調査をしている段階で妖族が使う「毒薬」の情報が分かったの」

「毒薬?」

「ええ。私のお父様はマクシオン商会と他の異種族との取引きをしていたからいろんな商品を取り扱ったわ。その中に興味深い「毒薬」の商品があったの」


 私はスルヴィスに「死の華」と呼ばれる毒薬の説明をした。


「先代竜王は殺されたんじゃないかってギオンが疑っているってスルヴィスも言ってたでしょ?だからもしかしてこの「毒薬」を作った妖族の薬師がこのアイルスにいるんじゃないかと思うのよ」

「確かにギオンは先代竜王が殺されたと言っていたけど。そんな毒薬があるなんてな」

「そもそも竜王家の一連の騒動で一番先に起きたと思われる事件は先代竜王の「死」に関することだと私は考えているわ。先代竜王の死に関する真実が分かれば今回の「後継者問題」の騒動の真実も見えるかもしれないと思ったの」


 スルヴィスは何かを考えている。


「確かに今の竜王家の騒動は先代竜王の死の疑惑から始まっている。それはミアの言う通りだと思うよ。先代竜王がもしその毒薬で殺されたなら「犯人」がいるってことか」

「そうよ。その「犯人」が誰かを突き止めたいの。だってその犯人がまた同じ手でギオンを狙う可能性もあるし」

「それはそうだな。それでミアは私に何を頼みたいの?」

「このアイルスにいるだろうと思われる妖族の薬師を探すのを手伝って欲しいの。情報を得るには「酒場」が一番いいらしいんだけど、私が一人で酒場に行くと目立つじゃない?」

「なるほど。私がミアと一緒に酒場に行って妖族の薬師に関する情報を手に入れればいいのか」

「そういうこと。協力してくれない?」


 私がそう言ってスルヴィスを見るとスルヴィスはニヤリと笑う。


「それなら協力するよ。私も先代竜王の死には疑問を持っていたからね」


 ふう、これでとりあえずスルヴィスの力を借りれるわ。


「じゃあ、今から酒場に行くってことでいい?」

「ああ、かまわないよ」


 私とスルヴィスは牧場から王都の酒場に向かった。


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