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55.不本意ながら

 最後、いつもとちょっとだけ様子の違ったレイズ様。なんだったんだろ。ちょっと気になる。


「あはは、よかったね」

「……よかった?」


 クルッと向き直り私を見下ろすベルさん。私がヒールの高い靴を履いてるせいか少しだけ顔が近い。前髪から覗く目がキュッと細くなった。


「レイズのやつ褒めてたし」

「いや、それは本心じゃなくて……」


 どう考えても社交辞令。お世辞もいいところだろう。きっと誰にでも言っているに違いない。


「でも少なくとも君がルセリナちゃんだって事には気が付かなかったよ? 違う?」


 ……いや、違わない。

 ト・イレニなんて嘘くさい偽名を語っても、最後までレイズ様は私を私だと気付かなかった。


「だから大丈夫。ルセリナちゃんは周りが気が付かないくらい変身しているよ」

「そうですか」

「そうそう。驚きの変貌ってやつ?」


 驚きの変貌ってのは言い過ぎかもしれないけど、レイズ様との一件もあるし……そこはまあ信じてもいいのかな。


「うん、顔色もよくなったみたいだね」

「顔色ですか」


 言われてみれば、会場に入った時と比べると、さっきのドタバタ劇があったせいか気持ちが少し落ち着いた気がする。


「レイズのおかげっていうのは癪だけどね」

「……それは私も癪ですね」


 だからこれはヤツのおかげではなく、自分で克服したということにしよう。そうしよう。


『まもなく花嫁の一次審査が始まります。参加される花嫁候補の方は第一控室の方にお集まり下さい』


「おっ、そろそろ始まるみたいだね」


 いよいよ、本番開始か。


「行ってきますね」

「うん、いってらっしゃい。分かってると思うけど、ルセリナちゃんは十分可愛いよ。……あ、こういうの別にいらないんだっけ?」

「そうですね」


 そんな事を言われて、素直に手放しで喜ぶ程純粋ではない。けれど。


「でも、ありがとうございます」


 分かったつもりは全然ないし、嬉しくないと言えば嘘になる。でも今は、この言葉がしっくりくる。


「……! うん。どういたしまして!」


 嬉しそうに笑ってくれたベルさん。なんでかな、私も嬉しい。

 こうなりゃ腹をくくってやろうって気になる。

 そして、なんとしても私の給料をゲットするのだ。いいところで敗退すりゃいいんだろ? いけるいける。


===


~第一控室~


 なるほどここが会場か。この中に未来の花嫁がいると。


「失礼しまー……」


「ちょっと!!」


「ひぃっ」


 心臓が飛び出るかと思った。

 どうしたどうした。中で何かもめてるみたいだぞ。


「あなた、私のドレスを踏んでるのよ!」

「ご、ごめんなさい」

「全くどんくさいわね。どこの田舎娘よ」

「ごめんなさい……」

「ちょっと~そこ、私が通るのにじゃまなんだけど」

「私が花嫁、私が花嫁、私が花嫁、私が花嫁……」


 や、やべぇ。未来の花嫁空間かと思ったら、悪魔召還しそうなカオスな空間が広がっていた……。

 控え目に言っても超怖い。私は何を見せられている。昼ドラかお昼にやってるドロドロ系恋愛ドラマの修羅場みたいな場面に遭遇してるのか。いや、変なことブツブツ言ってる人もいるし、それ以上に危険かも。


「あなた」

「はっ、はいぃ!」


 後ろから声かけられた!?


「あなたも花嫁の一人かしら?」

「そっ、そうですぅ。でも、本気じゃないので命だけは勘弁を……」

「ふふっ面白い事言うのね」


 わ、笑われた。


「私はマリア。参加者の一人よ。今日は宜しくね」


 振り返るとそこには清楚系美少女の姿があった。


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