表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊少女の世界旅  作者: 雨森 裕也
第2章 城塞都市ガリスタ編
38/38

出発までに

宿に戻ると朝食を食べている人が沢山いた。


この宿には冒険者の人が多くいて、ほとんどの人は依頼を受けるために早くに起きる。なのでこの時間帯は冒険者が朝食を食べているのである。


今日は休みだが運動をしてお腹も空いていたので、早めに朝食を頂くことにした。しかし、人が沢山いて席がほとんど空いていないので近くの人達と相席することになった。


「ここ座らせてもらうね。」


この宿はたくさんの人が泊まれて1階にある席の数よりも泊まっている人数の方が多い。全員が同じ時間に食事を取ることはないから席が埋まることはほとんどないが、席が埋まれば端に置かれている椅子に座って待機することになる。


テーブル内に他の人がいても席が空いているならそこを使わないと回らずに多くの人を待たせてしまうので相席は断れない。


この宿は食事が美味しい事で有名でこの街に住んでいる人でも食事目当てで一泊する人もいるくらいなのだ。


1つのテーブルには最大で4人座ることができて対面で2人ずつだ。なので元から3人座っているテーブルだと必然的に誰かの隣に座ることになる。


私が座った席のテーブルには先に3人の男性が座っていたので、今の私はその隣に座っている状態だ。


テーブルは満席なのでスゥには私の膝の上に座ってもらった。


「あっ、久しぶりだな。」


急に隣の男性に話しかけられてびっくりして横を見ると、そこには丁度2日前にここで話をした人だった。他の2人もその時に見た人達と同一人物だった。


「あれから冒険の調子はどうなんだ?聞いた話によるとオークの森で異変を発見したのもお嬢ちゃんらしいな。」


「お嬢ちゃんって呼ぶのやめてよ。ユミルでいいから。今の所他に異変は見つかっていないけど、ひとつしか行っていないからまだ安心できないね。」


私は少しでも異変があれば発見できる自信がある。あのダンジョン自体は一度も行ったことがないから不確定要素が多いが、さらに東にあるダンジョンには沢山行っていたので他の人よりもダンジョンに行っている回数は多い。


その中で異変を見つけた事だってある。この前に発見した異変ほど分かりやすく危険なものではなかったが、小さな変化にも気がつくことができた。


「俺達だってダンジョン行ってきたんだぞ。ユミルに比べたら簡単な所だったが、こっちも異変は見つからなかったな。」


「そうなんだ。」


(まだ確定ではないが他の場所でも何も異変が起きていないとすると、その原因は何だろう。なぜオークの森の奥にあるダンジョンだったのだろうか?偶然か、それとも他に何か理由があるのだろうか?)


「あんまり興味無さそうだな。他では異変が起こっていないといいんだが。」


考え事をしていて生返事になってしまったが興味がないわけではない。逆に興味がありすぎるくらいだ。


(今まで様々なダンジョンに行ってきたが、ボスが階段を登ってくるなんて聞いたことも無い。当然ダンジョンのボスが変わるなんて話も聞いたことがない。この変化が必然であれば、今までのダンジョンとは何がが違っているはずだ。)


「俺達はもう行くからな。」


横の人が立ち上がる音がする。それに続いて正面にいる人たちも立ち上がった。


「じゃあ今日も頑張ってきてね。」


私は手を振って男3人を見送った。


私は朝食を食べ終わり、レイラの両親にお願いをしに行った。ローランドとライラは簡単に許可をくれた。宿の仕事は休みがないのでたまには休暇をあげてもいいだろうと言うことらしい。


(さて、朝食を食べ終わってもお店が開くまで時間もあるけどその間は何をしとけばいいのだろう?)


レイラに8時40分になったら出発することを約束し、1度部屋に戻ることにした。


「スゥ、外に出てから不思議なことがいっぱいだね。」


『そうだね。さっき言っていたダンジョンのこともそうだけど、昨日のあの女性やその人の目的の人と物とかもね。』


「もしかしたらそのふたつは何か関係があったりするかもそれないよ。」


『組織の女性が探していた人を見つけて話を聞けば何か分かるかもしれないよ。』


「買い物は楽しみたいけど、気になるからその人を探すのも同時にしないとね。」


『その人を探すのは心を読める僕が適任だね。ユミルはレイラのことに気を使ってあげて。』


「そうさせてもらうね。」


スゥと話をしたが、出発まではまだ1時間以上ある。


特にすることもなかったので魔法錬成の練習をすることにした。


私は4属性の魔法を使うことができるが、その中で1番苦手とするのが土属性魔法だ。魔法錬成では魔力の細かい操作が必要となり、失敗しても周りに危険がある訳でもないので練習には丁度いい。


私はお父さんとお母さんのオブジェを作ることにした。時間をかけて細かい所まで作るつもりだが、出発までには完成するだろう。


作る前に2人のポーズを考えた。


戦っているところもいいが、やっぱり日常のオブジェの方がいいだろう。私が1番印象に残っているあの場面のオブジェを創ることにした。


作っているのが自分の両親なので普段よりも集中して、さらに細かい所まで綺麗に整えていった。


そして、遂に完成した。


私が作ったのは両親が手を繋いで幸せそうに歩いている場面のオブジェで、自分でも満足のいく出来栄えだった。今度作る時は私を作って一緒に飾ろうと決めた。


あと少しで時間になるので早めに下に降りると、レイラは既に準備を済ましてソワソワしながら待っていた。


かなり楽しみにしてくれていたようだ。


レイラの服装は普段と違っていて、仕事モードから完全に外出モードになっていた。帽子も持っていて、被る前からレイラに似合うだろうと思った。


私の場合お父さんが色々と着せようとしてくるせいで、ほとんど同じような服しか着てこなかった。それはお母さんも同じだ。


服には興味がなかったので今まで何も感じることは無かったが、レイラを見ると、服装だけでも人の見た目はこんなに変わるんだと不思議に思った。


「レイラ早いね。」


私だって10分前には来たのにレイラがいたのだ。これは私が遅いんじゃなくて、レイラが早いんだよね?


「私も準備が終わったところだったから丁度よかったよ。私の服装どうかな?これ見たら服に興味が無いユミルも興味を持ってくれたんじゃないの?」


「初めて服に興味を持ったよ。」


「そうでしょう。でも服だけじゃないよ。このカバンとか帽子とか靴とか、見えないけど下着とかもちゃんと自分に合わせて身につけているの。」


そうか、服装以外にも色んなところに気を使っているからこんなに印象が変わるのか。


「そうだね。じゃあレイラには色々案内して貰わないといけないね。」


プレゼントも買わないといけないが、それだけでは時間が余るのでせっかくの休暇を楽しむ事にした。


「ちょっと早いけどもう行こっか。」


レイラに手を引かれて私は外に出た。スゥはもう定位置になりつつある私の右横を歩いていた。


私達は早速南東に向けて歩き出した。

忙しくて時間が無いので、ここで1度更新を休ませていただきます。

続きを楽しみにしてくれていた方には大変申し訳なく思っております。

これからも応援を続けてくれると嬉しいです。

次の投稿はおそらく来年になると思いますが、必ず続きは投稿しますのでそれまで待っていてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価をお願いします! 気に入ってくれたらブックマークの登録をしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ