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第16話 ギオンに口説かれました

 ギオンが馬を預けて私たちは川を遊覧するボートに乗った。

 ボートと言っても漕ぎ手がいる日本の屋形船のようなモノだ。


 ゆっくりと岸辺を離れて川の中央に向かう。

 そして私は水上から竜族の都のアイルスを見た。

 アイルスにある建物は白いモノが多い。

 それが太陽の光に反射して輝いて見える。


「うわあ!綺麗!」

「そうだろう。アイルスは美しい街だ」


 感動する私にギオンはどこか得意気に言う。

 そして何気なく私の身体を支えるように背中に手を回してきた。

 私はギオンに抱かれているようで心臓がドキドキする。


「どうした?緊張しているのか?」


 ギオンに図星を差されて私は動揺した。


「あ、当たり前じゃない。私は今まで男性と付き合ったことないから、こんなに近くで男性と触れ合うこともなかったもの」


 そうよ。私は前世でも彼氏がいなかったんだから。


「へえ、そうなのか。お前は可愛いから男が放っておかないと思うがな」

「か、可愛い!?」

「ああ、可愛いぞ。そうじゃなかったらミアをデートに誘ったりしないさ」


 私は顔が赤くなってるのが分かった。


 ギオンって女ったらしなのかしら。


「ギオンは今まで女性と付き合ったことはあるんでしょ?」

「まあ、なくもないが本気になった女はいないよ」


 本気になった女性はいない?

 ギオンって竜族だから見た目よりはずっと年齢が上だと思うけど、これまで生きていて一度も本気で好きになった女性はいないの?


「本当に本気になった女性はいないの?」

「ああ、いない。俺に言い寄る女は多いがそういう女は興味ない」


 言い寄る女は多いって、自分はモテるって言ってるのと同じよね。

 ギオンは自信家ね。でもこの外見なら女性にモテるのは仕方ないか。


「ミアは好きな男はいないのか?」

「ん?好きな男の人?いないわよ」


 ディオンのことは好きだがそれは異性に対する「好き」ではない。家族の「好き」に近い。


「そうか。じゃあ、俺と付き合うか?」

「え?」


 ギオンがあまりにも軽い口調で言うので私は一瞬何を言われたか分からなかった。


「ギ、ギオンと付き合うって……」

「まあ、ミアはまだ成人してないから結婚はすぐにはできないが、ミアが望むなら結婚前提の付き合いでいいぞ」

「け、結婚!?」


 私は突然出て来た「結婚」の二文字に焦る。


 ギオンは確かにカッコいいし私の好みだけど、出会って間もないのに「結婚相手」にするのはどうなのかな。


「生活のことは心配しなくていいぞ。まあ、今のマクシオン商会の商隊からは離れてアイルスに定住することにはなるが」


 私はその言葉で我を取り戻す。

 私がマクシオン商会の会長を辞めることはできない。

 私には父と同じ大商人になる夢とシャナールとして一流になる夢があるんだから。


「ごめんなさい、ギオン。私は商隊を離れる気はないわ」

「なぜだ?商隊で働くより楽で豪華な生活ができるぞ」


 私は首を横に振る。

 楽な豪華な生活に私は興味はない。

 それに今もマクシオン商会の会長としてそれなりに裕福な暮らしをしている。


「私は豪華な生活に興味はないの」


 するとギオンは少し驚いた表情をした。


「へえ、俺の周囲でそんなこと言う女はお前が初めてだ。ますますミアが気に入ったよ。とりあえずしばらく商隊はアイルスにいるんだろ?」

「うん。いるけど」

「それなら滞在期間中にミアのことを俺は口説くことにするさ。ミアが俺と結婚したいって思うようにな」

「……14歳は子供って言わなかった?」

「十分性的対象になるとも言ったはずだが」


 ギオンは自信満々の笑顔だ。


 やっぱりギオンは俺様系なのね。

 でも私もギオンと一緒にいたいし。結婚はともかくとしてこの都にいる間はギオンと過ごしてもいいわね。

 あ、そうだ。竜族の歴史についてのことも聞いておかなくちゃ。


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