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第19話 飲みすぎ注意です

 ギオンが次に連れて行ってくれたのは食堂が並ぶ一角だった。

 おいしそうな匂いが漂ってくる。


 竜族って肉を好んで食べると聞いたけどどんな肉が好みなのかな。


 私は商人の顔になる。

 竜族の好みの肉が何か分かれば竜族との取引きにも使うことができる。


「ここは俺もたまに食べに来るんだがうまいぞ」


 ギオンと私は席についてメニュー表を見た。

 メニュー表は竜族の文字で書かれている。

 私は異種族と商売をするために異種族が使う文字を勉強しているから竜族の文字も読める。

 商売をする時は異種族が使う『共通語』を使うのだが商売をする以上、相手の言語を理解しておくのは当然なのだ。

 商人によっては相手の書いた文字が読めずに詐欺にあう者もいると聞く。


「ミアは竜族の文字は読めるか?」

「平気よ。異種族の国の文字は全て読めるわ。商人だったら当たり前の話よ」

「そうだな。言葉や文字が分からなければ相手に騙される可能性もあるしな」


 へえ、ギオンって商人の心得がちゃんと分かってるじゃない。


「それで何を食べる?」

「う~ん。竜族が好んで食べる物が知りたいの。だからギオンが好きな物を選んで注文してくれない?」

「そうか。なら適当に選ぶぞ」


 そう言ってギオンは店員にいくつかの注文をした。

 少し待つと先に飲み物が運ばれて来た。

 どうやらお酒のようだ。


 竜族はお酒が好きなのよね。ルクセル竜王も『魔蜂の蜜酒』が気に入ってたし。


「ミアはお酒は飲めるか?」

「私は未成年だからまだ飲んだことないの」

「試しに飲んでみるか?何事も経験だぞ」


 ギオンの言葉に私は少し考える。

 確かに竜族の好みのお酒を知れば商売に役立つかもしれない。


「それなら飲んでみるわ」

「はい。どうぞ」


 ギオンがグラスにお酒を淹れてくれる。

 色は透明だがお酒の香りはフルーティーな感じでおいしそうだ。

 前世では私は酒豪ではなかったがお酒は飲めた。

 なので躊躇いなくお酒に口をつける。


「わ!おいしい!」

「だろ?これはアイルスの地酒だ。俺も好んで飲んでるが飲みやすいから飲みすぎに注意しろよ」

「大丈夫よ。私は子供じゃないんだから!」


 私はお酒で気が大きくなったのか自分の胸を張って言う。


「ハハハ、ミアは大人になったり子供になったり忙しい奴だな」


 ギオンは面白そうに笑う。

 その笑顔がとてもカッコよく見えて私は胸がドキドキする。

 そのことを気付かれないように私はまたお酒を飲んだ。


 だが私はこの時のことを後悔することになる。

 前世の記憶があっても私は前世と同じ肉体ではないことを実感する出来事が起こったのだ。



「だからあ~もっとおしゃけもってきなしゃいよ~」


 私はお酒を飲み過ぎて言葉も体も自分の自由にならなかった。


「まったく……だから飲み過ぎるなっていったのに」

「ぎお~ん。おしゃけ~」

「酒はダメだ……っていうか今後酒は飲むな」

「ギオンのけち~」


 私はギオンの体に抱きつく。


「まいったな。このままの状態でマクシオン商会に帰すわけにもいかねえしな」


 ギオンの困った声が聞こえたような気がしたが私はギオンに抱きついてスッカリいい気分になっていた。


「とりあえずあそこに連れてくか」


 ギオンが私を横抱きにして抱いてくれた。


 う~ん、ギオンにお姫様抱っこされるなんて幸せだな~


 そこで私の意識は途絶えた。


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