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少女スパイと七人の王様~異世界転生で手に入れた最強スキル「透明人間」で「スパイ」活動をしたらなぜか七人の王様に愛されました~  作者: リラックス夢土
魔王の章

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第6話 魔力には属性があるようです



 私は魔王がマクシオン商会に来ると聞いて急いで魔王城を出てマクシオン商会がいる広場に戻る。

 そしてディオンを見かけたので声をかけた。



「ディオン! 私がいない時にオルシャドール殿下の使いの人って来なかった?」


「オルシャドール殿下の使いの者ですか? いいえ、特にミア様を訪ねてきた者はいませんでしたが」


「そう、分かったわ」



 どうやら魔王が来る前にマクシオン商会に帰ってくることができたようだ。

 私は会長用のテントで待っていようかとも思ったが魔王がいつ来るかは分からない。


 その間、何もせずにいるのも時間が持ったない気がする。

 商人の商売は時間を有効に使ってこそ成功することを私はお父様から聞かされていた。

 それなら魔王が来るまで商売の仕事をしていた方が有意義だ。



「ディオン。オルシャドール殿下の使いの人が来たら私に伝えてね」


「承知しました」



 魔王が来たら分かるようにディオンにそう伝えたあと、私はマクシオン商会が商売をしているところの見回りをする。

 直接的な物の売買の事務は商会で雇っている使用人たちがやっているので私は商売がうまく行われているかをチェックすることがいつもの仕事だ。


 先日の万引きの件のように商売にトラブルは付きものなのでそういう時には商会の代表として私がトラブルを解決しなければならない。

 すると本を売っている場所から怒号が聞こえた。



「おい! 昨日、この魔法書を買って魔法を使ってみたがうまくできなかったぞ! 偽物の魔法書を売りやがったな! 迷惑料を払いやがれ!」


「お客様。マクシオン商会で取り扱う物は全て本物の魔法書でございます。迷惑料と言われても……」



 魔法書が偽物だったと怒っている男に売り場の使用人は困った顔をしながら対応している。



 品物が偽物だっていう苦情を言ってきたのね。

 こういうトラブルって商売には付きものだけど騒ぎが大きくなるのは他のお客様に迷惑になっちゃうわね。なんとかしないと。



 私はその苦情を言っている男に近付いた。



「お客様。私はマクシオン商会の会長です。何か私どもの商品にご不満がおありでしたでしょうか?」


「ああ? お前が会長だと?」



 男から見れば私はまだ成人前の少女。

 その少女が商会の会長だと名乗ったので男は私を小馬鹿にしたような目で見た。



「詐欺師集団の親玉はガキかよ! ますますこの商会の品物は信用できねえな!」


「お客様にとっては私はまだ子供に思えるかもしれませんが私がこの商会の会長であるのは本当のことです。品物にどのような欠陥があったのか教えてくださればそれ相応に対応させていただきます」



 私の言葉に男はニヤリと笑う。



「それなら教えてやる。この魔法書に書いてある「物に火をつける魔法」ってのを試してみたら火がつかなかったのさ。だからこの魔法書は偽物だ。魔法書の代金と俺への迷惑料で金貨100枚で許してやるぜ」



 金貨100枚など法外過ぎるお金だ。

 それに男は魔法書の魔法が使えなかったと主張するがそれだけで魔法書が偽物だと決めつけるのも無理がある。

 私は魔法など使えないが魔法を使うには魔力がないとそもそもできないということは知っていた。

 男の魔力が足りなくて「炎の魔法」が使えなかった可能性だってあるのだ。



 ここは毅然とした対応をした方がいいわね。



「お客様。炎の魔法が使えなかったのはお客様の魔力不足という可能性はありませんか?」


「なんだと! 俺の魔力が足りないから炎の魔法が使えなかったっていうのか!」


「その可能性もあるはずです。私どもがお客様に支払えるのはその魔法書の代金だけで迷惑料を支払うことはできません」


「生意気なガキだな! 俺様の魔力を馬鹿にするなんて許せねえ! ここにある本を水浸しにしてやる!」



 男はそう怒鳴ると何かの呪文を唱えた。

 するとその男の手に水の塊が現れる。どうやらその水の塊を本にぶつけて本を水浸しにするつもりらしい。



 ちょっと! 本は濡らしたらダメになっちゃうのよ!



「やめなさい!」



 私は男の前に立ちはだかる。



「うるせえ! お前も水浸しにしてやる!」



 男が怒鳴り水の塊を私に向けてぶつけてきた。

 私は思わず目を閉じる。

 しかし私の身体に水の塊がぶつかる感触がない。

 そしてジュワーっという音が聞こえた。



「本を水で濡らそうとするなんてマジでムカつく奴だな、お前」


「え?」



 突然、聞こえた若い男性の声に私は閉じていた目を開く。

 私と男の間に立っていたのは先日の万引き犯のエドだった。



 どうしてエドがここに?



 それと同時に私は男が放った水の塊がエドの掌の上でジュワーっと音を立てて蒸発したのを見た。



 エドが水の塊を蒸発させてくれたの?



「この魔法書が偽物だって言う前にお前の魔力は「水属性」だろ? 水属性の魔族が炎の魔法を使えるわけないじゃん。そんな簡単なことも知らないなんて余程の馬鹿なんだな、お前」



 え? 魔力って「属性」とかあるの?

 そこまでは知らなかったわ。



「うるせえ! お前も一緒に始末してやる! どうせお前の属性は火属性だろ! それなら水魔法でお前を倒す!」



 男が呪文を唱えようと口を開いた瞬間、男の動きがピタリと止まる。

 意識はあるようだが男は身体を動かせないらしくエドを恐怖に満ちた目で見た。



「悪いけど。お前には俺を倒すのは無理。俺、「全属性持ち」だから相手を石化状態にする「土の魔法」も使えるんだよね」



 この男はエドの土魔法で石化状態になったの?

 そもそも全属性持ちってなに?

 




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