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9.「貴女のことが気になって目が離せないんです」


 私は願った。私が今回の事件の一端を担っていることがバレないようにと。

 私が助かるためならば、例えお世話になったこの家の息子のことも犯人として差し出す所存。

 ああ、私の行いは果たして吉と出るか凶と出るか。


「ルセリナさん」

「なんでしょう!」


 返事は元気に歯切れよく。これが好印象の秘訣だ。


「私からも一つ重大な発表が」

「なんと、今回の私のことを不問に!?」

「私、実は魔法を一つマスターしておりまして、その名を『審美眼』」

「しんびがん」


 おいおい、なんだいきなり。私の発言がスルーされたかと思えば、自分の自慢が始まった。私がレイズ様が犯人だなんて、核心をついた真相言い当てちゃったから、悔しくなっちゃった感じか?


「そ、それは素敵な魔法ですね」


 なんの魔法だか知らんけど。

 でもシュタイン先輩ったらそんなににっこりして。自慢できてよっぽど嬉しかったんだなぁ。

 まあいいや、これで話題はそれただろう。


「そ、それでどんな内容なんですか?」

「これはですね」

「はい」

「美しいものを見定めるのは勿論のこと、極めれば物事全ての本物や本質を見抜くことも出来る魔法なんですよ」

「へーそれはすごい」


 骨董品の鑑定士に向いてそうな魔法だなあ。


「例えばそう――そっくりな二つのアクセサリーのうち一つが偽装されたものであった場合、どちらが本物であるか見抜くことが出来ます」

「へーそれはすごい……すご、い?」


 偽装されたアクセサリー? どこかで聞いたような話だ。


「そして、その偽装された偽物が一体誰の物なのかを特定することも出来ます」


 これはもしかして。


「分かりましたか。偽物の持ち主ルセリナさん」

「……へー……すごい」


 なんてことない。全ては最初からバレていたということか。



「まあ私がこの魔法をマスターしたのも、普段の貴女のどうにも真面目に働いていないような態度が気になったのがきっかけですけどね。おかげで最近は貴女が仕事中に昼寝したり、アリスさん一人に仕事を任せていたりというのがよく分かりましたよ」


 なるほどそれで最近より一層私に風当たりが強くなったのか。


「自分にこのような魔法が身に付けられる日が来るとは。これで今後この屋敷に怪しい人物がやって来ても見抜くことが出来ます。感謝していますよ。ありがとうございます」

「どーいたしまして」


 どうせ感謝するなら今回のことを不問にしてくれればいいのにと思う。

 全く。そんなに私がシュタイン先輩に気にかけられていたなんて。少女漫画だったら恋に発展しそうな展開だけど、生憎と今は一昨日来やがれと言ってやりたい。



「それでは物語もそろそろクライマックスというところですかね」


 シュタイン先輩がチラリとステージ中央を確認した。

 再び『二千年の紅い涙』を手にしたアリスちゃんと、それを呆然と見つめるレイズ様。

 アリスちゃんの小さな手のひらからは、まばゆい光が漏れ出している。『二千年の紅い涙』が持ち主をアリスちゃんとして認識したようだ。



 これにて私、ゲームセット。ご愛読ありがとうございました。


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