メガミ様が考えた
エンディングを迎えた夜の話+かつてのどこかの会話。
「おぬしもとうとう良い眼鏡の縁に恵まれたのじゃな! いや良かった良かった」
「なんか語弊がある気がする」
帰宅した美夜を待っていたのは、声だけでもウキウキしているのがわかる眼鏡の神、略してメガミである。
「縁が拗れると良くないからのう。これでワシも安心じゃ」
「……あれ、もしかしてお別れの挨拶ですかねこれ」
ゲーム期間が過ぎたらメガミの声も終わるのだろうか。
正直終わってほしい。【病院ルート】のフラグの可能性が捨てきれない美夜は心底思った。
「うむ、今後悪縁に変わることはないじゃろう。ワシの加護も終わりじゃな」
一応加護だったらしい。確かに豆知識は増えたが。
「最後におぬしのために、ワシがデートプランを考えてやろう」
「え? いやいいです」
「まあ聞け。まず東京駅に行って新幹線に乗る」
「待ってオチ読めた。福井県行こうとしてますよねそれ?」
米原駅で乗り換えて鯖江に行かせようとしている。
「ミュージアムに行くもよし、街を歩いて眼鏡屋に入るもよしじゃ。行くのに大体四時間じゃな、朝イチで出発すれば充分回れるじゃろ。後はそうじゃな、飛行機に乗って長崎のめがね橋はどうじゃ? パワースポット扱いされておる。大体三時間くらいで行けるぞ」
「神様、日帰りならもうちょっと近場がいいです」
美夜は関東民である。
福井とか長崎とか行くならしっかり観光したい。しかし宿泊は……友人とならいいがデートではちょっと……。
「うむ……? では皇居の二重橋かの。あそこもめがね橋と呼ばれておる。見るだけじゃが、ついでに周辺散策でもすればデートになるじゃろう」
「いきなりマトモになった」
「アーチがふたつ連なった石造りの橋ならだいたいめがね橋じゃから、調べると良いぞ」
多分調べないと思う、という言葉はそっと心の中にしまっておく美夜であった。
「ではな……これからもおぬしを見守っておるぞ……」
「えっ、見守るの? さらばじゃ、じゃないの? ちょっとメガミ様?」
この後、メガミの声は月初に聞こえるようになったのであった。全体朝礼かな?
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「そういえば繰珠奈さんや」
「なんじゃい数理屋さん」
「今日の昼ごはんはまだかい……じゃないわ。このショタ神様なんだけどさ」
「うん?」
「メガミルート入ったらまあずっと主人公と一緒にいるのは確定だけど、他のルートだとどうなってるの? エンディングにはすでにいないの?」
「……あんまり深く考えてなかったわ。うーん」
「……主人公ならエンド迎えた時点で離れる、かな」
「主人公なら?」
「ほら、眼鏡の神じゃん? 神様的にはめちゃくちゃ若い部類じゃん? あんまり反応してくれない人間ならそんなに未練もないけどさ、なんか律儀に言葉を返しちゃうような人間だったら楽しくて月一くらいで通うくらいはフットワーク軽そう」
「あー、返事をしたら憑かれるって日本のよくあるパターンだね」
「それ。今回ただ眼鏡の濃度高くしたくて入れた夜イベだからさー、あんま主人公喋ってないでしょ? だから主人公はサヨナラできるけど」
「メガミに毎度毎度うっかりツッコミ入れるとかするタイプの子だと末永くお付き合いされちゃうわけねー」
そんな会話がかつて原作者とプログラマーの間でされていたことを、美夜は知らないのであった。
自由に旅行できる日が来るのを祈りつつ投稿。




