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8.恋に障害はつきものだが、私の犯行に障害はいらない


「『二千年の紅い涙』が二つ出てきたぞ!?」

「どういう事? 世界に一つしかなかったのでは」

「そもそもアレは今、あのアリスとかいうメイドの手の中にあったんじゃないのか?」

 

 ステージのちょうどみんながよく見える中央ど真ん中に、赤い色の石が二つキラキラと輝いていた。


「こ、これは一体……」


 さっきまでカッコよかったはずのハスターパパもよろよろと後ろに仰け反っている。すまんね、パパ。


「……」

「ルセリナさん、これは一体どういう事でしょうか」

「さあ、存じ上げませんね」


 二つ並んだ『二千年の紅い涙』を横目に私は当然白を切った。しょ、証拠はないもんねー。

 どこぞの息子の悲劇がまるで自分にも降りかかってきたみたいだ。


「わ、私だって驚いたんですから!」


 シュタイン先輩からの問い詰めるような視線から逃げるように二三歩引いた。


「な、なーんで急にあんなところに『二千年の紅い涙』が出てきちゃったんだろう。わー不思議」

「ルセリナさん」

「や、やだなあ。先輩だって見てたじゃないですか。私、ここから今一歩も動いてないんですよ!」


 そう、例え一瞬あの時私が『二千年の紅い涙』を手にしていた姿が見られていたとしても、そのトリックさえ暴かれなければ犯人にはならない。幸い『異空間の収納魔法』が使えるなんて話、私は誰にも教えてはいない(余った料理を持ち帰っているのがバレると困るので)。よかったーどこにでもいる平均的なメイド演じてきて。


「じゃあ貴女、その手にしているものはなんですか?」

「ん? 手にしているもの?」


 手にしているものなんて何かあっただろうか。汗なら握ってるけど。


「別に私は何も持ってなんかいな……」


 あった。

 

「ありますね」

「それはなんですか?」

「土地の権利書ですね」

「それは何処にあったものですか」

「あそこですね」


 くいと首を横に捻る。

 捻った先には今話題沸騰中の2つの『二千年の紅い涙』。ああ、はい、そうですね。


「……」

「……」


 やっちまったああああああああああ。

 どうしよう、なんで私こんな初歩的な失敗してるわけ!? 『異空間の収納魔法』はマスターしてたはずじゃない。今、絶対何も手に持ってないと思ってたよ。収納先を間違えてステージ上にしただけだと思ってたよ。それなのにどうして入れ替えちゃってるわけ。あれか、シュタイン先輩に話しかけられたからか。収納じゃなくて初歩の入れ替え魔法が発動しちゃったのか。

 おのれまたしても私の邪魔を~! ええい、こうなったらかくなる上は……!!


「……シュタイン先輩、一つ重大な発表が」

「なんでしょう」

「『二千年の紅い涙』、あれはレイズ様がアリスちゃんから盗んだもので間違いないですよ」

「どうしてそのように?」

「誰も盗んだなんて話はしていないのに、最初に盗んだって言い出したのレイズ様じゃないですか」

「なるほど」

「つまりレイズ様こそ、この騒動の真犯人ではないでしょうか!」

「なるほど」


「……」

「……」


 話よ、すり替わってくれ。頼む。

 そしてレイズ様、悪いが私の為に犠牲になってくれ!


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