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64.スーパーで買ってきたサラダも別の皿に盛りつければ、まあそれなりに見えるアレ


「こちらが私の料理になります」


カチャリ

 

「ほう、これは」

「なんて深みのある美味しそうな香りだ。まるで一流のシェフが調理したみたいだ」

「見た目も素敵だわ。まるで一流のレストランで食事しているみたい」


 一流一流と少々わざとらしい気もするが、まあ、彼らの言葉は間違っていない。だって実際に一流のシェフが作った料理なんだから。


「実際に食べてみましょう」

「そうですね」


 ちなみに料理の見た目は『偽装魔法』によって偽装してあるので、見た目だけでどこの店のどんな料理だということがバレる可能性はない。

 『必見! 夏休み前に押さえたい、有名ホテルのビュッフェバイキング特集②』という、転生前の世界でやっていたエンタメ番組を見ていた人がいたなら話は別だが。


「こ、これは……!」

「なんて美味しさ。まるで三日かけてじっくりと煮込んだような味。そんな味をこの短時間で出せるなんて」

「一流店の味だ!」


 そうだよ、一流店の味だよ。皆さんの感想は間違ってないよ。

 しかも私の『防腐処理魔法』も施されているからね。新鮮なお味をいつでもお届けしますよ。 


「お気に召していただけたようで光栄です」


 はいここで、そつのないにっこりスマイル。うん、完璧。


「それでは私はこの辺で」


 立つ鳥跡を濁さずってね。

 今日は私の魔法フル活躍。やっぱり持つべきものは優秀な魔法だなぁ。いやぁ日頃の行いの成果だなぁ。立派立派。あとは他の人の審査を待つだけ。気楽なもんだ。


『次の方どうぞ』


 おっと、次の人。ついでだし、ちょっと見ていくか。んーどれどれ、これはまた随分おしゃれな料理なことで。これはスイーツ系で攻めてきましたか。色んなフルーツが乗って美味しそう。


カチャリ

「こちらになります」

「あら、可愛らしいわ」


 いやしかし、審査員の人もこれだけ色んな料理を食べるって大変だろうな。お腹いっぱいになるだろうな。私だったら『異空間の収納魔法』でお持ち帰りにするところかも。


「それでは一口食べてみようかし……え、ちょっと貴女、何をしているの!」

「どうしたんだ、やめたまえ!」


 ん? んん? んんん?

 なんだ、あれ、どうした。私の目の錯覚か?


「君! 何をやっているんだ。どうして君がその料理を食べているんだ!?」


 目の錯覚じゃないらしい。

 女の子が、審査の為に料理を作ってきたはずの花嫁候補の女の子が、審査員に提供したはずの料理を自分で食べ始めている。そんな馬鹿な。うっそだろ。


「いや、やめて。離して!」

「君は花嫁に選ばれに来たんじゃないのか!?」

「そうだけど、今は、これがどうしても食べたいの!」


 周囲のスタッフに押さえつけられても、それでもまだ料理に手を伸ばそうとする女の子。

 どうしてこうなった。


「あらあら大変ね」

「マリアさん」


 声と共に奥の方がらすうっと出てきたのは、先に審査を終えたマリアさんだった。


「どうしてここに」

「会場内にちょっと忘れ物をしちゃって」

「そうだったんですか」


 マリアさんは審査席に視線を向ける。


「それにしても、驚いたわね。まさか審査員の料理を一人で全部食べてしまうなんて」

「ですね」


 いつの間にか騒ぎを起こした少女の姿はどこにもなかった。

 机の上には皿だけがぽつんと取り残されている。


「きっと、美味しい料理だったのね」


 隣でマリアさんはポツリとそう呟いた。


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