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大正サーカス  作者: 羽音衣織
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夢の世界でみた憧れの人は悪役だった

もしも、私が明治、大正時代に生まれていたなら、間違いなく、中原中也を見つけ出し、恋に落ちていただろう。

彼の繊細な心を救いたい?

晴れた春の空。

今日は4月29日中原中也の誕生日に私は有給を取った。


彼の「汚れつちまった悲しみに」に魅了され、彼の詩の独特なオノマトペの響きがたまらなく好きで、中原中也に没頭していた。


今日は彼が住んでいた東京中野の街を歩いていた。もちろん、痕跡なんてないけれど、この川はきっと明治時代にも流れていただろう。同じ川を中也も見ていたと思うと、それだけで胸が高鳴る。


そう、これはもう私は歴史上の彼に本気で恋をしていた。中原中也に恋をしているのだ。


違う時代に生きる私は、彼に触れたくて、とことん、明治大正時代の建物や文化マニア化していた。


「このへんに中也が住んでいたんだよね」


私は地図を開いて辺りを見回した。

自分でいろんな自叙伝や彼にまつわる本を読んで、地図に書き込んだ中也のゆかりの地を自分なりに作って巡ろう。


それが今日の休日のテーマだ。


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