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第20話 外泊してしまいました

「う~ん」


 私は目を覚ましたが頭が痛い。

 これは二日酔いで感じる頭痛だ。


 あれ?私ってなんで二日酔いなんだっけ?


 私は段々と意識がハッキリしてくる。

 そして見知らぬ天井が目に入る。

 いつもの移動用のテントではない。


「え?」


 私が上半身を起こすと自分が大きなベッドに寝ているのが分かった。

 ベッドのある部屋も見たことがない部屋だが家具類が一流品なのは分かる。

 どんな状況でも商人としての目利きをしてしまう自分がちょっと悲しい。

 いや、今はそれどころではない。


「ここってどこ?」


 私は意識が途絶える前の記憶を思い出す。

 少し頭痛がしたが段々と思い出してきた。


 そうだ!ギオンとお酒を飲んだんだ。

 あれ?でもその後はどうなったの?


 いくら記憶を呼び起こそうとしても覚えてない。

 そこにギオンが扉から入って来た。

 ギオンは白いガウンを羽織っただけの姿だ。


 ちょっと!何でそんな姿なのよ!


 私はギョッとしてギオンを見る。


「ようやく起きたか。まったくこれからは酒は飲むなよ」


 ギオンは特に慌てた様子もなく私に声をかける。

 私は慌てて自分の服装を確認したら上質の夜着に着替えさせられている。


 ちょっと、どうして私は着替えてるのよ!っていうか誰が着替えさせたの!?


「どうした?」

「ど、どうしたじゃないわ!どうして私がベッドにいるのよ!?」

「ん?ああ、あの酔っ払った状態でマクシオン商会に帰すのもどうかと思ってな。俺の知り合いの家を一晩借りたんだ」

「え?一晩?い、今何時?」

「今は朝の5時だ」


 私は窓を見るがそこにはカーテンがあって外が朝なのか夜なのか分からない。


 マジで朝の5時なの!?黙って外泊なんてディオンに怒られちゃう!


 私は慌ててベッドから降りようとして薄い生地だけの夜着だと気付いてまたシーツを被った。


「何やってるんだ?」

「何って……まさか、私に変なことしなかったでしょうね?」


 私はギオンに確認する。

 ギオンのことは好ましく思ってはいるが今の段階ではギオンと関係を持つなんて早過ぎる。


「ああ、寝やすいように着替えはさせたがそれ以上のことはしてないぞ」

「ギオンが着替えさせたの!?」

「しょうがないだろ。でも、お前もう少し食べる物食べて肉をつけた方がいいぞ。特に胸の辺りとか」

「大きなお世話よ!」


 私は恥ずかしさに顔を赤くしながらギオンに怒鳴った。


「ハハハ、冗談だ。ミアは今でも十分魅力的だよ」


 ギオンは笑いながら赤い瞳で私を見つめる。


「本当にそれ以上のことをしてないわよね?」

「した方が良かったか?」

「しなくていいわよ!」

「クククッ」


 私が怒鳴れば怒鳴るほどギオンは楽しそうに笑う。


 まったく冗談じゃないわよ。この年齢で無断で朝帰りなんてディオンはすごく心配しているに違いない。


「無断で外泊なんて商隊の仲間が心配してるから帰るわ」

「急ぐ必要はない。マクシオン商会には伝令をやっておいた。ミアはちゃんと明日になったら帰すから安心しろってな」


 それって全然安心できないでしょ。

 見知らぬ男性からの伝令が来てミアを一晩預かるなんてディオンが納得するわけないじゃない。


「マクシオン商会はそれを承諾したの?」

「ああ、伝令に俺の直筆のサインを入れた手紙を持たせたから、「承諾した」との返事だったと聞いてるが」


 マジで?あのディオンが承諾したの?

 ギオンって本当に何者なの?


「ギオン。貴方って何者なの?」

「さてな。マクシオン商会に俺が渡した手紙があるだろうからそれで確認してみろ」


 ギオンはあくまで自分の口からは正体を言う気はないようだ。

 でもギオンのサインを見ればギオンの名前が分かるはずね。

 仕方ない。マクシオン商会に戻ってから確認するか。


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